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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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『和声学入門』の問題を解く上で、一部の規則をオイラが忘れていたので、目下従う規則を改めて確認しておきます。
  1. お互いの和音に共通音があったら同じ位置で結ぶ。
  2. その他の音はなるべく近くへ、歌いやすいように流れるように進める。
  3. 共通音の無い(Ⅳ-Ⅴ)場合は、ベース音と上の三声が反対の方向へ進む。
  4. 三音の重複や省略はしないようにする。
  5. 平行八度、五度ができないようにする。
3.の規則は共通音がない場合に限定されているわけですが、オイラは共通音がある場合もこの規則が有効なものと勘違いしていました。

念のため、規則全体をザッとおさらいしておきます。

1.の規則ですが、「結ぶ」というのは、単にコモン・ノートがあったら、同じ音高に据えるというだけではなく、タイで結ぶ、と言うことのようです。

2.は問題ないですね。

3.は、繰り返しですが、繋ぐ2つのコードにコモン・ノートがない場合との限定付きの規則で、その場合はバスと他声部を反進行させる、というものです。ですから、コモン・ノートがある場合は、バスと他声部を並進行させても構わないことになります。

4.は、どうもオイラの好きになれない「3音」との言い方がされてますが、3rdのことですね。省略できないものの、重複も許されないわけです。

5.は、規則では謳われていますが、これまで見た限りでは、模範解答では平行5度が使われることがあるようです。

さて、これまでの練習問題では、調号と和音記号(ローマ数字)で、ヴォイシングを考えるべき元の脈絡やコードが、最初から問題において限定されていました。ところが、前回の問題からは和音記号が与えられなくなりました。

ところが、上で復習したような規則しか与えられていない為、どういう基準でコードを選択すればよいのかについて、実は指針がありません。そこで、問題を解いた限りでの経験則でしかありませんが、基本的には次のような方針で対応しています。
  • トライアドのうち1音(第1音、ルートのことではない)を重複させた4声を用い、メロディは、コード・ノートのトップ・ノートとする(よって、メロディはコード・ノートの一部である)。→これ、ポピュラーでは通用しないみたいですね。コードはバッキングに関する概念であって、メロディをコード・ノートに数えては「ならない」とするのが、ポピュラーの慣習のようです。数年前、あるサイトで「メロディをコード・ノートに加えて、闇雲にコード・ネームを複雑にしているバカがたまにいる」的な書き込みを読んだことがあります。
  • 冒頭のコードはⅠ。
しかし、これだけでは、やはり問題は解けません。そこで、本格的には「ケーデンス(終止)」の規則を待たなければならないんだと思うんですが、とりあえずオイラは、別なところから、次の二つの規則を流用して、『和声学入門』の問題を解きました。その規則とは、こういうものです。
  1. 上行ないし下行の5度進行を基本とする
  2. 上行ないし下行の5度進行を当てはめられない場合は、「先取進行」を用いる
今回は番外編として、この2つの規則をオイラがどこから流用したのかについて、述べようと思います。

まずは、典拠を。こちらです。



共著ではありますが、オイラが参照した内容としては、東川が書いた範囲に限定されます。

オイラには非常に難しい本で、随分前に途中まで読んで挫折しているのですが、上で述べた「上行ないし下行の5度進行」や「先取進行」の話は、この本で初めて知りました。ただ、今回紹介するに当たって該当箇所を読み返したら、以前読んだときの記憶とちょいと印象がズレていました。また、やはり以前読んで挫折した東川の本の内容(エッティンゲンによる下方倍音に基づくコード理論を扱っていたもの)とごっちゃになっている部分もありました。

そこで、改めて正確に紹介しておこうと思います……が、あまり正確に紹介しようとすると話がややこしくなりますし、音名やコードの記号がポピュラーとは異なっている部分もありますので、ある程度は換骨奪胎して、オイラなりにポピュラー系の記号や用語に置き換えて、紹介します。


コード・ノートからスケールを構成する: 5度進行

まず、コードはトライアドで考えます。

音程、すなわち2音の関係が「協和か、不協和か」ということなら、振動数比などに訴えることで割合簡単に言えるのですが、コードが「協和か、不協和か」と言われると、実は結構当惑するんですよね。ところが、比喩表現として「不協和音」なんて言葉は結構安易に使われます。では、コードが協和/不協和であるとはどういうことなのか?? 東川はコードの協和/不協和について「二つの音からなる音程について協和・不協和をいうのとはかなり事情の違うこともやはり、見逃してはならない」(p.139)とは言うのですが、では結局どういうことなのか? については、随分ぼんやりした説明しかしません。

 たとえばc - e - gという長三和音が〈協和〉であるというとき、普通〈根音〉と言われるcを中心軸として三つの音が一つにまとまっていることをいうのです。(p.139)

音名はドイツ語読みです。ともかく、コードの協和とは「ルートを中心軸にコード・ノートが一つにまとまっていること」を言う、なんて言われても、「一つにまとまってる」ってどういうことだ?? という疑問は当然沸くものと思います。ただ、東川はこの問題について更に詳しく説明することを避け、ともかくこの「一つにまとまる」協和音、協和なコードには、メジャー・トライアドとマイナー・トライアドの二つがある、とします。そこで、これら二つのトライアドを区別する記号を示すのですが、一般に馴染みはないものです。例えば、Cメジャー・トライアドを「C+」、Cマイナー・トライアドを「C」とするんですよね(^◇^;)

少なくともブログを書くには面倒な記号でもありますので(^◇^;) ポピュラーの記号と渡りを付ける意味でも、ここではCメジャー・トライアドを「CM」、Cマイナー・トライアドを「Cm」と表記しておきます。Mが大文字ならメジャー、小文字ならマイナー、と言うことですね。大文字はポピュラーでも使いませんが、「CM7」なんて書きますから、それほど違和感はないと思います。

で、ちょいと循環するような議論が出てきます。

ご存じのように、C maj.から取り出されるダイアトニック・コード(ただしトライアド)におけるメジャー・トライアドは3種類しかありません。機能和声的に重要な3種類です。すなわち、CM(T), FM(S), GM(D)です。これら主要トライアドが、5度進行の関係に当たるわけですね。つまり、
  • CM→5度上行→GM
  • CM→5度下行→FM
なわけです。

さて、ダイアトニック・コードはダイアトニック・スケールから取り出されるものなのですが、東川は逆に、トライアドのコード・ノートからスケールが構成される、という話をします。コード・ネームとノートの区別をする為に、音名をドイツ語式で表すと、

FM: f a c
CM: c e g
GM: g h d

となります。これらの関係を次のように図示します(ブログで紹介するために、元の図とは異なる体裁で記しています)。

    CM    
f a c e g h d
FM   GM

つまり、ルート・モーションで、トニック・コードを基準に上行ないし下行で5度進行される同種のコード(メジャー同士、マイナー同士)からは、同種のスケールを構成できる、と言うわけですね(^◇^;) この「鶏が先か卵が先か」的議論、正直「うーん。。。」なのですが、確かに、「メジャー」・トライアド3つのコード・ノートから集まる7音を、トニック・コードのルートから上行で並べると、「メジャー」・スケールが構成されます。

ここから、東川はこんなことを述べます。

c→fなりc→gは、実際には4度進行でも、全て5度進行を規準でいえば、c→f下行5c→g上行5ということができます。(中略)
ここでなによりも重要なのは、ここでくり返されている同種5度進行以上に自然で、わかりやすい和声進行はあり得ない、と考えられていることです。そのわかりやすさのために直接に理解出来る関係、短くいって直接理解の関係なり進行といわれているのですが、私としてはこの、直接理解という用語を利用して、「同種5度進行は直接理解の関係なり」という和声原則をここで確認しておきたいと思います。(p.140

長音階自体が、直接理解といわれる同種5度関係にある三つの長三和音に基づいている、ということに他ならないのです。(p.141
(註: 引用における太字による強調は、原文では傍点による強調です。)


つまり、コード進行として最も分かりやすい直接理解の関係をなす3つのコードは同種のものであり、むしろそこからスケールを構成できる、と言うわけです。

これをマイナー・コードに敷衍することで、ナチュラル・マイナー・スケールを取り出せます。

    Cm    
f as c es g b d
Fm   Gm

ところが、現実にはメジャー・スケールにもマイナー・スケールにもハーモニックやメロディックの変種があります。そこで、

同種5度ばかりか異種5度進行も直接理解の関係に違いない、と思い直すことなのです。(p.142)

として、直接理解の関係を拡張します。よって、
  • トニック・コード(メジャー、マイナー、どちらでもよい)のルートから上行ないし下行で5度に当たる音をルートとする、メジャーないしマイナーのトライアドは、直接理解の関係にある。
  • 直接理解の関係にある3種のトライアドから、スケールが構成される。
と言うことになります。例えば、Fm, Cm, GMからCハーモニック・マイナー・スケールが、FM, Cm, GMからメロディック・マイナー・スケールが、それぞれ構成される、という具合です。

このため、5度進行は「直接理解」という最も分かりやすくて基本的なコード進行なのだということになります。


先取進行

「直接理解」があるからには、「間接理解」もあります。例えば、Cメジャー・スケールを構成するCM, FM, GMについて考えてみます。上でオイラがまとめたように、「トニック・コード(メジャー、マイナー、どちらでもよい)のルートから上行ないし下行で5度に当たる音をルートとする、メジャーないしマイナーのトライアドは、直接理解の関係にある」からには、トニック・コードであるCMから見て上行5度に当たるGMは直接理解ですし、同様に下行5度に当たるFMも直接理解です。では、GMとFMの関係は? これが「間接理解」です。FMとGMには、直接理解に当たる共通のコードCMが存在します。このように、 ある二つのコードにとって、 直接理解に当たる共通のコードが存在する場合、その二つのコードの関係が「間接理解」に当たるわけです。

この間接理解を踏まえて、東川は先取進行について次のように説明します(引用に当たって、記号を書き換えています)。

私にとってきわめて興味深いのですが、FM→GMがよく〈先取進行〉と呼ばれることです。本当はFM→CM→GMと続くべきだったのに、GMがCMに先回りして現れたのです。したがってGMの次にはどうしてもCMが続かなければならない、との考えがその背後にあるのです。つまり私たちはつねに直接理解の進行を期待しているので、FMの次にGMという間接理解の和音をきくとびっくりすると同時に、FMとGMの仲をとりもつCMへの思いをいっそうつのらせるのだというのです。したがって待望のCMが現れたときの満足感なり終止感は、直接理解をくり返す(中略)よりはずっと強まるということにもなります。(p.144-145)

ただ、FM→GMはあるのに、どーしてGM→FMはないのか? については、説明がありません(T.T)

ちなみに、直接理解の関係は異種のコードにも拡張されたので、FM→GMを成立させる仲介役はCMとは限らず、Cmの場合もあり得ることになります。
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べぇす
性別:
男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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