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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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東川『シャープとフラットのはなし―読譜法の今昔』を読んでいる
おいら自身は日本のクラシック系学者と違って
音楽関係の用語は
ポピュラーで一般的な英語カタカナ語読みになじんでいる
なので、適宜言い換えながら紹介する
また、一部ラテン語カタカナ読みの用語は英語にする

先日の要点をおさらいしておく

・ピアノ向け譜表にセンターCを加えた「ギャマット」との譜表がかつて使われていた
・音名は現在と同じくA~Gまでの7音をナチュラル・ノートとしていた
・ただし、階名には「シ」が含まれず、6音しかない→ヘキサコルド
・ヘキサコルドで階名唱されるスケールをpropertyという
・propertyが具体的な音名に当てはめられたものをdeductionという
・deductionはギャマット上に7種登場する
・ただし、オクターブ違いを無視すれば3種類に収まる

こういった点をまとめなおした図を掲げなおしておきます

gammat_dediction.jpg


その上で一部訂正
上に掲げなおした図を見れば明らかなように
音名のBについては、オクターブの違いに関わりなく
次のように言える

・utがGのとき、Bはmi
・utがCのとき、Bは登場しない
・utがFのとき、Bはfa

すると、faと階名唱されるBにはフラットが必要になる

この点に言及し忘れてたね

ただ、東川の用語だと「音位」となるんだが
譜表上におけるどの線ないし間に位置するか? という意味では
一般に変化記号の有無に関係ない
つまり、GならGにシャープが付こうがフラットが付こうが
変化記号に何が付いてもGである以上、譜表上では
同じ位置に記されるので
同様に「BはB」ということで、同じ音位にある、というわけだ

ただ、そのBが、上記のように
Gのdedictionではmiとされ
Fのdedictionではfaとされることから
Bについて「□mi」と呼んだり「○fa」と呼んだりする場合
他の音位の階名唱と違って、そもそも違う音ってことになる

で、やはり前回mutationの話もした
同じ音がどのdeductionに属すると考えるか? によって
異なる階名で呼び得ることを利用して
あるdeductionから別なdeductionに移ることをmutationという訳だが
Bの音を「□mi」と「○fa」との間で呼び変えることはできない
ということにも言及し忘れていたので、付け足しておく

なんてことはない、「□mi」と呼ばれるBはナチュラルなBなのに対して
「○fa」と呼ばれるBはBbのことだから、そもそも半音ずれた違う音って訳だ


で、続きだが
ギャマット、つまり11線譜では、Γが最低音、eeが最高音となって
かなり狭い音域に収まるのだが、当時はグレゴリオ聖歌など
「歌う」ことを前提としていたので、極端に低い声はうなり声になるし
極端に高い声は金切り声になるので、実用に耐えないってことで
ギャマットの範囲で必要十分だったし、その範囲で作曲されていた
ということのようだ

他方、当然器楽ならもっと高かったり低かったりしても
楽器の性能しだいとはいえ、音楽的に奏でることが可能だから
それこそ加線してさらに上下に譜表を広げ
もっと広い音域で音楽を作ることにもなる

このため音名を示す活字の種類でどのオクターブ域に属するか?
ということを前提にして、音名が取り得る階名を制限せず
ピッチクラスを前提にして、音名が取り得る階名を整理したほうが実用的
というわけで、整理するとこうなる

G sol re ut
A la mi re
B ○fa □mi
C sol fa ut
D la sol re
E la mi
F fa ut

つまり、Gは、Cのdeductionではsolだし
Fのdeductionではreだし、Gのdeductionではut

というわけで、当時は音名と取り得る階名をこのようにセットにして
丸暗記することで、mutationによる階名の読み替えにも対応しよう!
としていたようなのだな

で、このような音名と階名を組み合わせた記号を
東川は「複合式音位名」と呼んでいるのだが、ともかく……

さて、東川はこうした議論をモーリって人とティンクトリスって人の
著作の読解を通じて解説しているのだが、モーリ自身が
既にヘキサコルドを超えた7音からなる、今日的にはメジャー・スケールと
中身は一緒になるような概念を抱いていたって話が出てきます
「四角いb」は「硬いb」と、「丸いb」は「柔らかいb」とも呼ばれるのは
あくまで音名としてのbのついて問題にしているわけですが
これが、「硬いb」によって、それが登場するdeduction
つまりutがGのdeductionを表すようになり
同様に「丸いb」でutがFのdeductionを表すようにもなり
ティンクトリスは音名とdeductionをごっちゃにしてはいけない
と言うようなのですが、モーリは結局ごっちゃにするようで
その上でutがCのdeductionを「自然」とも言うようなのです
それを踏まえて東川はこんなことを言います
『シャープとフラットのはなし』p.163から引用すると……
彼のいう「硬いb」は、厳密な意味での「硬いb」と「自然」の結合形であるカントゥス・ドゥルス(cantus durus)、彼のいう「柔らかいb」は、厳密な意味での「柔らかいb」と「自然」の結合形であるカントゥス・モリス(cantus mollis)に他ならないのです。したがってこの二つは、一オクターブ当たり七つの音を含む、私のいう文字どおりの「C均」と「F均」に他ならないことになります。
東川が言う「均」とは中国の楽典用語から借用したものだそうで
英語だと「key」に相当するものなのですが、ポピュラーでは
「メジャー・キー」、「マイナー・キー」って言い方をすることで
キー、スケール、調性がぐちゃぐちゃになってます
本来のキーとは、階名のドが相当する音名によって表される
ダイアトニックな音程組織のことで、たとえば「key C」といえば
C maj.だろうがA min.だろうが、何ならD dorianだろうが
要はC D E F G A Bからなる音列、というかなんというか……
まぁ、そういうものです
このkey Cを東川は「C均」と呼んでるわけです

すると、こうなります
「自然」はbを含まない、utがCのdeductionなので
ピッチクラスで考えるとこうなります

C deduction: C D E F G A

同様に、「硬いb」は

G deduction: G A B C D E

よって、カントゥス・ドゥルスはこの二つがくっついて

key C: C D E F G A B

となるし、同様に「柔らかいb」

F deduction: F G A Bb C D

と「自然」がくっついたカンドゥス・モリスは

Key F: F G A Bb C D E

になる、という話ですね

第7音を表す階名のシラブル(音節)はまだ登場していませんが
ここからギャマットの音域も度外視したピッチクラスで
deductionの代わりにkeyを使うなら

・「自然」C deduction → key C
・「硬いb」G deduction → key G
・「柔らかいb」F deduction → key F

と見なしてしまって問題ないことになります
すると、mutationの問題とは
主調(?)key Cから見た属調と下属調、都合3つのkey
最も狭義の近親調間での、転調や借用の問題と同じことになります

その上で、これを「シ」も盛り込んだ階名で考えれば
今日的な意味でどのkeyの場合でも(音名が何であっても)
近親調間の転調や借用にも当てはまる一般的な理屈とノウハウを
取り出せることになるかと思います
……が、東川は少なくとも『シャープとフラットのはなし』では
そこまでやっていないようなので、このアイディアに沿って
いずれオイラなりに考えてみるかもしれない

それでも指し当りは東川の続きを読もう
というわけで、続きはまた今度
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べぇす
性別:
男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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