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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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現在読んでいるのはこの本です。



前回解いてみた練習問題で、結局「平行5度、8度」の禁則とはなんなのか?? という疑問が解決されませんでした。やはり前回確認したように、この禁則の定義自体は「2声が同時に進行するとき、完全8度または完全5度の並進行になること。」という至極単純なモノです。ですから、たとえば

C-E-G-B

G-B-D-F

なんていうコード・進行があったとすると、そのうちのC→GとG→Dという進行は、完全5度の並進行になるので、平行5度に該当することになります。

さて、結局問題となったのは

G-B-D

G-B-D

という同じコードの連結の場合、やはりG→Gという声部進行とD→Dという声部進行とが、完全5度の並進行、よって平行5度に該当しそうなモノなのに、『和声学入門』では模範解答にこの連結が示されている、ということです。これをどう考えればいいんでしょう?

そこで、問題の模範解答を書き写した譜例を改めて示してみます。

19ex6_3.jpgこの譜例の6-7小節が、問題の平行5度疑惑の箇所です。

オイラなりに考えた結論から言うと、これを平行5度では「ない」という為には、このコードの連結が、そもそも声部進行では「ない」と考えればよいのではないか? と思えます。

変な話、CならCの音を、2部音符と2部音符をタイでつないで記した場合、結局は全音符分の一音のCと捉えるしかないと思います。すると、見かけ上は2部音符の2音が連結されているように見えても、これは決して2音ではなく、1音、ということになるわけです。

問題の箇所は、ト音譜表に記された3声部すべてがタイでつながれていますので、この中で完全5度をなしているGとDは、次の小節のGとDに連結されているのでは「なく」、最初から2小節にまたがった音程でしかない、と捉えれば、そもそも並「進行」が起こっていないので、平行5度かどうかを問題に出来ないことになります。

模範解答を平行5度の禁則に抵触していないものとして捉えるには、オイラにはこのように解釈するしか内容に思えます。

ただ、この場合きになるのが、そもそものタイの使い方です。確かに、一般的なタイの使い方を敷衍すれば、模範解答の譜例を上のように読むのはごくごく自然なものです。ですが、『和声学入門』においては、コモン・ノートを同じ高さで連結していることを示す記号として使われていました。このようなコモン・ノートを連結する場合は、奏法上もタイが付いているものとして、一音で処理する、なんて話は、これまで一切登場していません。

まぁ、そんなことを言えば、「タイは奏法記号としてではなく、コモン・ノートを明示する為の記号として使う」なんて明示的な説明もなかったわけですから、そういう記号として扱ったのは読者としてのオイラの勝手な解釈でしかありません。ですから、筆者からは「本文に明示的な根拠のない、勝手な前提を読み込むヤツがバカなだけ」と言われれば、それまでなんですけどね。それでも、譜例を音にして確認した限りでは、ピアノなど自然に減衰する音色だと、タイを付いていないものとして聞かないと、コモン・ノートを同じ高さでつないでいる効果が分かりにくい、となら言えると思います。

この模範解答の読み方を離れて改めてこの禁則を考えると、更に不思議なことが出てきます。

ギターの奏法で、「カッティング」と呼ばれるモノがあります。いわゆるリズム・ギターやサイド・ギターと呼ばれるパートが、バッキング・伴奏として行うコードの奏法です。コード・フォームを変えないまま、ピッキングを繰り返すわけですが、コード・ノートに完全5度ないし8度が含まれていれば、ピッキングを繰り返すたびに平行5度、8度の禁則に抵触することになるのではないか? だとすると、カッティング奏法は、クラシック的には好ましくないってことになる???

ただ、平行5度、8度の定義を確認する為に参照したサイトには、こうも記されています。

近代・現代の音楽では、連続は頻繁に行われる。

「連続」は「平行」の言い換えです。ですから、平行(連続)5度、8度は禁則とは言う、近代・現代においては頻繁に使われる、と言うわけです。カッティングはむしろ、そういう事例として捉えられるのかも知れません。

もちろん、ポピュラーとクラシックではやはり理論自体がそもそも違う、通約不可能(incommensurable)だと言われてしまうかもしれません。ですが、そんなことを言い出せばロックとジャズでは理論が違うとか、人によって理論が違うなんて無意味な極論に至ります。他方、それこそロックの世界では「ネオクラシカル」なんてのも言われてるんだから、ジャンルが違っても譜面を通じたやりとりや理論的な意見交換はむしろなされて当然なのであって、それが阻害されるような通約不可能性なんて話を、安易に認める気にはなれません。

話を『和声学入門』に限定すれば、用語の説明や定義を与えないまま平行8度、5度を禁則と決めつけてしまったり、せいぜい導音をオクターブ重ねて強調するなというだけの話から、無理矢理平行8度自体を禁則としてしまうような、説明になっていない説明をしていることが、諸悪の根源のように思えます。小学5、6年以上向けとして本来書かれたのならなおのこと、説明抜きになし崩しで話を進めるのは、教育上良くないと思います。

そんなわけで、むしろ改めて説明がなされるまでは、平行5度、8度を禁則とは考えない方が、むしろ無難な気がします。どうせ近代・現代では頻繁に使われるようですし。また、もしかすると『和声の歴史』に戻った際に、このような禁則がどうして禁則とされるようになったのかについて、歴史的な文脈で説明を確認できるかも知れませんし。
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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