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Allan Holdsworth"Texas"の耳コピーが一段落したので、中断していたコード・スケールの話に戻ります。
ちなみに、耳コピーしていたAllan Holdsworth"Texas"はこちらに収録されています。
一応、YouTubeにあった動画も貼っておきます。
では、全く関係のない、コンディミ・スケールの話(^^ゞ
前回までの話(飽くまで篠田の『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード
』における説明をオイラなりに読解した限りでの)をまとめると、
まず、ルートとしてドミナントのⅤは堅持しなければならないので、Ⅴdim7を取り出せるようなテンションをⅤ7にあらかじめ加えておく、というお手盛りというか、後出しじゃんけん的な話が出てきます。ここは未だにオイラには納得できないのですが、とりあえず受け入れておきます。続いて、Ⅴ7に三度堆積で更に1音加えたⅤ7(b9)からルートを省略してⅦdim7を取り出し、これを転回してbⅥdim7を取り出します。
こうして必要なディミニッシュ・コードが2つ揃い、組み合わせてコンディミ・スケールのできあがりです。
こうしてできあがったスケールとⅤ7を見比べると、結局必要なテンションは
b9, #9, #11, 13
の4音となるわけですが、13以外は変化記号が付いていることから、元の脈絡が長短いずれだったとしても、その脈絡となるダイアトニックな音程組織というか、スケールというか、いわゆるキーなのですが、ここに含まれていない音に、これらテンションは由来することとなります。
これまで見てきたコード・スケールのほとんどは、コード・ノート以外は調性、キーから補填するのが大原則で、コードにテンションが加わっている場合はそのテンションを優先してきたわけです。その上で、コード・ノートとテンション・ノートからできる外延が近似するスケールが見つかったら、調性と矛盾しても使っちゃえ! と言うことで、ホール・トーン・スケールなんかも引っ張り出されてきたわけですが、コンディミ・スケールについては、むしろコンディミ・スケールを取り出すという結論ありきで、テンションを無理矢理設定したような印象を受けます。
この辺りが、篠田の説明を見ていてもピンと来ない点です。もちろん、「実際にプロのミュージシャンが使って効果的なんだからいいじゃないか」と言えばそれまでなのですが、だったら理論など最初から気にせず、カッコよければ何でもありで十分です。最初から理論なんて気にする必要すらないのです。
むしろ、そのような理論度外視でなされたプレイや作曲がどうしてカッコいいのか、心地よいのか、という辺りを説明しようという試みから理論が構築されるんでしょうから、理論の目的は第一義的にはプレイへの応用を度外視すべきです。その後に、理論の有効性が確認できたなら、作曲やプレイに応用してみようって話が続くはずですから。変な例えですが、日本語なら日本語は、まず言語学者が文法と基礎的な語彙を定めることで成立したものではないですよね? 誰が起源とも分からないまま長い年月を掛けて使われ続けることで成立した後に、言語学者が現にある日本語を分析することで文法が抽出されたんです。その上で、そういった文法に適った「標準語」を後から国語審議会辺りが定めて、学校で教えられるようになったわけです。音楽も、既に色んな形で色んな曲と演奏が先にあって、それらに見られる特徴を抽出して理論が取り出されることで、今度はその理論に従って・応用して音楽が作られるんです。
そういう意味では、篠田によるコンディミ・スケールに関する説明は、b9と13以外のテンションについては、たまたまメロディに使われていたのでもなければ、取り出しようがなさそうな気がします。
では、他の人はどんな説明をするんでしょうか?
ちなみに、耳コピーしていたAllan Holdsworth"Texas"はこちらに収録されています。
一応、YouTubeにあった動画も貼っておきます。
では、全く関係のない、コンディミ・スケールの話(^^ゞ
前回までの話(飽くまで篠田の『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード
- 飽くまでⅤ7に使えるコード・スケールとしてコンディミ・スケールを位置づけるには、Ⅴ7にテンションも交えた上で、2つの異なるディミニッシュ・コードを取り出す必要がある。
- その2つのディミニッシュ・コードとは、Ⅴdim7とbⅥdim7のこと。
P1 | m2 | M2 | m3 | M3 | P4 | #4/b5 | P5 | #5/m6 | M6/dim7 | m7 | M7 | ||
Ⅴ7(#9,#11,13) | Ⅴ | (bⅥ) | bⅦ | Ⅶ | bⅡ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | |||||
b9 | 9 | #9 | b11 | 11 | #11 | b13 | 13 | #13 | |||||
↓ | ↑ | ↓ | ↑ | ↓ | ↑ | ↓ | ↑ | ||||||
P1 | m2 | M2 | m3 | M3 | P4 | #4/b5 | P5 | #5/m6 | M6/dim7 | m7 | M7 | ||
Com.dim. | Ⅴ | bⅥ | bⅦ | Ⅶ | bⅡ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | |||||
b9 | 9 | #9 | b11 | 11 | #11 | b13 | 13 | #13 | |||||
↑ | ↑ | ↑ | ↑ | ||||||||||
P1 | m2 | M2 | m3 | M3 | P4 | #4/b5 | P5 | #5/m6 | M6/dim7 | m7 | M7 | ||
bⅥ dim7 | bⅣ | Ⅶ | Ⅱ | Ⅳ | |||||||||
↑ | b9 | 9 | #9 | b11 | 11 | #11 | b13 | 13 | #13 | ||||
Ⅶdim7 | |||||||||||||
↑ | |||||||||||||
Ⅴ7(b9) |
まず、ルートとしてドミナントのⅤは堅持しなければならないので、Ⅴdim7を取り出せるようなテンションをⅤ7にあらかじめ加えておく、というお手盛りというか、後出しじゃんけん的な話が出てきます。ここは未だにオイラには納得できないのですが、とりあえず受け入れておきます。続いて、Ⅴ7に三度堆積で更に1音加えたⅤ7(b9)からルートを省略してⅦdim7を取り出し、これを転回してbⅥdim7を取り出します。
こうして必要なディミニッシュ・コードが2つ揃い、組み合わせてコンディミ・スケールのできあがりです。
こうしてできあがったスケールとⅤ7を見比べると、結局必要なテンションは
b9, #9, #11, 13
の4音となるわけですが、13以外は変化記号が付いていることから、元の脈絡が長短いずれだったとしても、その脈絡となるダイアトニックな音程組織というか、スケールというか、いわゆるキーなのですが、ここに含まれていない音に、これらテンションは由来することとなります。
これまで見てきたコード・スケールのほとんどは、コード・ノート以外は調性、キーから補填するのが大原則で、コードにテンションが加わっている場合はそのテンションを優先してきたわけです。その上で、コード・ノートとテンション・ノートからできる外延が近似するスケールが見つかったら、調性と矛盾しても使っちゃえ! と言うことで、ホール・トーン・スケールなんかも引っ張り出されてきたわけですが、コンディミ・スケールについては、むしろコンディミ・スケールを取り出すという結論ありきで、テンションを無理矢理設定したような印象を受けます。
この辺りが、篠田の説明を見ていてもピンと来ない点です。もちろん、「実際にプロのミュージシャンが使って効果的なんだからいいじゃないか」と言えばそれまでなのですが、だったら理論など最初から気にせず、カッコよければ何でもありで十分です。最初から理論なんて気にする必要すらないのです。
むしろ、そのような理論度外視でなされたプレイや作曲がどうしてカッコいいのか、心地よいのか、という辺りを説明しようという試みから理論が構築されるんでしょうから、理論の目的は第一義的にはプレイへの応用を度外視すべきです。その後に、理論の有効性が確認できたなら、作曲やプレイに応用してみようって話が続くはずですから。変な例えですが、日本語なら日本語は、まず言語学者が文法と基礎的な語彙を定めることで成立したものではないですよね? 誰が起源とも分からないまま長い年月を掛けて使われ続けることで成立した後に、言語学者が現にある日本語を分析することで文法が抽出されたんです。その上で、そういった文法に適った「標準語」を後から国語審議会辺りが定めて、学校で教えられるようになったわけです。音楽も、既に色んな形で色んな曲と演奏が先にあって、それらに見られる特徴を抽出して理論が取り出されることで、今度はその理論に従って・応用して音楽が作られるんです。
そういう意味では、篠田によるコンディミ・スケールに関する説明は、b9と13以外のテンションについては、たまたまメロディに使われていたのでもなければ、取り出しようがなさそうな気がします。
では、他の人はどんな説明をするんでしょうか?
まず、林の説明について。
コンディミ・スケールはこの本のp.114にて『ディミニッシュにおけるテンション』の説明に登場しますが、p.119-122におけるドミナント向けコード・スケールの話には登場しません。ですから、林はコード・スケールとしてのコンディミ・スケールについては、位置づけ、使われうる脈絡、由来などについて、全く説明していません。ただし、コンディミ・スケールのほか、ディミニッシュ・スケールにも言及しています。
続いて、水野の説明を確認します。
水野はこの本のp.201以降で、ディミニッシュ・スケールとコンディミ・スケールに言及しています。これは、p.194以下の7thコード向けコード・スケールの話の一環としてなされていますから、水野は明確にディミニッシュ・スケールとコンディミ・スケールを、7thコード向けコード・スケールに位置づけています。ただ、やはり説明は不明瞭というか、言葉少なです。
ディミニッシュ・スケールについては後日改めて触れますが、これについて水野は「コード・プログレッションで使われるdimコードに使用される」(p.201)と位置づけるのに対して、コンディミ・スケールについてはCコンディミ・スケールを例に、次のように述べます。
言い回しはさらっとしていて短いですが、非常に含蓄があります。
まず、コンディミ・スケールの使いどころについて、「C7-9・+9・+11という-13以外のオルタード・テンションが付加されている7thコードに使用」、「扱いにくいことは否めませんが、オルタード・テンションを含む7thでは重宝されます」と明確に述べています。つまり、それだけ特殊なテンション・コードが使われている場面でもなければ使わないとしているのです。特殊な状況向けの特殊なスケールなだけに、特殊な状況に遭遇しなければ使うこともない、といったところでしょうか?
続いて、由来について。Cコンディミ・スケールについて、水野は「CdimとドミナントにあたるGdimが結合して出来たスケール」と、これまたさらっと言ってのけています。篠田の説明とは全く異なります。CdimをⅤdim7に位置づけた場合、Ⅴに対するドミナントはⅡです。Ⅶdim7のコード・ノートはⅦ、Ⅱ、Ⅳ、bⅥで、どれがルートになってもコード・ノートは変わりません。ですから、篠田が言うbⅥdim7を、水野は単にⅡdim7と言い換えたに過ぎない、とも捉えることも出来ます。ですが、篠田の説明は、二つのディミニッシュ・コードを半音違いで組み合わせる(篠田『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード
』p.26)とするのに対して、水野は、元のディミニッシュ・コードをトニック・コードと捉えた上で、それに対するドミナントに当たるディミニッシュ・コードを組み合わせる、としているのです。
もちろん、水野は上記引用からも明らかなように、「トニック・コード」という言葉自体は使っていません。ですが、「CdimとドミナントにあたるGdimが結合して」と言うことによって、Gdimをドミナント・コードに位置づけており、よってCdimをトニック・コードと位置づけていることは明白です。ですが、上で確認したように、そもそもドミナント・コード向けコード・スケールの説明の脈絡でこのような話をしているわけですから、Cdim自体が、このコードが登場するコード進行の脈絡におけるドミナント・コードと位置づけていたのではないか? とも思われます。他方、やはり上で述べたように、水野はコンディミ・スケールを、「コード・プログレッションで使われるdimコードに使用される」ディミニッシュ・コードとは対比させ、区別していることから察するに、コンディミ・スケールが使われるディミニッシュ・コードを、必ずしもドミナント代理コードとは位置づけていないのかもしれません。
こうしたことから、水野の短い説明をどう捉えるべきなのか? これはなかなか厄介な問題です。さしあたりこの問題について、オイラは次のように解釈します。
コード・クォリティとしてディミニッシュがトニック機能を果たすというのは考えづらいことではありますが、水野はファンクやロックにおいては、7thコードがトニック機能のコードとして使われることを示しています(『水野式音楽理論解体新書 著者:水野正敏 ポピュラー音楽を学ぶ上で必要な理論体系の新機軸
』 p.194 )。すると、7thコードの代理として使われるディミニッシュ・コードを想定すれば、ディミニッシュ・コードがトニック機能を果たすこともあり得ることになります。そんなトニック機能のディミニッシュ・コード向けコード・スケールとして、コンディミ・スケールを位置づけることが出来そうです。
コードとスケールの話を混同するわけにはいきませんが、対比する上で有効と思われるので、ここで「主調と属調」の話をしておきます。
メジャー・スケールを例とすると、Ⅰをトニックとするメジャー・スケールがトニック・スケール、主調と言うのに対して、Ⅴをトニックとするメジャー・スケールがドミナント・スケール、属調です。なお、人によってはそれぞれトニック・キー、ドミナント・キーと言うべきだ、と主張するかもしれませんが、キーはダイアトニックな音程組織自体(階名で言うドレミファソラシ)を示すものであって、その組織から取り出される特定のスケール(ドから並べるか、ラから並べるか)を限定するものではありません。もちろん、平行調やモードを包含させた音程組織間の関係としてトニック、ドミナントと言うことももちろん出来ますが、ここではそもそも「メジャー・スケール」を例にしていますので、トニックのメジャー・スケール、ドミナントのメジャー・スケールに限定した話をして問題ないはずです。ですから、主調をトニック・スケール、属調をドミナント・スケールと呼んでおきます。
ドミナント・スケールは、トニック・スケールのファにシャープを付けてシと読み替えることで得られます。トニック・スケールにおけるファはⅣですから、ドミナント・スケールのシは#Ⅳとなります。
すると、トニック・スケールの脈絡において#Ⅳが登場した場合、ドミナント・スケールからの借用、ないしドミナント・スケールへの転調を示唆するものとして解釈することが出来ます。借用の場合、転調しないまま、トニック・スケールの脈絡において#Ⅳを取り込んでおくことが出来ることになります(かつてオイラは、この点を忘れていたため、「メロディック・マイナーにおいてソ#が使われない、なんてことがあり得るか?」と延々悩んだことがあります)。
この考え方をディミニッシュ・コードに当てはめて、水野は説明しているのではないか? オイラにはそんな気がするのです。上記のように、スケールの話とコードの話をごっちゃにしてよいのか? と言う問題はありますが……
上で示したように、コンディミ・スケールがトニック機能を果たす7thコードの代理としてのディミニッシュ・コード向けコード・スケールと捉えてよいのだとすれば、上の主調と属調のような話が出来るかもしれません。Ⅰdim7のルートであるⅠを、スケールのトニックと見なして、ドミナントであるⅤをとりだし、それをルートとしたdim7コードを取り出す。この二つのコードを組み合わせたコンディミ・スケールは、
ならば、コンディミ・スケールは、コード進行において登場するのではなく、いきなりトニック・スケールとして提示され、使われることとなり、よってトニックをⅤとして考える(コード進行におけるドミナントとして捉える)こと自体無意味なのではないか?? という気がしてきます。林がドミナント・コード向けコード・スケールとしてコンディミを取り上げなかったのは、こうした事情があるのかもしれませんし。
だとすると、篠田の説明を確認していて覚えた「どうしてテンションてんこ盛りのコードをわざわざ想定しなければならないのか?」という疑問・違和感は、「トニックとして提示された以上は文句の付けようがない」と言う形で解消されます。
オイラの目下の関心は、ドミナント機能を果たす7thコード向けコード・スケールですので、トニック・スケールとして使われるコンディミ・スケールについては、これ以上詮索せずにおきましょう。
今回はここまで。
……と思ったのですが、
Ⅴ7からディミニッシュ・コードを取り出すには、#9、#11、13をテンションとして想定するしかありません。このテンションを想定すること自体に違和感がある以上、7thコードのルートをⅠとしたところで、Ⅰ7の代理コードとしてⅠdim7を想定するには、#9、#11、13をテンションに位置づけるしかないことには違いありません。
この辺り、次回以降に改めて考えてみたいと思います。
コンディミ・スケールはこの本のp.114にて『ディミニッシュにおけるテンション』の説明に登場しますが、p.119-122におけるドミナント向けコード・スケールの話には登場しません。ですから、林はコード・スケールとしてのコンディミ・スケールについては、位置づけ、使われうる脈絡、由来などについて、全く説明していません。ただし、コンディミ・スケールのほか、ディミニッシュ・スケールにも言及しています。
続いて、水野の説明を確認します。
水野はこの本のp.201以降で、ディミニッシュ・スケールとコンディミ・スケールに言及しています。これは、p.194以下の7thコード向けコード・スケールの話の一環としてなされていますから、水野は明確にディミニッシュ・スケールとコンディミ・スケールを、7thコード向けコード・スケールに位置づけています。ただ、やはり説明は不明瞭というか、言葉少なです。
ディミニッシュ・スケールについては後日改めて触れますが、これについて水野は「コード・プログレッションで使われるdimコードに使用される」(p.201)と位置づけるのに対して、コンディミ・スケールについてはCコンディミ・スケールを例に、次のように述べます。
このスケールを使用する場合のコードは、dimよりも譜例にあるC7-9・+9・+11という-13以外のオルタード・テンションが付加されている7thコードに使用します(引用者註・ここでの「譜例」とはCコンディミ・スケールを示したものです)。この長い名称の由来は、CdimとドミナントにあたるGdimが結合して出来たスケールなので「ディミニッシュの結合スケール→combination of diminished scale」となります。元のCdimをアッパー・ディミニッシュ・コード(upper diminished chord英語)、結合させたGdimをロワー・ディミニッシュ・コード(lower diminished chord英語)といいます。
スケールの使い方としては、オルタード・ドミナント・スケールと同様に独特なスケール・サウンドのため扱いにくいことは否めませんが、オルタード・テンションを含む7thでは重宝されます。(p.202)
スケールの使い方としては、オルタード・ドミナント・スケールと同様に独特なスケール・サウンドのため扱いにくいことは否めませんが、オルタード・テンションを含む7thでは重宝されます。(p.202)
言い回しはさらっとしていて短いですが、非常に含蓄があります。
まず、コンディミ・スケールの使いどころについて、「C7-9・+9・+11という-13以外のオルタード・テンションが付加されている7thコードに使用」、「扱いにくいことは否めませんが、オルタード・テンションを含む7thでは重宝されます」と明確に述べています。つまり、それだけ特殊なテンション・コードが使われている場面でもなければ使わないとしているのです。特殊な状況向けの特殊なスケールなだけに、特殊な状況に遭遇しなければ使うこともない、といったところでしょうか?
続いて、由来について。Cコンディミ・スケールについて、水野は「CdimとドミナントにあたるGdimが結合して出来たスケール」と、これまたさらっと言ってのけています。篠田の説明とは全く異なります。CdimをⅤdim7に位置づけた場合、Ⅴに対するドミナントはⅡです。Ⅶdim7のコード・ノートはⅦ、Ⅱ、Ⅳ、bⅥで、どれがルートになってもコード・ノートは変わりません。ですから、篠田が言うbⅥdim7を、水野は単にⅡdim7と言い換えたに過ぎない、とも捉えることも出来ます。ですが、篠田の説明は、二つのディミニッシュ・コードを半音違いで組み合わせる(篠田『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード
もちろん、水野は上記引用からも明らかなように、「トニック・コード」という言葉自体は使っていません。ですが、「CdimとドミナントにあたるGdimが結合して」と言うことによって、Gdimをドミナント・コードに位置づけており、よってCdimをトニック・コードと位置づけていることは明白です。ですが、上で確認したように、そもそもドミナント・コード向けコード・スケールの説明の脈絡でこのような話をしているわけですから、Cdim自体が、このコードが登場するコード進行の脈絡におけるドミナント・コードと位置づけていたのではないか? とも思われます。他方、やはり上で述べたように、水野はコンディミ・スケールを、「コード・プログレッションで使われるdimコードに使用される」ディミニッシュ・コードとは対比させ、区別していることから察するに、コンディミ・スケールが使われるディミニッシュ・コードを、必ずしもドミナント代理コードとは位置づけていないのかもしれません。
こうしたことから、水野の短い説明をどう捉えるべきなのか? これはなかなか厄介な問題です。さしあたりこの問題について、オイラは次のように解釈します。
コード・クォリティとしてディミニッシュがトニック機能を果たすというのは考えづらいことではありますが、水野はファンクやロックにおいては、7thコードがトニック機能のコードとして使われることを示しています(『水野式音楽理論解体新書 著者:水野正敏 ポピュラー音楽を学ぶ上で必要な理論体系の新機軸
コードとスケールの話を混同するわけにはいきませんが、対比する上で有効と思われるので、ここで「主調と属調」の話をしておきます。
メジャー・スケールを例とすると、Ⅰをトニックとするメジャー・スケールがトニック・スケール、主調と言うのに対して、Ⅴをトニックとするメジャー・スケールがドミナント・スケール、属調です。なお、人によってはそれぞれトニック・キー、ドミナント・キーと言うべきだ、と主張するかもしれませんが、キーはダイアトニックな音程組織自体(階名で言うドレミファソラシ)を示すものであって、その組織から取り出される特定のスケール(ドから並べるか、ラから並べるか)を限定するものではありません。もちろん、平行調やモードを包含させた音程組織間の関係としてトニック、ドミナントと言うことももちろん出来ますが、ここではそもそも「メジャー・スケール」を例にしていますので、トニックのメジャー・スケール、ドミナントのメジャー・スケールに限定した話をして問題ないはずです。ですから、主調をトニック・スケール、属調をドミナント・スケールと呼んでおきます。
ドミナント・スケールは、トニック・スケールのファにシャープを付けてシと読み替えることで得られます。トニック・スケールにおけるファはⅣですから、ドミナント・スケールのシは#Ⅳとなります。
すると、トニック・スケールの脈絡において#Ⅳが登場した場合、ドミナント・スケールからの借用、ないしドミナント・スケールへの転調を示唆するものとして解釈することが出来ます。借用の場合、転調しないまま、トニック・スケールの脈絡において#Ⅳを取り込んでおくことが出来ることになります(かつてオイラは、この点を忘れていたため、「メロディック・マイナーにおいてソ#が使われない、なんてことがあり得るか?」と延々悩んだことがあります)。
この考え方をディミニッシュ・コードに当てはめて、水野は説明しているのではないか? オイラにはそんな気がするのです。上記のように、スケールの話とコードの話をごっちゃにしてよいのか? と言う問題はありますが……
上で示したように、コンディミ・スケールがトニック機能を果たす7thコードの代理としてのディミニッシュ・コード向けコード・スケールと捉えてよいのだとすれば、上の主調と属調のような話が出来るかもしれません。Ⅰdim7のルートであるⅠを、スケールのトニックと見なして、ドミナントであるⅤをとりだし、それをルートとしたdim7コードを取り出す。この二つのコードを組み合わせたコンディミ・スケールは、
- 7thコードの代理コード向けコード・スケールであり
- 位置づけ・機能はトニック
- ドミナントの音を包含している
ならば、コンディミ・スケールは、コード進行において登場するのではなく、いきなりトニック・スケールとして提示され、使われることとなり、よってトニックをⅤとして考える(コード進行におけるドミナントとして捉える)こと自体無意味なのではないか?? という気がしてきます。林がドミナント・コード向けコード・スケールとしてコンディミを取り上げなかったのは、こうした事情があるのかもしれませんし。
だとすると、篠田の説明を確認していて覚えた「どうしてテンションてんこ盛りのコードをわざわざ想定しなければならないのか?」という疑問・違和感は、「トニックとして提示された以上は文句の付けようがない」と言う形で解消されます。
オイラの目下の関心は、ドミナント機能を果たす7thコード向けコード・スケールですので、トニック・スケールとして使われるコンディミ・スケールについては、これ以上詮索せずにおきましょう。
今回はここまで。
……と思ったのですが、
- 7thコードの代理コードとしてディミニッシュ・コードを位置づけることは可能なのか?
Ⅴ7からディミニッシュ・コードを取り出すには、#9、#11、13をテンションとして想定するしかありません。このテンションを想定すること自体に違和感がある以上、7thコードのルートをⅠとしたところで、Ⅰ7の代理コードとしてⅠdim7を想定するには、#9、#11、13をテンションに位置づけるしかないことには違いありません。
この辺り、次回以降に改めて考えてみたいと思います。
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COMMENT
HN:
べぇす
性別:
男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。
……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!
◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2
※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!
◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2
※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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