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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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コンディミ・スケールの話をしています。

篠田の説明に従うと、
  • 7thコードに、ディミニッシュ・コードを取り出せるようなテンション(#9, #11, 13)をあらかじめ付加したスケールを想定する。
  • 7thコードにb9を加えたコードからルートを省略して取り出せるディミニッシュ・コードを転回する。
  • すると、互いのルートが半音ずれたディミニッシュ・コードを取り出せるので、これらを組み合わせてコンディミ・スケールを構成する。
ということになるようです。他方、ディミニッシュ・コードを取り出せるようなテンションをあらかじめ付加した7thコードが、そもそもどこから出てくるのか? という疑問がずーっと残り、すっきりしません。

対して、水野の説明では、
  • (どこから出てくるかはよく分からないものの)元のディミニッシュ・コードのルートをトニックとしたとき、ドミナントに当たる音をルートとしたディミニッシュ・コードを想定する。
  • トニック、及びドミナントのディミニッシュ・コードを組み合わせることで、コンディミ・スケールを構成する。
と言うことになります。こちらは、そもそも元のディミニッシュ・コードがどこから出てきたのか? という疑問が残りますが、「トニックとドミナントを組み合わせる」点については、メジャー・スケールにファ#を盛り込む場合、それがドミナント・スケールに由来することを考えると、こうした発想を7thコードに当てはめているようにも捉えることができ、まだ自然な説明のように思われます。

また、水野はロックやファンクにおいて、7thコードがトニック・コードとして使われることを示しています。ですから(ここから先は水野が述べていることではありませんが)、このような「トニック・コードとしての7thコードの代理」としてディミニッシュ・コードを想定できるなら、そのようなディミニッシュ・コード向けのコード・スケールとして、ドミナントに当たるコードの音も組み込んだコンディミ・スケールを位置づけることは可能かもしれません。実際、ドミナント・コードとしてのディミニッシュ・コード(つまり、コード進行に登場するディミニッシュ・コード)向けのコード・スケールとして、水野はディミニッシュ・スケールを位置づけており、コンディミ・スケールはそれとは別としているのですから、上のような〈想像〉は、そんなに不自然ではないと思います。

では、そもそも7thコードの代理としてディミニッシュ・コードを想定できるのかどうか? この点について考えてみます。

まず、7thコードにb9が加わったコードからルートを取り除くと、ディミニッシュ・コードが得られます。これは、そもそも7thコードの代理と言えます。ただし、そういえるのは、機能和声に基づくコード進行を前提にした場合です。

そもそも機能和声におけるドミナント機能とは、トニックへ解決進行する傾向を言います。その原動力となるのが、ⅣとⅦが共存することで(結果的にこの2音によってトライトーンと呼ばれるインターバルが形成されます)それぞれⅢないしbⅢ、及びⅠへと進行するわけです。ですから、このような解決進行を起こすⅣとⅦさえ含まれていれば、そのようなコードはドミナント・コードと呼べるわけです。

そして、Ⅴ7(b9)のルートを省略したⅦdim7には、やはりトライトーンを成すⅣとⅦが含まれますので、ドミナント・コードと言えるわけです。Ⅶdim7のコード・ノートを確認してみます。

P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
bⅥ              
  b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  
  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7

Ⅴ7(b9)のルートを省略すると、ピッチ・クラスで考えれば、テンションのbⅥが最低音となります。bⅥは、省略されたルートの半音上ですね。このような状況を篠田はこう述べます。

ドミナント7thコードでのb9thの使用はルートに対して半音上のディミニッシュ・コードを形成するわけです(『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード 』p.26)

同じことを、水野は次のように述べています。

 ディミニッシュ・コードはその半音下の7thコードの代理が多く、構成和音を見ると7thコードのルートのみ半音上げると、半音上のdimコードになります(『水野式音楽理論解体新書 著者:水野正敏 ポピュラー音楽を学ぶ上で必要な理論体系の新機軸 』p.202)

このため、ディミニッシュ・コードが7thコードの代理となる場合は、ディミニッシュ・コードのルートが、7thコードの半音上となることになります。

さて、水野はコード進行に登場するディミニッシュ・コード向けのコード・スケールはディミニッシュ・スケールであるとした上で、それと対比させるようにしてコンディミ・スケールを説明しています。また、ロックやファンクでは7thコードがトニック・コードとして使われるとも述べています。水野が直接言及しているわけではありませんが、以上から、コンディミ・スケールは、トニックとして使われる7thコードの代理となるディミニッシュ・コード向けコード・スケールとして位置づけされるのではないか? とオイラは推測しました。

そこで、そのようなトニック・コードとして使われる7thコードをⅠ7とします。5声で考えてテンションのb9を追加すると、Ⅰ7(b9)となります。このコードの代理となるのは、ルートを省略したものですが、ピッチクラスにおいて最低音となるbⅡをルートと捉えると、bⅡdim7となります。このbⅡdim7のコード・ノートのインターバルを改めて確認します。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7  
トニック7th bⅡ             bⅦ    
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13    
                   
    P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
  代理dim7(T) bⅡ             bⅦ    
      b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

元のトニック・コードとしてのⅠ7(b9)の代理コードに当たるbⅡdim7をルートから見ると、各コード・ノートのインターバルは、篠田がどこからともなくひねり出した#9, #11, 13に相当するのです!

すると、こうしたテンションは、どこからともなくひねり出したのではなく、ましてや出来レースのようにあらかじめ用意したのでもなく、5声のドミナント・コードのルートを省略した上で、テンションをルートと捉え返したときの、コード・ノートの捉え返しに過ぎなかったことになります。

あとは、水野の説明に従うと、この代理dim7ルートをトニックと捉えたときのドミナントに当たるbⅥをルートとしたdim7を取り出し(転回すればⅡdim7)、組み合わせれば、コンディミ・スケールを構成できますね。

すると、篠田はどうやら、Ⅰ7からⅠdim7を取り出そうとして無理に#9, #11, 13のテンションを想定した上で、ルートが半音違いのbⅡdim7を組み合わせようとしたことになります。ですが、Ⅰ7の代理コードとなるのはbⅡdim7であり、ルートがⅠからbⅡに替わるだけで、コード・ノートのインターバルが#9, #11, 13と読み替えられるため、こうしたテンションを無理にひねり出す必要はなかったことになります。また、水野に従うと、このbⅡをトニックとしたときのドミナントに成立するdim7を組み合わせるのですから、転回して捉えれば、組み合わせるdim7のルートはⅡとなります。

ですから、Ⅰ7の代理コードbⅡdim7向けコード・スケールは、bⅡコンディミ・スケールとなります。篠田はむしろ、このコード・スケールとしてⅠコンディミ・スケールを位置づけようとして、テンションを無理矢理ひねり出すことになったのではないでしょうか??

オイラは机上論として、本の記述を元にこんな具合に考えたので、実際にコンディミ・スケールをプレイや作編曲に使ったことのある人に是非教えて頂きたいのですが、Ⅰ7の箇所でⅠコンディミ・スケールを使うということが、あり得るんでしょうか??

また、上でも述べましたが、水野はコンディミ・スケールを、コード進行で用いられるディミニッシュ・スケールと対比させていますが、コンディミ・スケールはコード進行では用いないのでしょうか??


今回はここまで。


→ 後にネットを検索してみたところ、やはりⅠ7にはⅠコンディミ・スケールを使うようです。となると、上で示した話は実情に合わないようです。はてさて、となると依然コンディミ・スケールの出自は謎です。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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