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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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先日、一応仕上げたAllan Holdsworth"Texas"の耳コピーで登場した謎のスケールは、こちらの耳コピーが間違っていたらどうにもならないのだが(^^ゞ とりあえず所与として受け止めた場合、どうにか説明が付かないか? と考えているところなのだが、それこそ以前想定したマイナー向けオルタード・スケールに似ていることに気づいた。それぞれの話を振り返って、改めて問題のスケールについて考えてみたい。

まず、オイラが耳コピーではじき出したスケールがこちら。

P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
F   G     A#   B#(C) C# D   E
  b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

なお、見かけ上のトニック(P1に位置づけている音名)は、この箇所で耳コピーしたベースの中心的な音(当然実際にプレイされたベースは動き回っているのだが、そういったフレーズにおいて、オイラの感覚に照らして一番目立つ音。何らかの楽理に照らして「トーナル・センター」なり「トニック」なりと位置づけ可能なのかどうかは、さしあたり度外視)。本当にこの音がトニックなのかどうかは分からない。

オイラが以前想定したマイナー向けオルタード・スケールとは、こういうものだ。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
残すコード・ノート m       s#    
    r  
裏スケール tb db(=t)     r mb   f sb   lb  
マイナー向けオルタード? m f sb   lb(=s#)   tb db(=t)     r  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

一応振り返っておくと、ハーモニック・マイナーをドミナントから並べたハーモニック・マイナー5thビロウを想定し、そこから取り出されるドミナント・セブンス・コードのコード・ノートのうち、ルート、トライトーンをナス2音、合わせて3音を保存する。続いて、元のハーモニック・マイナー5thビロウの裏スケールを想定する。上で残した3音以外を裏スケールから補充して、マイナー向けオルタード・スケールのできあがりだ。

ちなみに、こんなスケールは市販の楽理本では紹介されていない。飽くまで、ミクソリディアンとその裏スケールからオルタード・スケールが構成される手順を、ハーモニック・マイナー5thビロウに当てはめることで、オイラが人為的にひねり出したものでしかない(ただし、オイラか知らないだけで既にどこかの学者先生がこういうスケールを考えていたりした場合は、平にご容赦を)。

このスケールを並べ替えて、上で示した耳コピーしたスケールと比較してみる。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
耳コピーしたスケール F   G     A#   B#(C) C# D   E
マイナー向けオルタード・スケール   tb db(=t)     r   m f sb   lb(=s#)
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

こうして比較すると、オイラの耳コピーが間違っていてFが半音上ではないか? とすら思えてくる。そうだとすると、マイナー向けオルタード・スケールが実際に使われている例を発見したとも言えるではないか! そこで、この辺りの問題について掘り下げてみたい。

シャープの付き方には規則があって、Fから完全5度間隔で増えていく。より根源的には、ファ#をシと読み替えることで、元のキーから見たドミナント・キー(スケールの長短は並べ替えの問題に過ぎない)が得られる、という規則がある。これをKey Cに当てはめると、Fに#がついてシと読み替えられるため、ドはGとなり、Key Gが得られるわけだ。この作業を繰り返すことで、シャープはFから始まって完全5度間隔で増えていく。列挙すると

F C G D A E B

の順序でシャープが付くわけだ。

耳コピーしたスケールを見ると、他の音にシャープが付いているのに、Fに付いていないというのは不思議。真っ先にシャープが付くべき音だからだ。試しに耳コピーした譜面のFを半音上げてみる。これで聴感上違和感がなければ問題解決、マイナー向けオルタード・スケールの実例発見! となるのだが……やはり違和感がある。改めて原曲を聴き直したが、Fはナチュラルだ。マイナー向けオルタード・スケールが使われている可能性は、消えた。


そこで、試しに変化記号のある音をエンハーモニックで読み替えてみる。

P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
F   G     Bb   C Db D   E
  b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

ぐっと変化記号が減った。こちらの表記の方が「比較的」〈正しい〉かもしれない(正誤に「比較的」なんて程度があり得るかどうかは大いに疑問なのだが)。

フラットにも付き方の規則があって、Bから完全4度間隔で増える。シにフラットが付いてファと読み替えられるのだ。Key CのシはBで、これにフラットが付いたBbがファと読み替えられる。こうしてサブドミナント・キーのKey Fが得られる(やはりスケールの長短は並べ替えの問題に過ぎない)。このため、フラットは

B E A D G C F

の順序で増える。ちなみにF以外は、6弦ベースの開放弦のチューニングと一致する。

読み替えたスケールを見ると、真っ先にフラットが付くBにしっかりフラットが付いていることから、Dbは何らかの変化音のように見えてくる。しかも見かけ上のトニックはF。Key Fと考えれば、まさにKey Cから見たサブドミナント・キーではないか! 実は、耳コピーした脈絡では、この箇所の手前の小節はまさにKey CのC maj.、コードはFM7/Cなのだ。となると、この箇所はKey Cからサブドミナント・キーへの単純な転調で片付くことになる。検討してみよう。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
耳コピーしたスケール F   G     Bb   C Db D   E
Key F階名 d   r   m f   s   l   t
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

こうして見ると、Dbはソ#ないしラbの位置に相当することが分かる。よって、ハーモニックのメジャーにせよ、マイナーにせよ、Dbは経過音的に使われたことで耳に付いた音ではあっても、スケール固有音ではなさそうだ。ミに相当するAが存在しないのも不自然に見えてくる。

シャープ系で考えた時は、CをむしろB#と考えることでスケール・ノートが全て揃っているように思えたのだが、フラット系で考えると、Cは飽くまでC、A#もBbと読み替えられたため、A系の欠落がまさに不自然なものと思えてくる。

そこで、問題の箇所をKey Fと捉えて、譜面を確認する……全く違和感がない!

すると、やはりDbはソ#にせよラbにせよ、経過音・派生音であって、固有音ではなさそうだ。また、Dbがそういう位置づけだからこそ、スケール・ノートとして盛り込んでも聴感上違和感がなかったのも頷けるというものだ。Key Fと捉えるのが、「比較的」ではなく、「確実に」正しいに違いない!


マイナー向けオルタード・スケールの可能性がこれで完全に消えたのは残念だが、スケールの判定に困ったらエンハーモニックで読み替えて考えてみるのが有効だという経験則が得られたのは、収穫だ。
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HN:
べぇす
性別:
男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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