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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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この本を読んでいます。



現在クラシックでのコード表記について確認しています。前回から4声コードの確認に入り、属七の和音、ポピュラーで言うドミナント・セブンス・コードの表記を確認しました。

ザッと復習しておきましょう。バスを「1」としてコード・ノートの音度を長短、完全・増減を略して表記すると、こうなります。
  • PF: 1 3 5 7
  • R1: 1 3 5 6
  • R2: 1 3 4 6
  • R3: 1 2 4 6
クラシックでのアラビア数字を使ったコード表記では、「1」は自明ですから省略します。その上で、出来るだけ少ない文字数でコードの〈形〉(基本形か、転回形ならどの転回形か、という話ですが、そういえば以前英語でchord shapeって言い回しを見かけて意味が分からなかったんですよね。ここで問題にしていることをchord shapeって言うんですかね??)を表します。ここから、PFにしか登場しない「7」でPFを示します。

同様に考えればR3にしか登場しない「2」でR3を示すことが出来そうなものですが、PFは明らかにバスから3度堆積によって構成されるコードなのに対して、転回形は、転回によって一部コード・ノート間のインターバルが2度となります。このため、
  • どこで2度間隔になるか
  • どこから3度間隔に戻るか
も示すことになります。R3は、「2」とある段階で、バスの「1」と「2」の間が2度であることは明白ですから、どこから3度間隔に戻るかを示すことになります。このため、R3は「2 4」と示すことになります。

すると、R1は「1 3 5」と3度堆積に適いつつ、その後の「6」が「5」から数えて2度となるため、「5 6」と表記します。「5」で2度間隔になるものと誤解が生じそうでもありますが、続く「6」によってそういった誤解は解消されちゃいますよね。

R2は「1 3」と3度堆積が続いた後、「4」が「3」の後2度間隔となり、その「4」の後は3度間隔に戻り、「6」となることから、「4 6」となります。ただ、少なくともドミナント・セブンス・コードのR2については、なぜか「4」がカッコで括られていました。この理由は現時点では謎です。

実際には、導音を示す「+」や、減5度を示して「5」に斜線が加えられたり、「3」に各種記号を添える場合は数字を省略して記号のみ記す、などといった更なる書き込みがなされるのですが、少なくとも音度表記については、下から上に向かって次のように書かれるものとまとめて良いものと思われます。
  • PF: 7
  • R1: 5 6
  • R2: (4) 6
  • R3: 2 4
なお、R2の「4」については、他のコード・クォリティの4声コードについても括弧で括られるのかどうかについては、現時点では分かりません。この点の確認も込めて、他のコード・クォリティがどのように表記されるのかを確認していきましょう。

今回確認するのは「導七」の和音です。ポピュラー風に言えば「ハーフ・ディミニッシュ」、コード・クォリティが「m7(b5)」のコードです。Key C上では「Bm7(b5)」と言うことになりますが、ポピュラーではルートと見なされるBも、クラシックでは単なる「バス」、根音(ルート)はGという扱いです。

幸い、コード・ノートを表すアラビア数字は「バス」からの音度を示しますから、Bがルートか? バスか? と神経質にならなくても良さそうですが、機能和声におけるケーデンス(クラシックでは「カデンツ」と言うんだっけ? そういえば「カデンツァ」とはどう違う?? また今度調べておこう)の説明の仕方・流儀の違いに関わってきそうですから、「クラシックではバスとルートは違う」ってことは、意識しておいた方がよさげですね。

ともかく、今回検討する譜例はこうなっています。

half_dim.jpgPFはBm7(b5)の基本形ですね。3度堆積の4声コードですから「7」と記すだけでも良いはずですが、それこそハーフ・ディミニッシュ。(ルートではなく)バスのBから見た「5」、すなわち5度のFが減5度となりますから、「5」に斜線が入ってますね。

調号からKey Cなのは明かですが、C maj.か、A min.かは、調号だけでは判断できません。仮にA min.だとすると、導音はAの半音下、すなわちG#となるわけですが、Bm7(b5)のコード・ノートにはG#が含まれていません。他方、C maj.だとすると導音はBとなりますが、この場合はまさにバスに相当します。バスの「1」は表記しませんし、表記されない数字に対する記号は3度に対するものですから、いずれにしてもこのコードに関しては導音を示す「+」は記されません。

R1は、PFのバスであるBが上に転回されることで、新たなバスがDとなったものですから、ポピュラーで言うBm7(b5)/Dに当たります。上で確認したように、3度間隔が2度間隔に変わっている「5 6」の数字が記されています。なお、「6」に「+」が添えられています。この「6」はPFではバスだったBです。Bを示す「6」に「+」が付いているのですから、Bが導音、すなわちこのコードが登場する脈絡はC maj.と言うことになります。

さて、R2ですが、この数字の書き方はよく分かりませんね。ともかく、R1において分母、バスだったDが上に転回され、Fが新たなバスとなったので、Bm7(b5)/Fに相当するコードです。上で述べたように、前回までに確認した数字の付け方に従えば「(4) 6」となりそうなものなのですが、ここでは「3 4」となっています。「4」はバスのFから数えて4度であることを示し、音名で言えばBですから、「4」に「+」が添えられて「+4」と表記されるのは分かります。ですが、なぜ3度堆積に戻ることを示す「6」ではなく、2度堆積の起点となる「3」が記されるのでしょう? この譜例を見る限りでは、謎です。

勝手に憶測してみます。ウィキペディアの「数字付き低音」のエントリーには、次のような説明があります。

数字付き低音とは通奏低音の和音楽器の演奏(リアライズ)のために、音符の上または下に数字を付けた楽譜をいう。普通、バス記号(ヘ音記号)で書かれる。

通奏低音では、和音楽器は、低音の上に和音の音を加えて即興的に演奏する。本来何の和音とするかは演奏者に任されるべきであるが、他パートの音から瞬時にそれを判断するのは困難であることから、何の和音にするかを示すための数字を音符に付す。数字は、低音からの音程の度数を表すもので、「3」とあれば、低音の上3度の所に音があることを示す。ただし、実際にそれらの音をどのオクターブに置くかは演奏者に任され、演奏者は和声的に正しくなるように、4声または3声で演奏する。当然、和声的な正しさだけでなく、音楽的に優れたものであることが要求され、自由な装飾を付けることも行われる。


『和声の歴史』にある譜例はト音記号で書かれていますが、数字付き低音自体は通奏低音向けなので、本来ならヘ音記号で書かれる、と言うことなのでしょう。ともかくこれを見ると、
  • クラシックのベース・パートも、数字付き低音が記されていれば作曲者は即興での演奏を期待している
と考えて良さそうです。他方、即興についても一定の「縛り」を施すために、まさに付けられた数字によって、「重用して欲しい音」を作曲者は指定するのでは? と考えたくなります。

他方、それでもある程度付けられる数字が限られてくるなら、指定されるコードの〈形〉(基本形か、何らかの転回形か)によって、一般に好ましいとされる音はある程度限られてくるものなのかもしれません。すると、通奏低音の演奏(リアライズ)方法とは、ポピュラー的に言えば即興でベース・ラインを組み立てる方法に相当し、古くから定式化されていた??

ギターの世界では「ネオ・クラシカル」というのをたまに耳にしますが、通奏低音の手法を取り込んだベースってのが登場すれば、そういうベースを「ネオ・クラシカル」と呼んでも良いのかなぁ? むしろ、通奏低音に似つかわしい言い方となると、……「ネオ・バロック」とでも言うべき?

ともかく。すると、R2向けに付与される数字は、基本形や他の転回形に比べて幅があるのかもしれませんね。だとすると、第2転回形のコードとしての特質が他の〈形〉と際だって違う特徴ゆえにそうなるのかどうか、といったところも気になってきますが、さすがに蛇足が過ぎるので。。。

R3について。R2のバスだったAが上に転回されることで、新たなバスがAとなったものですから、ポピュラーで言うBm7(b5)/Aに相当します。数字は、上で示した「2 4」に適っています。「2」は導音のBに当たりますから「+」が添えられ「+2」となるのは分かるのですが、「4」がカッコに括られているのはなぜでしょう?

前回までは、単に表記上の都合、書かなくてもコードの〈形〉を判定できる等の理由で、「表記上は」省略可であることを示しているのではないか? と推測していました。ですが、今回は通奏低音との関わりについても考えましたので、このカッコは「リアライズの際、『使うな』とは言わないが、なければないで困らない音」みたいなことを示しているのでは? という可能性も出てきそうな気がします。この可能性について、簡単に考えてみます。

今まで見てきたように、C maj.の脈絡におけるBm7(b5)の各種〈形〉を考えてきたわけですが、このコードの機能をポピュラー的に考えれば、ドミナント・コードの代理と言えそうです。ドミナント機能は、トライトーンによって生じる不協和が、解決を求めることで起こす「ドミナント進行」に求められますから、このコードにおいてトライトーンを成すBとFはまさにドミナント機能を担保する、不可欠な音となります。R3のバスはAですから、BとFを表す2と4はまさに不可欠な音。では、どうしてFを表す4は括弧で括られているのでしょう?? 不可欠なら、省略すべきではなさそうすですよね。。。

他方、バスのAから見ると、Fはm6に当たる音です。転回させると、Fから見てAはM3となります。元のコードが転回されている理由が、まさにそのバスが欲しいからだとするなら、バスの省略は好ましくないでしょう。他方、バスと協和音程をなす音を奏でることによって、ドミナント機能、すなわちトニックへの解決を促す原動力が失われ、「協和しているから留まっていていい」という雰囲気を作ってしまうのでは、トライトーン云々をさておき、好ましいとは言えないのかもしれない??? もちろん、2を伴って4を奏でる分にはトライトーンの効果は出るでしょうが、そうすることでバスの効果が失われては本末転倒と言えるかもしれない。。。

まぁ、今チラと考えただけなので真相は分かりませんが(^◇^;)

他方、もしホントにそういうことが潜んでいるのだとすれば、過去にバンドなどでベースをプレイした自分の経験から言って、こんなこと一度も考えたことがなかったです、ホント(^◇^;) だとすると、バンドの人はオイラに対して「嫌な音弾くなよ」と思ったりもしていたんでしょうか??

ともかく、このような通奏低音として好ましいかどうか? という観点で、今回のハーフ・ディミニッシュを再検討してみましょう。

PFの斜線付きの5は、バスとトライトーンを形成するので欲しい音ですね。また、7は、コードとしては上の音ですが、通奏低音(ベース・ライン)としては、むしろ下に来るとよさげです。

R1の「5 +6」は、何よりも導音が必要です。ドミナント代理であれば、トニックへ進む必要があるわけですから、導音はまさにトニックへ進行しやすい音です。その2度下の5は、よって5、+6、トニックと順次進行することになるので、ドミナント進行としては非常に好ましいと言えそうです。

これと同じ理屈で、R2の3、+4も、トニックへ進行する上で好ましい、と言うことになりそうです。

では、前回確認した、ドミナント・セブンスのR2をこの観点で捉えればどうなるでしょうか?

G7のR2ですから、コード・ノートは下からD F G BとなるG7/Dです。数字表記が「(4) 6」だったことから、Gにはカッコが付けられていることになります。まさにドミナント・コードですから、トライトーンを成すFとBは欠かせないですし、Bは6で表されているわけですから、ここは納得です。4はGに当たりますが、こちらはルートに当たります。わざわざ転回してDをバスにしているのですから、むしろルートのGはあまり強調して欲しくない、との理由でカッコが付けられているのでしょうか? また、4ですから、バスから見てポピュラーで言うsus4と言うことになり、手前から繋留されるという全く別な効果が生じてしまい、それが好ましくないのかも??

……というわけで、通奏低音の観点からすると、説明が付きそうな気もしてきますね。飽くまで数字がどのように付けられているのかについて、譜例から推測しているに過ぎないのですが、
  • より少ない表記でコードの〈形〉を限定する
  • 通奏低音のリアライズ(即興でのベース・ライン構築)向けの指示を出している
という2つの観点から、更に考察を続けてみます。

しかし、ホントなかなか本論に進んでいけないな(^◇^;)


今回はここまで。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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