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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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こちらの本を読んでいます。



前回から和音の話に入っています。基本的な筋は、
  • 異なる旋法から構成される和音も、元の音列が同じなら、構成される和音も一致する
  • そこで、重要な旋法7種を調べると、4種の音列に集約・還元できた
というものです。当然ここからの帰結は、
  • 4種の音列から構成可能な和音を調べれば、コード・クォリティを網羅できる
という話になります。今回はここに取り組みたいのですが、ポピュラーとクラシックとでは和音(コード)の扱いが異なります。

そこで今回は、前回確認した4種の音列から構成可能なコードをポピュラーの手法で網羅してみます。その上で、本書で紹介されているクラシックの観点から命名され、説明のために用いられた譜例を確認することで、発想の違いなどを確認したいと思います。

そうは言っても、オイラが初めてポピュラー系の楽理を独学したときにはさっぱり理解出来ませんでした。その後、むしろクラシックの音楽学者である東川清一の、ホントに入門書レベルの本を読むことで、オイラなりの階名に基づく考え方の基礎をそれなりに定めることで、ようやくポピュラー系の楽理本を読んでそこそこ理解出来るようになった、という厳然たる事実があります。ですから、オイラが「ポピュラー的手法」と言っても、他のポピュラーの人に言わせれば「そんな考え方しねぇよ」と言われるかもしれませんが(^◇^;) ご了承ください。

ともかく、集約できた4種の音列とは、ポピュラー風の名前で言えば以下のようになります。
  • ナチュラル・メジャー・スケール
  • ハーモニック・メジャー・スケール
  • ハーモニック・マイナー・スケール
  • メロディック・マイナー・スケール
音列そのものは他にもありました。やはりポピュラー風の名前で行きますが、まず、メロディック・マイナー・スケールが上行形と下行形で区別されていました。下行形はナチュラル・メジャー・スケールと外延が一致します。また、メロディック・メジャー・スケールとリディアン7thスケールは、メロディック・マイナー・スケールの上行形のモードと言えます。このため、結局は上の4種の音列に還元できることになるわけです。以上4種を階名で一覧にすると、こうなります。話を単純にするため、全てドから並べて考えます。

N. maj. d   r   m f   s   l   t
H. maj. d   r   m f   s lb     t
H. min. d   r   m f     s# l   t
M. min. d   r   m   f#   s# l   t

他の方はどうか分かりませんが、オイラは階名で考えた4声和音のルートとコード・クォリティを対応させて丸暗記しています。そして、残る3種の音列から構成できるコードは、ラb、ソ#、ファ#の変化音によってコード・ノートのインターバルがどう変化するか? を考えることで、コード・クォリティを導いています。そこで、基準となるナチュラル・メジャー・スケールから構成されるコード(いわゆるダイアトニック・コード)の一覧を示しておきます。

C. Notes C. Quality
d m s t M7
r f l d m7
m s t r m7
f l d m M7
s t r f 7
l d m s m7
t r f l m7(b5)

では、ハーモニック・メジャー・スケールから構成されるコードを考えてみます。ラが全てフラットしますので、その結果どうコード・クォリティが変わるかを考えれば良いわけです。

N. maj H. maj.
C. Notes C. Quality C. Notes C. Quality
d m s t M7 d m s t  
r f l d m7 r f lb d m7(b5)
m s t r m7 m s t r  
f l d m M7 f lb d m mM7
s t r f 7 s t r f  
l d m s m7 lb d m s M7(#5)
t r f l m7(b5) t r f lb dim7

コード・クォリティが空欄の箇所は、ナチュラル・メジャー・スケールの場合と同じです。

念のため、考え方を示しておきます。ナチュラル・メジャー・スケール上でレをルートにコードを構成すると、コード・クォリティはm7となり、コード・ノートはレ ファ ラ ドです。ハーモニック・メジャー・スケール上でレをルートとしてコードを構成すると、第5音のラが半音下がりますが、他の音は一緒。ですから、m7の第5音だけフラットさせたm7(b5)となります。

マイナー系もこの調子で考えれば、一覧を得られます。

N. maj H. min. M. min.
C. Notes C. Quality C. Notes C. Quality C. Notes  
d m s t M7 d m s# t M7(#5) d m s# t  
r f l d m7 r f l d   r f# l d 7
m s t r m7 m s# t r 7 m s# t r  
f l d m M7 f l d m   f# l d m m7(b5)
s t r f 7 s# t r f dim7 s# t r f# m7(b5)
l d m s m7 l d m s# mM7 l d m s#  
t r f l m7(b5) t r f l   t r f# l m7

ハーモニック・マイナー・スケールで空欄のコード・クォリティはナチュラル・メジャー・スケールのものに、メロディック・マイナー・スケールで空欄のコード・クォリティはハーモニック・マイナー・スケールのものに、それぞれ一致します。

こうして網羅すると、コード・クォリティは以下の7種しかありません。
  • M7
  • m7
  • 7
  • m7(b5)
  • mM7
  • M7(#5)
  • dim7
ポピュラーではコードは4声で考える場合がほとんどですのでこれで十分なのですが、今のうちにトライアドも考えておきましょう。上記7種から第7音を省いたコード・クォリティを考えれば済みます。

  • M7 → (メジャー・トライアドはコード・クォリティを表すシンボルがありません)
  • m7 → m
  • 7 → (メジャー・トライアドはコード・クォリティを表すシンボルがありません)
  • m7(b5) → dim
  • mM7 → m
  • M7(#5) → aug
  • dim7 → dim
トライアドだと4種類に絞られますね。

以上のコード・クォリティをクラシックではどう言うのか? 比較してみましょう。

まずはトライアド。トライアドに当たるクラシックの用語は「三和音」です。
  • メジャー・トライアド: 長三和音
  • マイナー・トライアド: 短三和音
  • ディミニッシュ・トライアド: :減五の和音
  • オーギュメント・トライアド: 増五の和音
続いて4声コード。実は、「4声コード」という言い方はオイラが勝手に使っているだけで、一般にポピュラーではなんと呼ばれているのかを、オイラは知らないんですよ(^◇^;) 「セブンス・コード」と言えばいわゆるドミナント・セブンス・コードのことですからねぇ……。ともかく、クラシックでは「七の和音」と言います。
  • (ドミナント・)セブンス・コード: 属七の和音
  • ハーフ・ディミニッシュ・コード: 導七の和音
  • マイナー・セブンス・コード: 短七の和音
  • メジャー・セブンス・コード:長七の和音
  • ディミニッシュ・セブンス・コード: 減七の和音
  • マイナー・メジャー・セブンス・コード: 短三和音上の長七の和音
  • メジャー・セブンス・シャープ・ファイブ・コード(??): 増五の和音上の長七の和音
M7(#5)のコードを一般にどう呼ぶのか、考えてみたらポピュラーでもほとんど使ったことがなく、よく分からないというのが本音。上に書いた「メジャー・セブンス・シャープ・ファイブ・コード」というのは、もうベタに読んだだけのものです(^◇^;)

ともかく、こんな訳で、ポピュラーの手法で網羅されるコード全てはクラシックも網羅しており、名前が違うだけで全て中身は一緒です。

ただ、クラシックの場合、転回形をキッチリ分類するため、以前述べたアラビア数字による音程表記の問題が出てきます。そこで、次回は譜例に記された表記を確認することで、音程表記の仕組みを確認したいのですが、譜例を巧く書けるかどうかが心配です(^◇^;) そういった問題から次回更新までちょいと時間がかかりそうです。


ついでなので、ちょいとお断りを。

もしかすると、クラシック系の人がこれを読むと、「クラシックでもそんな言い方はしないぞ!」と仰るかもしれません。そこで、ちょいといい訳しておきます。

現在読んでいる『和声の歴史』は、元のフランス語では1965年に刊行されており、翻訳は1969年になされています。翻訳を基準に考えても40年も前の本ですから、今日のクラシック系とは言葉遣いの慣習が異なっている可能性もあります。他方、オイラが持っている本は今年印刷された第18刷です。当然40年もあれば翻訳なさった方が読者からの指摘などを受けて、あったら誤訳を訂正したり、適宜書き足したりも出来るでしょう。その上で、それこそ『カラマーゾフの兄弟』のような新訳が出たわけでもありませんから、恐らく本書で使われている言葉遣いは、現在も問題なく通用するものと思われます。

他方、オイラが以前東川清一の本を読んだときには見たこともなかった「音列」「ハ調」などといった言葉が登場していることもありますので、一口にクラシックといっても、もしかすると「どの国のものか?」によって言葉遣いがかなり違っているのかもしれません。

一応オイラは哲学の修士号を持っていますが、どこでもいいですから哲学科のある大学のホームページでも見て確認してください。時代区分としては古代、中世、近代、現代といった区分があり、古代と言えばギリシア哲学しかないといって良いでしょうが、近代哲学と言えばフランスとドイツに分かれ、現代と言えば英米、という感じに、だいたいは分類されます。こうした事情がもしかすると音楽にも当てはまるのかも知れません。つまり、スケールやモードの名称の起源としてはギリシアに遡るかもしれませんが、今日のクラシックと言えばドイツ系とフランス系に分けられるのかもしれませんし、ポピュラーとなると英米系といいますか、アメリカのバークリー音楽院(ポピュラー系楽理の大本)やニューイングランド音楽院のリディクロ、クラシックにしてもアメリカにはジュリアード音楽院だってあります。そういう意味では、勝手な憶測ですが、クラシック系の用語、言葉遣いは、ドイツ系、フランス系、英米系で異なっている可能性は、十分にあると思います。

オイラが現在読んでいる『和声の歴史』は、元々はフランス語ですので、フランス系の言葉遣いが反映されているかと思います。このため、クラシックの経験がある人も、子供の頃にピアノやバイオリンを習ったと言う人の場合は、習った教師が特に断りなくご自分の系列の言葉遣いをしていたでしょうから、それを所与として受け止めているかと思います。その後クラシックで本格的に音楽を突き詰めたのでもない限り、それがドイツ系だったのか、フランス系だったのか、なんてことは意識しなくて当然だと思います。加えて、幼少期に習う音楽は、理屈による説明抜きで、「習うより慣れろ」、敢えて嫌な言い方をすれば〈動物の訓練〉みたいなものだったでしょうから、オイラがここで示している言葉を「聞いたことがない」としても、不思議はないかと思います。

問題は、現在音大などの現役で学んでいる人が、「そんな言葉は使わないぞ」と言う場合です。こうなると、素人のオイラには何とも言いようがありません。そこで、こういった言葉を、少なくとも『和声の歴史』の著者や訳者がどう受け止めているのかについて、引用しておきます。

この小冊子は、いわゆる和声論ではない。読者諸氏がソルフェージュのしっかりした授業で扱われる程度の和声にかんする基礎知識をもっておられれば、原則としてじゅうぶんである。(たとえば、度の名称、三音ないし四音からなる主要和音の名称、終止の定義、和声外音の定義など。)もっとも、本書だけでもある程度まで用が足りるように、符号と略号の一覧表のほかに、おもな旋法と和音の簡単な表、およびいくつかの用語の定義をのせておく。(p.13)
 

というわけで、著者に言わせれば、こうした用語は「ソルフェージュ」の範囲内だし、これについて訳者も特段の註を施していないことから察するに、日本においてもやはりソルフェージュの範囲から逸脱していないと、少なくとも訳者は判断しているものと思われます。ここでオイラが示している用語は、『和声の歴史』を逸脱しようもありませんので、基本的には問題ないはず、と思いますです。ハイ。
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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