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『和声の歴史』の目次は前回示した通りですが、「第1章 概論」は決して全体の概論・要約ではなく、全体を記述する際に前提とする用語や概念の確認に費やされています。他方、こういった概念や用語はクラシック系のものであり、オイラのような小中学校で習った音楽に関する極めて中途半端な知識と、独学による断片的なポピュラー系の知識しかない者にとっては、こういった概念・用語を把握するだけでもかなり骨が折れる作業となります。
ともかく、そういった概念・用語を今回からしばらく掛けて確認します。
なお、日本語訳は縦書きで印刷されているのですが、五線譜は横書きです。本来横書きの五線譜に記される注釈の一種と言えるような様々な記号の類について、クラシック系の人など、既に知っている人には「ああ、あの話ね」と素通りできるようなことであっても、オイラには「これはどう『読む』んだ?」とか、縦書き印刷の都合配置が狂っているかどうかも分からないとか、そういうことが色々出てきます。加えて、ブログで表記可能な文字の配置にも限界がありますので、場合によってはオイラの紹介の仕方にも問題が生じ、クラシック系の人が読んでも「???」となる可能性もあるかと思います。こうした点については、是非コメントなどの形でご指摘頂ければ助かります。
ともかく、そういった概念・用語を今回からしばらく掛けて確認します。
なお、日本語訳は縦書きで印刷されているのですが、五線譜は横書きです。本来横書きの五線譜に記される注釈の一種と言えるような様々な記号の類について、クラシック系の人など、既に知っている人には「ああ、あの話ね」と素通りできるようなことであっても、オイラには「これはどう『読む』んだ?」とか、縦書き印刷の都合配置が狂っているかどうかも分からないとか、そういうことが色々出てきます。加えて、ブログで表記可能な文字の配置にも限界がありますので、場合によってはオイラの紹介の仕方にも問題が生じ、クラシック系の人が読んでも「???」となる可能性もあるかと思います。こうした点については、是非コメントなどの形でご指摘頂ければ助かります。
まず、概念と言うよりも、記号の使い方の確認です。
なんてことのない書き方ですが、少なくともおいらは、先を読み進めてはたびたびここに戻ってきて、意味を繰り返し噛みしめることとなりました。くどいようですが、オイラなりに注意すべき点を確認しておきます。
まず、カッコに括られた「65」は、恐らく縦に並べて書くべき数字です。縦に垂直に並べるべきなんでしょうが、ブログで可能な文字の配置にも限界がありますので、今後は「65」としておきます。ただ、3つ以上の数字を並べなければならない場合もあるかもしれません。この辺は必要が生じたときに考えることとします。
さて、重要なのは、和音、つまりコードが前提とされていること。コードが登場しない限り、アラビア数字は使わない、と言うことですね。また、「実際に書かれた低音からかぞえての音程を示す」のですから、ルートからのインターバルではなく、バスからのインターバルを問題にしている、と言うことです。すると、カッコにある例の「65」は、バスから見た「5」の音と「6」の音が、上に重ねられる、と言うことになります。
ただ、音程の数え方について、少なくともここを読んでいる限りでは説明がありませんので、先を読み進め、実例で確認していくことになるかと思います。恐らくポピュラーにおけるアラビア数字の使い方は、このようなクラシックでの使い方から踏襲されたものだとは思うんですが、完全音程、長短増減などの問題もあって、少なくともオイラは単なる数字ではなく、P5だとかm6、M7、dim7、#5等の形でアルファベットなどと組み合わせています。対して、それこそ「65」は数字だけですし、「#6」に至っては、オイラだけではなく、ポピュラーしか知らない人には「???」だと思います。6度は長短音程ですから、「#6」は長6度(オイラであれば「M6」と書きます)に当たるのでは? と考えたくなりますが、「65」の例もありますからね。「6」だけで短6度と考えるのは、無理がありそうです。
このような数字は、恐らくメジャー・スケールを物差しとして、バスをドに位置づけ「1」と読んだ上で、階名を全て数字に置き換えているだけではないか? とは思うのですが、だとすると「#6」は「増6度」(長6度の半音上)に相当するこになりますし、ポピュラーの人間なら「どーして『短7度』として『b7』とでも書かないんだ?」という疑問を抱くでしょう。他方、ポピュラーにおける「7」も厄介で、コード・ネームではルートから見た短7度を示すわけですから、気をつけていないと混乱必至です。
ともかく、現時点ではまだこの数字の使い方は詳細不明のままとしておきますが、「実際に書かれた低音からかぞえての音程を示す」のですから、ルートからのインターバルではなく、バスからのインターバルを問題にしている、ということだけは、今のうちにしっかりと押さえておくべきでしょう。
恐らく、結果的にはそんなに気にしなくても大丈夫そうなのですが、念のため。というのは、昔オイラが何かで読んだ本では(記憶が曖昧ですが、俗に「黄色い楽典」と呼ばれる『楽典―理論と実習
』だったような気がします)、クラシックで度をあらわす場合は、マイナー・スケールの脈絡の3度を示すのに、単に「Ⅲ」となっていたと記憶しているからです(誤解かもしれません)。他方、「#Ⅲ」「bⅥ」といった例も示されていることから、もしかするとポピュラーにおけるナッシュヴィル・ナンバリング・システムと同じようなローマ数字の使い方をするのかもしれません。ですから、ローマ数字の場合も、アラビア数字同様、用例と照らし合わせて確認するとしましょう。
むしろより根本的に、「度」と「音程」がどう違うか? と言う問題が潜んでいます。オイラの誤解かもしれませんが、少なくともポピュラーの脈絡では、「度」とは「音程を示す単位」です。ですから、たとえばCから見たDは「長2度」ですし、Eから見たFは「短2度」ですが、このような「度」という単位で示され、計られるのは、音程、インターバルなのです。他方、ポピュラーにおけるローマ数字はナッシュヴィル・ナンバリング・システムに基づく、ある種の音の名前であって、「度」や「音程」ではありません。つまり、機能和声に基づくケーデンスで「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」などと記す場合、このローマ数字が示すのは、音程でもなければ度でもなく、そういう「音」、あるいはその音をルートとするコードだと考えます。そういう意味では、オイラの誤解でなければ、ポピュラーにおけるローマ数字は、トニックをⅠとする音の名前であって、決して度(で示される音程)ではないように思われます。ただ、もしかすると、ローマ数字が示す音の名前のことを「度」と言うのかもしれません。この場合、音程の単位となる「度」とは区別されることになります。
なお、このローマ数字が示す音の名前を「度」というのでは? との推測が正しかったとしても、気になることがあります。「ハ調でbⅡと書けば変ニ」とあるのですが……
まず、この長短の区別がない「調」という概念ですが、これは別途改めて検討します。とりあえず今は、「キー」のことだと思ってください。ですから、「ハ調」とは「Key C」のことです。
さて、キーのどの音をトニックにするか? によって音階の長短が変わります。つまり、階名で言って、ドがトニックとなれば長音階に、ラがトニックとなれば短音階になりますが、キーと言っている段階では、このような音階が定まっていません。ですから、「ハ調」についてもトニックが定まっておらず、よってⅠに当たる音名が特定されていません。この状態で、「ハ調でbⅡと書けば変ニ」と言えるのは、端的に不思議です。
「Key C」と言う場合のC、日本語式に「ハ調」と言う場合のCを、オイラは勝手にキーノート(英語でkeynote)と呼んでいます。英和辞典レベルではありますが、keynoteには「主音」という意味合いがあるのです。他方、日本語の「主音」はトニックのことであり、これはスケールを前提にした概念です。ですから、keynoteとトニックを混同するのは好ましくないと思います。そこで、キーを区別するために使っている音名(階名のドに相当する)を、キーノートと呼ぶことにしたわけです。これはオイラの勝手な言い回しであって、一般には通用しませんのでご注意を(^◇^;) ただ、スケールが、よってトニックが定まっていないうちに、「ハ調でbⅡと書けば変ニ」というと言うからは、オイラが言うキーノートをⅠと数えていると考えるしかないように思われます。ともかく、そう考えれば、「ハ調でbⅡと書けば変ニ」というのは、オイラの勝手な言い回しを交えたポピュラー風の語法では、「Key CでbⅡと書けばDb」と言い換えることが出来ることになります。
ただこの場合、あるキーから取り出されるマイナー・スケールを「度」で表す場合、どうなるのか? という問題が発生します。ポピュラーが採用するナッシュヴィル・ナンバリング・システムの場合、マイナー・スケールは
Ⅰ Ⅱ bⅢ Ⅳ Ⅴ bⅥ bⅦ
となりますが、もし「度」とはキーノートをⅠとする音の名付け方なのだとすれば、マイナー・スケールは
Ⅵ Ⅶ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ
と書き表されることになります。ただ、こんな書き方はきっとしないですよね?? と言うわけで、「度」が「音程の単位」ではないのだとすれば、どう捉えるべきか? この点は依然謎のままです。やはり本文での記述のされ方や譜例と照らして、確認する必要がありそうです。
「Ⅱ63」を「ニ-ヘ-ロの和音」と言うからには、Ⅰが「ハ」、すなわちCなのでしょう。だったら「ハ調」などと曖昧な書き方をせず、「ハ長調」とすべきでしょう。
ともかく、「Ⅱ63」のⅡは、「根音」すなわちルートではなく、バスであり、アラビア数字はそのバスからかぞえた音程を示すと言うことは、先のアラビア数字の説明にある通りです。ともかく、C maj.の脈絡で「Ⅱ63」と言えば、
ですから、ポピュラーではコード・ネームに大きく記された文字は例外なくルートかつバス、バスを別途指定するために分数コード表記した場合は、分子に大きく書かれる文字が例外なくルート、分母に大きく書かれる文字が例外なくバス、と捉えられるかと思います。これに対して、どうやらクラシックでは、大きく書かれる文字は飽くまで「バス」であって、必ずしもルートとは一致しない、と言うことになりそうです。
では、C maj.における「Ⅱ63」というコードのルートは何なのか? 上では、「Ⅴ(ト音)」、つまりGとされています。どういうことなのか、確認してみます。
C maj.におけるGをルートとする4声ダイアトニック・コードを考えてみます。大げさですが、念のためオイラがいつも使う表で確認します。
G7のGを省略したBdimのコード・ノートは、Ⅱ63と一致します。ただし、バスはⅡのDですから、ポピュラーでは「Bdim/D」とでも表記することになるかと思います。他方で、「Bdim/D」だと、「ルートはBでコード・ノートはB D F、ただしバスはD」という縛りだけで、Dの上に乗る音の順序までは指定していませんね。慣習的なヴォイシングはあるかもしれませんが、それも楽器によって弾きやすいものがあるだけで、「どの楽器だろうが音の重ね方はこれ」と明確に限定する訳ではないでしょうから。
その上で、「Bdim/D」ですが、バスはDでもルートはB、と言う点は、ポピュラーに馴染んでいる方なら異存はないと思うのですが、「Ⅱ63のバスはⅡでもルートは別」、とまで考える人は、やはりポピュラーの人にはいないのでは?? というのは、「Ⅱ63のバスはⅡでもルートは別」という命題は、ポピュラー的に言い換えれば、(スケールはとりあえずC maj.にしておきます)「BdimのルートはBではない」とでもなるからです。やはり、ポピュラーでは「BdimのルートはB」でしょう。
機能和声においてドミナント機能を果たすコードとしてⅦを位置づける際に、確かにⅤをルートとする5声コードのルート省略がⅦと一致するって話は出てきますが、それでもⅦのコードのルートはⅦと考えます(よね?)。ポピュラーが機能和声の理論を取り込む際に、ルート、根音という概念・用語が微妙に変化したようです。
ともかく、バスとルートの区別と、このようなローマ数字とアラビア数字の組み合わせによって、コードのヴォイシングは、ポピュラー以上に明確に限定出来ることになります。もちろん、ポピュラー、特にジャズでは、「同じコードならヴォイシングはプレイヤーの裁量に任される」のが慣習ですから、クラシック的に厳密にヴォイシングを定めるのはかえって「うざったい」だけなのかもしれませんが、だからこそ、ローマ数字をアルファベットの音名に置き換えてポピュラーのリードシートに 移入すれば、必要な場面ではかえって便利なのでは? という気がしないでもありません。
これらの略語はポピュラーでは一切使わないと思いますし、内容も分かるものと分からないものがありますね。
「B.F.」に対する「根音バス」と言う日本語は、これまで見たようなルートとバスの区別を踏まえると、「ルートとバスが一致している音のことを言ってるんだろうな」と見当が付きます。ですが、カッコで付与された「《根音》連続」となると、何の話だかさっぱり見当が付きません。ルートが連続するのだとすれば、ポピュラーではむしろエイト・ビートでベースがルート弾きするような場面を連想してしまいますからね。恐らく「ルートとバスが一致している場合の音」のことで良いのだとは思いますが、やはり実際の用例が登場したときに改めて確認しましょう。
「P.F.」の説明を見る限りでは、ポピュラーでは「基本形」ってやつでしょうね。
「P.M.」「P.m.」もポピュラーでは使いませんが、Mの大小からメジャーとマイナーの区別は付くので、なんとなく見当が付くでしょうね。しかし、だとすればPは何の略なんだろう??
Rで示される転回形ですが、ポピュラーでは第一、第二などと番号で区別する習慣がないような? あるいは、楽理本によってはそういう区別をしているんでしょうか? だとしても、ポピュラー系のバンドで「そこのコード、第三転回形を使って」なんてやりとりがなされているところを見聞きしたことがないんで……
最大の謎が「T.L.」。「移調の限られた旋法」という言い回しだけを見ると、移調「先」が限定される旋法ってことになるんでしょうか? 実際はそんなことありませんが、フリジアンのトニックをEには出来てもFにはできない、みたいな話??? これも実際の用例で判断しましょう。
まだまだ確認すべき用語・概念は残っています。今回はここまで。
アラビア数字──通常の数字づけ。すなわちある和音で、実際に書かれた低音からかぞえての音程を示す(65、#6など)。(p.13)
なんてことのない書き方ですが、少なくともおいらは、先を読み進めてはたびたびここに戻ってきて、意味を繰り返し噛みしめることとなりました。くどいようですが、オイラなりに注意すべき点を確認しておきます。
まず、カッコに括られた「65」は、恐らく縦に並べて書くべき数字です。縦に垂直に並べるべきなんでしょうが、ブログで可能な文字の配置にも限界がありますので、今後は「65」としておきます。ただ、3つ以上の数字を並べなければならない場合もあるかもしれません。この辺は必要が生じたときに考えることとします。
さて、重要なのは、和音、つまりコードが前提とされていること。コードが登場しない限り、アラビア数字は使わない、と言うことですね。また、「実際に書かれた低音からかぞえての音程を示す」のですから、ルートからのインターバルではなく、バスからのインターバルを問題にしている、と言うことです。すると、カッコにある例の「65」は、バスから見た「5」の音と「6」の音が、上に重ねられる、と言うことになります。
ただ、音程の数え方について、少なくともここを読んでいる限りでは説明がありませんので、先を読み進め、実例で確認していくことになるかと思います。恐らくポピュラーにおけるアラビア数字の使い方は、このようなクラシックでの使い方から踏襲されたものだとは思うんですが、完全音程、長短増減などの問題もあって、少なくともオイラは単なる数字ではなく、P5だとかm6、M7、dim7、#5等の形でアルファベットなどと組み合わせています。対して、それこそ「65」は数字だけですし、「#6」に至っては、オイラだけではなく、ポピュラーしか知らない人には「???」だと思います。6度は長短音程ですから、「#6」は長6度(オイラであれば「M6」と書きます)に当たるのでは? と考えたくなりますが、「65」の例もありますからね。「6」だけで短6度と考えるのは、無理がありそうです。
このような数字は、恐らくメジャー・スケールを物差しとして、バスをドに位置づけ「1」と読んだ上で、階名を全て数字に置き換えているだけではないか? とは思うのですが、だとすると「#6」は「増6度」(長6度の半音上)に相当するこになりますし、ポピュラーの人間なら「どーして『短7度』として『b7』とでも書かないんだ?」という疑問を抱くでしょう。他方、ポピュラーにおける「7」も厄介で、コード・ネームではルートから見た短7度を示すわけですから、気をつけていないと混乱必至です。
ともかく、現時点ではまだこの数字の使い方は詳細不明のままとしておきますが、「実際に書かれた低音からかぞえての音程を示す」のですから、ルートからのインターバルではなく、バスからのインターバルを問題にしている、ということだけは、今のうちにしっかりと押さえておくべきでしょう。
ローマ数字──度をあらわす。これは度そのものを示す場合と、和音の根音の度をあらわす場合とがある。たとえ、減七、導七の和音などのように《根音なしの和音》で、根音が実際の和音のなかに書かれていないとしても、根音の度を示すために用いることがある。斜線を施したローマ数字は、この数字で示される度の本来の和音が半音階的に、あるいは旋法的に変化していることを意味する。#ⅢやbⅥは数字の示す度(とその和音が)半音上げられているとか半音下げられているとかいう意味である。したがってハ調でbⅡと書けば変ニの音をあらわす(《ナポリの》調域)。(p.13-14、カッコの付き方が不自然だったため、こちらで調整した)
恐らく、結果的にはそんなに気にしなくても大丈夫そうなのですが、念のため。というのは、昔オイラが何かで読んだ本では(記憶が曖昧ですが、俗に「黄色い楽典」と呼ばれる『楽典―理論と実習
むしろより根本的に、「度」と「音程」がどう違うか? と言う問題が潜んでいます。オイラの誤解かもしれませんが、少なくともポピュラーの脈絡では、「度」とは「音程を示す単位」です。ですから、たとえばCから見たDは「長2度」ですし、Eから見たFは「短2度」ですが、このような「度」という単位で示され、計られるのは、音程、インターバルなのです。他方、ポピュラーにおけるローマ数字はナッシュヴィル・ナンバリング・システムに基づく、ある種の音の名前であって、「度」や「音程」ではありません。つまり、機能和声に基づくケーデンスで「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」などと記す場合、このローマ数字が示すのは、音程でもなければ度でもなく、そういう「音」、あるいはその音をルートとするコードだと考えます。そういう意味では、オイラの誤解でなければ、ポピュラーにおけるローマ数字は、トニックをⅠとする音の名前であって、決して度(で示される音程)ではないように思われます。ただ、もしかすると、ローマ数字が示す音の名前のことを「度」と言うのかもしれません。この場合、音程の単位となる「度」とは区別されることになります。
なお、このローマ数字が示す音の名前を「度」というのでは? との推測が正しかったとしても、気になることがあります。「ハ調でbⅡと書けば変ニ」とあるのですが……
まず、この長短の区別がない「調」という概念ですが、これは別途改めて検討します。とりあえず今は、「キー」のことだと思ってください。ですから、「ハ調」とは「Key C」のことです。
さて、キーのどの音をトニックにするか? によって音階の長短が変わります。つまり、階名で言って、ドがトニックとなれば長音階に、ラがトニックとなれば短音階になりますが、キーと言っている段階では、このような音階が定まっていません。ですから、「ハ調」についてもトニックが定まっておらず、よってⅠに当たる音名が特定されていません。この状態で、「ハ調でbⅡと書けば変ニ」と言えるのは、端的に不思議です。
「Key C」と言う場合のC、日本語式に「ハ調」と言う場合のCを、オイラは勝手にキーノート(英語でkeynote)と呼んでいます。英和辞典レベルではありますが、keynoteには「主音」という意味合いがあるのです。他方、日本語の「主音」はトニックのことであり、これはスケールを前提にした概念です。ですから、keynoteとトニックを混同するのは好ましくないと思います。そこで、キーを区別するために使っている音名(階名のドに相当する)を、キーノートと呼ぶことにしたわけです。これはオイラの勝手な言い回しであって、一般には通用しませんのでご注意を(^◇^;) ただ、スケールが、よってトニックが定まっていないうちに、「ハ調でbⅡと書けば変ニ」というと言うからは、オイラが言うキーノートをⅠと数えていると考えるしかないように思われます。ともかく、そう考えれば、「ハ調でbⅡと書けば変ニ」というのは、オイラの勝手な言い回しを交えたポピュラー風の語法では、「Key CでbⅡと書けばDb」と言い換えることが出来ることになります。
ただこの場合、あるキーから取り出されるマイナー・スケールを「度」で表す場合、どうなるのか? という問題が発生します。ポピュラーが採用するナッシュヴィル・ナンバリング・システムの場合、マイナー・スケールは
Ⅰ Ⅱ bⅢ Ⅳ Ⅴ bⅥ bⅦ
となりますが、もし「度」とはキーノートをⅠとする音の名付け方なのだとすれば、マイナー・スケールは
Ⅵ Ⅶ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ
と書き表されることになります。ただ、こんな書き方はきっとしないですよね?? と言うわけで、「度」が「音程の単位」ではないのだとすれば、どう捉えるべきか? この点は依然謎のままです。やはり本文での記述のされ方や譜例と照らして、確認する必要がありそうです。
アラビア数字とローマ数字の組み合わせ──ローマ数字の上や横に付いているアラビア数字は、ローマ数字で示される度からかぞえた音程を意味する。その場合、音程をかぞえる基礎になる度が、かならずしも根音とはかぎらない。したがって、ハ調でⅡ63と書いてあれば、ニ-ヘ-ロの和音をさすが、実際にはこの和音の基本音、つまり「根音」はニ音ではなくⅤ(ト音)である。(p.14)
「Ⅱ63」を「ニ-ヘ-ロの和音」と言うからには、Ⅰが「ハ」、すなわちCなのでしょう。だったら「ハ調」などと曖昧な書き方をせず、「ハ長調」とすべきでしょう。
ともかく、「Ⅱ63」のⅡは、「根音」すなわちルートではなく、バスであり、アラビア数字はそのバスからかぞえた音程を示すと言うことは、先のアラビア数字の説明にある通りです。ともかく、C maj.の脈絡で「Ⅱ63」と言えば、
- Ⅱ: Cから数えて2番目のスケール固有音であるD(ニ)
- 3: Dからから数えて3番目のスケール固有音であるF(ヘ)
- 6: Dから数えて6番目のスケール固有音であるB(ロ)
の3音が、低い方からD F Aの順に重ねられたコードを示すことになります。よって、ローマ数字の横に添えられるアラビア数字の上下は、音の重ね方に準じることになりそうです。大きく書かれたローマ数字がバス、その横にあるアラビア数字の位置が上なら上に、下なら下に配置されるのでしょう。よって、この例ではⅡの上に3、その上に6を重ねるものと思われます。なお、ブログで可能な文字の配置に限界があるため、アラビア数字を垂直には並べることが出来ないのですが、実際には垂直に並びます。
ちなみに、これを日本語で読む場合は「にい、さん、ろく」となるんでしょうか???
なぜこんなことを気にするのかというと、ポピュラーにおける分数コードの読み方がどうも人によって違うようだからです。
日本語の「分数コード」という言い方から考えても、数字の分数になぞらえているのは明かです。さて、「1/2」はどう読みますか? 小学校で習ったとおり、「二分の一」です。これに習えば、「C/D」は「D分のC」と読むことになります。ところが、かつてあるキーボーディスト(ラテン系に強い凄腕の方でした)は、これを「C分のD」と読んだのです。当然、これは大問題です。実際のやり取りで混乱するんですから。このキーボーディストは随分あちこちで活躍なさっていたので、分子を先に読むのがホントにポピュラーの慣習なのかもしれませんが、日本語の斉一性(と言えば大げさですが)にも関わることですし、個人的にはこんな慣習・語法は到底容認できません。少なくとも、こんなことを経験して以来、オイラは「C/D」を「C on D(シー・オン・ディー)」と読むようになりましたが、以来口頭で音楽の話をするのが怖くなりました。口頭で話したくないし、説明もしたくないですね。音楽の話は、メールなどの書面で済ませたいです。ホント。一部読者には「小学生じゃあるまいし」と不興を買うかもしれませんが、今後楽理本の執筆を考えている方には、是非「読み方」も記して欲しいと思います。
さて。「Ⅱ63」のⅡで示されるDが、根音すなわちルートではないことについて。コードにおける最低音ですから「バス」には違いありませんが、ルートではない、と言うのです。
ポピュラーでは、ナッシュヴィル・ナンバリング・システムにしても、コード・ネームにしても、大きく書かれる文字はルートを示すと考え、ルートがバスとは異なる場合は分数コード表記にします。各種分数コード表記の区別について明確な規則を教わったことはありませんが(解説している本もなさげ)、少なくともオイラが見た限りでの譜面では、おおよそ次のように使い分けられているような気がします。
ちなみに、これを日本語で読む場合は「にい、さん、ろく」となるんでしょうか???
なぜこんなことを気にするのかというと、ポピュラーにおける分数コードの読み方がどうも人によって違うようだからです。
日本語の「分数コード」という言い方から考えても、数字の分数になぞらえているのは明かです。さて、「1/2」はどう読みますか? 小学校で習ったとおり、「二分の一」です。これに習えば、「C/D」は「D分のC」と読むことになります。ところが、かつてあるキーボーディスト(ラテン系に強い凄腕の方でした)は、これを「C分のD」と読んだのです。当然、これは大問題です。実際のやり取りで混乱するんですから。このキーボーディストは随分あちこちで活躍なさっていたので、分子を先に読むのがホントにポピュラーの慣習なのかもしれませんが、日本語の斉一性(と言えば大げさですが)にも関わることですし、個人的にはこんな慣習・語法は到底容認できません。少なくとも、こんなことを経験して以来、オイラは「C/D」を「C on D(シー・オン・ディー)」と読むようになりましたが、以来口頭で音楽の話をするのが怖くなりました。口頭で話したくないし、説明もしたくないですね。音楽の話は、メールなどの書面で済ませたいです。ホント。一部読者には「小学生じゃあるまいし」と不興を買うかもしれませんが、今後楽理本の執筆を考えている方には、是非「読み方」も記して欲しいと思います。
さて。「Ⅱ63」のⅡで示されるDが、根音すなわちルートではないことについて。コードにおける最低音ですから「バス」には違いありませんが、ルートではない、と言うのです。
ポピュラーでは、ナッシュヴィル・ナンバリング・システムにしても、コード・ネームにしても、大きく書かれる文字はルートを示すと考え、ルートがバスとは異なる場合は分数コード表記にします。各種分数コード表記の区別について明確な規則を教わったことはありませんが(解説している本もなさげ)、少なくともオイラが見た限りでの譜面では、おおよそ次のように使い分けられているような気がします。
- 「ConD」式: 分母がバス(シングル・ノート)で、分子のコード・ノートに分母が含まれていない。
- 「C/E」式: 分母がバス(シングル・ノート)で、分子のコード・ノートに分母が含まれている。
- 「C_D」式: アンダーバーは実際には水平線で、Dが分母、Cが分子(ブログではこのタイプの分数は書けないので……)。「ConD」式と中身が同じ場合もあるが(というかほとんど)、分子・分母共にコードを示す場合も(稀に)ある。この場合、分子は俗に言う「アッパー・ストラクチャー・トライアド」の場合が多いが、分子・分母どちらも4声の場合もあったような気がする。
ですから、ポピュラーではコード・ネームに大きく記された文字は例外なくルートかつバス、バスを別途指定するために分数コード表記した場合は、分子に大きく書かれる文字が例外なくルート、分母に大きく書かれる文字が例外なくバス、と捉えられるかと思います。これに対して、どうやらクラシックでは、大きく書かれる文字は飽くまで「バス」であって、必ずしもルートとは一致しない、と言うことになりそうです。
では、C maj.における「Ⅱ63」というコードのルートは何なのか? 上では、「Ⅴ(ト音)」、つまりGとされています。どういうことなのか、確認してみます。
C maj.におけるGをルートとする4声ダイアトニック・コードを考えてみます。大げさですが、念のためオイラがいつも使う表で確認します。
P1 | m2 | M2 | m3 | M3 | P4 | #4/b5 | P5 | #5/m6 | M6/dim7 | m7 | M7 |
G | A | B | C | D | E | F |
G7のGを省略したBdimのコード・ノートは、Ⅱ63と一致します。ただし、バスはⅡのDですから、ポピュラーでは「Bdim/D」とでも表記することになるかと思います。他方で、「Bdim/D」だと、「ルートはBでコード・ノートはB D F、ただしバスはD」という縛りだけで、Dの上に乗る音の順序までは指定していませんね。慣習的なヴォイシングはあるかもしれませんが、それも楽器によって弾きやすいものがあるだけで、「どの楽器だろうが音の重ね方はこれ」と明確に限定する訳ではないでしょうから。
その上で、「Bdim/D」ですが、バスはDでもルートはB、と言う点は、ポピュラーに馴染んでいる方なら異存はないと思うのですが、「Ⅱ63のバスはⅡでもルートは別」、とまで考える人は、やはりポピュラーの人にはいないのでは?? というのは、「Ⅱ63のバスはⅡでもルートは別」という命題は、ポピュラー的に言い換えれば、(スケールはとりあえずC maj.にしておきます)「BdimのルートはBではない」とでもなるからです。やはり、ポピュラーでは「BdimのルートはB」でしょう。
機能和声においてドミナント機能を果たすコードとしてⅦを位置づける際に、確かにⅤをルートとする5声コードのルート省略がⅦと一致するって話は出てきますが、それでもⅦのコードのルートはⅦと考えます(よね?)。ポピュラーが機能和声の理論を取り込む際に、ルート、根音という概念・用語が微妙に変化したようです。
ともかく、バスとルートの区別と、このようなローマ数字とアラビア数字の組み合わせによって、コードのヴォイシングは、ポピュラー以上に明確に限定出来ることになります。もちろん、ポピュラー、特にジャズでは、「同じコードならヴォイシングはプレイヤーの裁量に任される」のが慣習ですから、クラシック的に厳密にヴォイシングを定めるのはかえって「うざったい」だけなのかもしれませんが、だからこそ、ローマ数字をアルファベットの音名に置き換えてポピュラーのリードシートに 移入すれば、必要な場面ではかえって便利なのでは? という気がしないでもありません。
略語──B.F.=根音バス(《根音》連続)、P.F.=和音の基本位置(転回位置にたいして言う場合)、P.M.=長三和音、P.m.=短三和音、R1・R2・R3・R4など=和音の第一・第二・第三・第四転回など、T.L.=移調の限られた旋法。(p.14)
これらの略語はポピュラーでは一切使わないと思いますし、内容も分かるものと分からないものがありますね。
「B.F.」に対する「根音バス」と言う日本語は、これまで見たようなルートとバスの区別を踏まえると、「ルートとバスが一致している音のことを言ってるんだろうな」と見当が付きます。ですが、カッコで付与された「《根音》連続」となると、何の話だかさっぱり見当が付きません。ルートが連続するのだとすれば、ポピュラーではむしろエイト・ビートでベースがルート弾きするような場面を連想してしまいますからね。恐らく「ルートとバスが一致している場合の音」のことで良いのだとは思いますが、やはり実際の用例が登場したときに改めて確認しましょう。
「P.F.」の説明を見る限りでは、ポピュラーでは「基本形」ってやつでしょうね。
「P.M.」「P.m.」もポピュラーでは使いませんが、Mの大小からメジャーとマイナーの区別は付くので、なんとなく見当が付くでしょうね。しかし、だとすればPは何の略なんだろう??
Rで示される転回形ですが、ポピュラーでは第一、第二などと番号で区別する習慣がないような? あるいは、楽理本によってはそういう区別をしているんでしょうか? だとしても、ポピュラー系のバンドで「そこのコード、第三転回形を使って」なんてやりとりがなされているところを見聞きしたことがないんで……
最大の謎が「T.L.」。「移調の限られた旋法」という言い回しだけを見ると、移調「先」が限定される旋法ってことになるんでしょうか? 実際はそんなことありませんが、フリジアンのトニックをEには出来てもFにはできない、みたいな話??? これも実際の用例で判断しましょう。
まだまだ確認すべき用語・概念は残っています。今回はここまで。
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COMMENT
HN:
べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。
……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!
◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2
※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!
◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
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