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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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というわけでこちらのノートです。ページに従えば、そろそろ「旋法」に関する凡例的な記述を検討することになるのですが、オイラが読んだ限りでは本文の説明と譜例(というか表というか)が噛み合っていないように思えるので、本格的な話は本文で旋法に触れられたとき、改めて確認することにしたいと思います。今回は、用語として押さえておくべき旋法を確認するに留めます。

p.16に「第1表 主要旋法」という表(というより譜例)が挙げられているのですが、こちらに対する説明だと読者なら自然に思うであろう本文(p.15)の「Ⅲ 旋法」には、インドの72旋法だの「平均律の枠内で考えうる三五一にのぼる旋法」だのという記述が見られるだけで、「第1表 主要旋法」に示されている旋法の説明は全くなされていないんですよね(^◇^;) なので、以下の記述は、この「第1表 主要旋法」にある譜例に示されている「名前」と、譜例の内実をオイラなりに解釈した上で、ポピュラーの立場で同じ「スケール」をどう呼ぶか? などといったことについて確認するに留めます。

「第1表 主要旋法」では、旋法を4種に分類しているのですが、まずこの分類だけ、見ておきます。
  1. 中世の全音階旋法(譜例3を参照)
  2. 古典音楽の4旋法
  3. ロマン派及び近代音楽の3旋法
  4. 《旋法的調性》の2旋法
中世の全音階旋法の中身は、上記のように「譜例3」(p.27)に記されているので、詳しい話はそこで扱います。ただし、旋法の「名前」が定義に関わり、本文では当然のようにそういった「名前」が使われますので、ざっと確認しておきます。

中世の全音階旋法は、以下に示す4種類が、「正格」と「変格」の2種類に分けられるため、都合8種類登場します。他方「正格の○○」だと名前としても長ったらしいからか、結局「第1旋法」から「第8旋法」まで番号付けされることになります。これらの旋法は、譜例を見る限り、
  • Key Cに収まる
  • 加線が施されつつも、ト音譜表で全て記述されうる
  • 音域は1オクターブの範囲に収まる(2オクターブにまたがることはない)
  • 上行で記述される
  • 「変格」は、「正格」の4度下がトニック
という特徴があります。Key Cに収まりますので、変化記号は一切登場しません。ですので、横着して譜例は省略します(^◇^;)

では、各旋法を確認します。
  • 第1旋法(Protus正格): D-D→ポピュラーの「Dドリアン」
  • 第2旋法(Protus変格): A-A→ポピュラーの「Aエオリアン」、「A min.」
  • 第3旋法(Deuterus正格): E-E→ポピュラーの「Eフリジアン」
  • 第4旋法(Deuterus変格):B-B→ポピュラーの「Bロクリアン」
  • 第5旋法(Tritus正格): F-F→ポピュラーの「Fリディアン」
  • 第6旋法(Tritus変格):C-C→ポピュラーの「Cイオニアン」、「C maj.」
  • 第7旋法(Tetrardus正格): G-G→ポピュラーの「Gミクソリディアン」
  • 第8旋法(Tetrardus変格): D-D→ポピュラーの「Dドリアン」
というわけで、第1旋法と第8旋法は中身(外延)が全く一緒です。他の旋法については、外延が一致しているのに名前が違う、という重複はないため、内包上の区別が存在するのかもしれません。こちらについては、追々本文で触れられていれば考えることにします。

くどいようですが、ポピュラーではトニックの音名とモードの名前を組み合わせて、たとえば「Eリディアン」なんて言い方をします。ですが、クラシックでは、これらの旋法がKey Cに固定されているため、(日本語だと)「イの旋法」などと言えば、その時点で自動的に「第2旋法」、すなわちAから始まるA B C D E G Aという旋法のことだと、定まってしまいます。


続いて、古典音楽の4旋法について。ポピュラーでもおなじみと言えるものですが、スケール(音階)ではなく、旋法として提示されていること、ところが別名として「音階」も示されます。ちょいとヤヤコシイです。
  • 長旋法(長音階)
  • 和声的短旋法(短音階)
  • 旋律的短旋法(短音階)上行形
  • 旋律的短旋法(短音階)下行形
長旋法を譜例として隣接した楽音を連続的に記せば、結果として「音階」になります(前回の記事参照)。ですから、譜例については確かに「音階」とカッコに括られて記されても問題はないんでしょうけど、概念としての旋法と音階はしっかり区別しておくべきでしょう。

ともかく、「旋法」との言い方を「スケール」に置き換え、日本語をカタカナに置き換えれば、ポピュラーでもおなじみのものですから、問題ありませんね。

注意すべきなのは、ナチュラル・マイナー・スケールに相当するものが示されていないことです。長旋法の並べ替えによってナチュラル・マイナー・スケールは確かに得られますが、それこそ音列に主属の関係が認められたものが旋法なのですから、主音(トニック)が異なるなら、例え外延自体は同じでも、旋法としては区別されるはずです。にもかかわらず、ナチュラル・マイナー・スケールに相当する旋法が示されていないということは、恐らく端的にクラシックの世界では、そんなものが「存在しない」と言うことなのかもしれません。

なお、譜例は全てKey Cで書かれています。これが、中世の全音階旋法のように、音域やトニックに限定が必要な概念として示されているのかどうかについては、現時点では不明です。それでも、飽くまで本論に先立つ概念として示されているので、こちらについては音域やトニックの限定はないんじゃないかとは、思います。


ロマン派及び近代音楽の3旋法について。各旋法を考案した作曲家・音楽学者と思しき名前が冠されていますが、旋法の外延はポピュラーでもおなじみのものです。
  • リムスキーの和声的長旋法→ポピュラーの「ハーモニック・メジャー・スケール」
  • ゲファルトの混合長旋法→ポピュラーの「メロディック・メジャー・スケール」
  • 倍音列からとった《音響的》長旋法→ポピュラーの「リディアン7thスケール」
最後の「倍音列からとった《音響的》長旋法」について。Key Cを前提に考えれば、「長旋法」ですからC maj.を想定できます。C maj.における、FをF#に、BをBbに置き換えたものが、この「倍音列からとった《音響的》長旋法」なのです。「倍音列からとった」とあるので、Cを基音としたときに確認出来る倍音を並べたものなのかもしれませんね。ともかく、Key Cから見たドミナント・キーを示唆するF#と、サブドミナント・キーを示唆するBbが含まれているのが特徴です。こちらも、音域やトニックには限定がないものと思います。


《旋法的調性》の2旋法について。ポピュラーにも対応する概念があります。
  • 全音音階(メシアンの移調の限られた旋法第一型)→ポピュラーの「ホール・トーン・スケール」
  • ベルタの旋法(メシアンの移調の限られた旋法第二型)→ポピュラーの「ディミニッシュ・スケール」
ただ、《旋法的調性》とされているのは、よく分からないですね。「調性」とは何か? という問題自体なかなか厄介なんでしょうが、「旋法的」とされているわけです。旋法は、主属の関係が認められる音列ですから、その「旋法」的と言うからには、調性は音列同様、そのままでは主属の関係が認められていないのかもしれませんね。


ともかく、今回はここまで。
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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