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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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前回確認したポイントを振り返っておきます。まず、「近親調」とされる日本語の用語については、
  • 別名「関係調」とする立場もあれば、近親調と関係調の間に何らかの包含関係を示す立場もある。
のでした。そこで、近親調に属するのか、あるいは関係調に属するのかはひとまずおいて、そのような〈いわゆる近親調〉とされるものが、そもそもどういうものなのか? に注目することにしました。ポピュラーの立場では、バークリー音楽院関係の出版物で用いられる英語の楽理用語を訳したり、カタカタで取り込んでいるであろうことを踏まえ、そういった用語が英語ではどのように扱われるのか? を確認したわけです。

その結果、英語におけるkeyは日本語における「調」同様、「ダイアトニックな音の集合」と「ダイアトニック・スケール」との両方を指すという混乱を示していました。もちろん、そもそも日常的に頻用される単語は、それだけ多義的になるのはむしろ当然なのですが、楽理、すなわち音楽「理論」と言うからには、概念の区別と相互関係を整理することが必要なはずです。理論に用いられる各種概念の定義が曖昧では、そのような理論によって述べられることも曖昧になってしまうからです。そこで、ここではキーとスケールを飽くまで区別するという立場をとり、その立場から英語における用語を捉え返したわけです。キーについてはこちらを参照してください。

まず、スケールに関するものとしては、以下の2つを確認しました。
  • relative scale: 同一のキーから取り出せする長短のスケールについて、一方は他方のrelative scaleという。
  • parallel scale: トニックが等しい長短のスケールについて、一方は他方のparallel scaleという。
これらは、日本語の用語ではそれぞれ「平行調」「同主調」とされますが、飽くまで長短の区別が付くスケールを前提にしなければ意味をなさない概念ですから、強いて日本語に訳すなら、「平行音階」「同主音階」とでもなるでしょう。

また、キーに関わるものとしては、色々混乱がありました。日本語で近親調もしくは関係調とされる概念に相当する英語はrelated keyであるとされているのですが、どうやら英語にそのような概念はなく、closely related keyという概念ならある、ということのようでした。副詞が付くかどうかの違いでしかありませんが、その副詞をわざわざ付けている以上は、何か意味があるのでしょう。ともかく、次のような概念でした。
  • closely related key: 五度圏における両隣。
元々の言い回しとしては、「基準となるキーに属する7音の内、6音を共有する別なキー」とでもなるのですが、これだと、たとえばメロディック・マイナー・スケールをキーと捉えれば、第3音以外を共有するメジャー・スケールもキーと捉え返して、これらも互いにclosely related keyだと言えることになってしまいます。もちろん、このような想定はキーの定義に反するあり得ないものなのですが、現実にはキーとスケールが混同されていることを考えれば、あり得る誤解は排除すべきでしょう。その上でclosely related keyを捉えるなら、上のように「五度圏における両隣」と捉えるのが良さそうです。つまり、五度圏上のキーを一つとったとき、その両隣にあたるキーのことです。これは、基準のキーをトニック・キーとしたとき、そこから見たドミナント・キーとサブドミナント・キーに当たります。

これは、日本語ではやはりスケールについて言われることです。つまり、Cメジャー・スケールのドミナント・スケールはGメジャー・スケール、サブドミナント・スケールはFメジャー・スケール、と言われます。ですが、これらをキーの問題として考えた場合、平行音階を包含できるので、スケールに限定する必要がなくなります。つまり、Key C(C maj./A min.)のドミナント・キーはKey G(G maj./E min.)、サブドミナント・キーはKey F(F maj./D min.)と扱えるわけです。この場合、トニック、ドミナント、サブドミナントという概念は、キーを区別するために使われるキーノート(階名のドに相当する音名)のインターバルに関わるものとして、定義が拡張されます。このように捉え返すメリットは、平行音階の間を行き来するとは最初から考えず、同じキーに留まっていると見なしてしまえることです。実際にプレイするときは、楽器の奏法におけるフィンガリング・パターンとスケールは密接に関わるため、スケールは区別しなければならないのですが、五線譜に曲を書いたり、楽曲を分析する上では、スケールよりもキーが重要になる場合が多いので、スケールをキーに包摂してしまうのは十分メリットがあると思います。また、スケールよりもキーに重きを置けば、キーに整合的なモード全てに意識を拡大できることにもなるでしょうし。

ともかく、日本語における〈いわゆる近親調〉にはほかにも色々あるようなのですが、とりあえずこれらの相互関係を考えてみることで、他の〈いわゆる近親調〉を考える際の段取りを固めておきます。

まず、平行音階や同主音階はスケールに関する概念ですから、スケールを前提に考えることになります。平行音階は同一キーに属する音をドから並べるか、ラから並べるか、の違いしかないのに対して、同主音階は、そもそもお互いに属しているキーが異なります。そこで、キーの相互関係について見ていきます。

ドミナント・キーは、元のキーにおけるファを半音上げて、シと読み替えることで得られます。まずは、これを音名で一瞥しておきます。

  d   r   m f   s   l   t
Key C C   D   E F   G   A   B
Key G G   A   B C   D   E   F#
Key D D   E   F# G   A   B   C#
Key A A   B   C# D   E   F#   G#
Key E E   F#   G# A   B   C#   D#
Key B B   C#   D# E   F#   G#   A#
Key F# F#   G#   A# B   C#   D#   E#(F)
Key C# C#   D#   E#(F) F#   G#   A#   B#(C)

Key CにおけるファのFを半音上げたF#が、シの位置に来ると、Key Gとなります。以下、同じ作業をずっと繰り返すと、上の表が得られます。

いろいろなことが読み取れるのですが、まず、ファの列を見てください。これは、シャープが付く音ですから、上から下へ見ていくと、シャープがどういう順番で増えるのか? を確認できます。抜き出すと、

F C G D A E B F#

となります。これは完全5度間隔にもなっていますので、五度圏に一致します。

ドに相当する音を、キーを区別するキーノートと考えます。シャープが一つ増えると、元のキーにおけるソが新しいキーノートとなります。Key CのファであるFにシャープが付くと、ソのGが新しいキーノートとなって、Key Gが得られます。Key Cをトニック・キーとしたとき、Key Gはドミナント・キーです。ですから、シャープが一つ増えると、ドミナント・キーが得られます。

次に、ドとラの列に注目します。ドはメジャー・スケールのトニックですし、ラはマイナー・スケールのトニックです。Key CにおけるラであるAが、ドとなるKey Aを、Key Cと比較します。上の表だと見づらいでしょうから、Key CとKey Aを抜き出しましょう。

  d   r   m f   s   l   t
Key C C   D   E F   G   A   B
Key A A   B   C# D   E   F#   G#

Key Aに含まれるC F Gにはシャープが付いています。上で確認したように、シャープはF C Gの順に増えますが、この三音は、Key Cにおけるファ ド ソに当たります。ここから任意のキーについて、
  • 元のキーのラに当たる音をキーノートとするキーを得るには、シャープを3つ増やせばよく、シャープを付ける音はファ ド ソである。
と言えることが分かりますね。他のキーについても確認すれば、そうなってますし。

また、Key Cから取り出せるマイナー・スケールの同主長音階は、Key Aに属していることになりますから、これも一般的に定式化すると、
  • 元のキーに属するマイナー・スケールの同主長音階を得るには、ファ ド ソにシャープを付けて、ラから並べればよい。
と言うことになります。

ドミナント・キーと同主音階は、日本語で言う〈いわゆる近親調〉であることを考えると、以上から、次のように言えることになります。
  • 元のキーに留まった状態で、f# d# s#をドミナント・キーや平行音階から借用できる。
そして、これらの変化音が、コードにも当然影響を与えることになり、あり得るテンション・ノートとして、これら変化音を想定できることになります。特に、ソ#やファ#は、マイナー・スケールの変種とも関わり、コード・ノートに関わります。

階名でまとめておくと、元のキーが何のキーであったとしても、ドミナント・キーや同主長音階に関する一般的な法則をまとめることが出来ますね。改めてまとめておきます。
  • 元のキーのファにシャープが付くと、ドミナント・キーが得られる。
  • 逆に、ファ#をドミナント・キーから借用できる。
  • 元のキーのファ ド ソにシャープが付くと、キーに属するマイナー・スケールの同主長音階が得られる。
  • 逆に、f# d# s#を同主長音階から借用できる。
  • よって、f# d# s#の変化音は、元のキーに留まったまま使うことが出来る。
********************

同じ作業を、フラット系についても行えば、似たような結論を得られます。

元のキーのシにフラットをつけてファと読み替えると、サブドミナント・キーが得られます。これを、Key Cから繰り返すと次のような表が得られます。

  d   r   m f   s   l   t
Key C C   D   E F   G   A   B
Key F F   G   A Bb   C   D   E
Key Bb Bb   C   D Eb   F   G   A
Key Eb Eb   F   G Ab   Bb   C   D
Key Ab Ab   Bb   C Db   Eb   F   G
Key Db Db   Eb   F Gb   Ab   Bb   C
Key Gb Gb   Ab   Bb Cb(B)   Db   Eb   F
Key Cb(B) Cb(B)   Db   Eb Fb(E)   Gb   Ab   Bb

が、こんな表を暗記するのも大変なので、やはり階名を使って、一気に一般則を取り出してしまいます。
  • 元のキーのシにフラットを付けると、サブドミナント・キーが得られる。
  • 逆に、サブドミナント・キーからシbを借用できる。
  • 元のキーのシ ミ ラにフラットを付けると、キーに属するメジャー・スケールの同主短音階が得られる。
  • 逆に、tb mb lbを同主短音階から借用できる。
  • よって、tb mb lbの変化音は、元のキーに留まったまま使うことが出来る。
ラbとシbはメジャー・スケールの変種にも関わりますね。

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借用され得る音を暗記しておけぱ、楽曲の分析に便利です。オイラは「ファドソにシャープ」「シミラにフラット」と暗記してます。自分で書く譜面は信用できませんが(^^ゞ 市販の譜面なら、調号を見たらキーの音を階名と合わせて書出しておくと、なかなか役立ちます。

あと、同じ譜面でシャープとフラットが混在することがあるのはなぜなのか、どういう基準で書き分けるのか、というのはオイラもよく迷うのですが、そんなときは階名で考えたときの変化記号を基準にします。また、
  • シャープが増える=フラットが減る
  • フラットが増える=シャープが増える
と考えるようにしています。ただ、コードとして捉える場合、エンハーモニックで言い換えれば三度堆積に適うものの、階名で考えると三度として扱えない、なんてこともたまにあって、未だに迷いますね。五線譜の読み方を解説する本はたくさんあるけど、書き方を解説する本を見かけないので、こういうことで苦労します。

********************

キー相互の関係は、やはり音名で考えるべきでしょう。Key Cから取り出せるマイナー・スケールの同主長音階はKey Aから、メジャー・スケールの同主短音階はKey Ebから取り出せます。キーノートを比較すると、Cから見て上下に短3度に当たる音が、それぞれのキーノートです。ここから、
  • 同主長音階は短3度上のキーから、同主短音階は短3度下のキーから、それぞれ得られる。
と言えますね。

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なんとなく、今回の話は書いていて、どこがどうとは言いづらいものの、文章がイマイチな気がしますので(;^_^A アセアセ… いずれ書き直すことになるかもしれませんが、とりあえず今回はここまで。
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趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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