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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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これがまた定義のはっきりしない用語なんですよね。

カワイの意美音では近親調を「関係調ともいう。」なんて説明しますが、ウィキペディア関係調を見ると「関係調の中でも、次の6つの直接的な関係のある調を近親調(きんしんちょう)と呼ぶ。」とあります。「次の6つ」の中身がなんにせよ、この書き方だと関係調=近親調ではなくて、関係調の一部が近親調であり、近親調ではない関係調も存在することになります。

ポピュラー系の脈絡で考えるなら、いわゆる「音楽理論」とされているもののほとんどはバークリー系の出版物に由来するようですし、バークリー音楽院はアメリカの学校ですから、英語の用語を確認した方が早そうです。

このブログを書いているオイラは階名・移動ドを使って考えるので、英語での用語解説を階名で言い換えながら、確認することにします。

意美音を見ると、「近親調」に相当する英語はrelated keyのようです。ウィキペディアを見ると、似たような英語にrelative keyがあり、こちらに相当する日本語は「平行調」です。他方、「同主調」に相当する英語は、ウィキペディアによるとparallel keyないしsame tonic keyで、特にparallel keyは、パッと見むしろ平行調のような気がしてしまいます。ですから、日本人同士でも通じるかどうか不安ではありますが、ポピュラー・ベースで考える分には、下手に日本語の用語を使わない方が無難な気もしてきます。他方、カタカナ表記だと無闇に長ったらしい言い回しにもなりそうで、ホント、困ったものです。学者先生同士で相談でも何でもして頂いて、用語を統一して貰えないものか? と個人的には思うのですが……

というわけで、どうせオイラは音楽の素人ですから、英語のウィキペディアにある説明を参考にして、いわゆる近親調(範囲を明瞭には定められないものの)に関わりのある用語を整理しようと思います。

まず、related keyとrelative keyについて。

relative keyの定義は以下のようになっています。

In music, the relative minor of a particular major key (or the relative major of a minor key) is the key which has the same key signature but a different tonic, as opposed to parallel minor (or major, where appropriate) which shares the same tonic.

下手な訳語を使うと混乱しそうなので、一部英語のままとしつつ、訳してみます。

音楽において、あるmajor keyのrelative minor(あるいはminor keyのrelative major)とは、調号を一にしながらトニックが異なるkeyのことである。parallel minor(あるいはmajor)がトニックを一にするのとは対照的である。

たびたびこのブログで述べている「キー」に関わる話なのでアレですが、オイラに言わせればメジャー・キー、マイナー・キーという言い回しは端的に意味不明なだけではなく、そもそもキーという概念に矛盾します。とはいえ、確かに一般的にそういう言い回しは使われますし、上の引用の通り、ウィキペディアでも使われているんですよね。どういう意味で使っているのかは分かりませんが。

ともかく、オイラに言わせると、調号(key signature)とは、階名の各音に相当する音名を定める記号です。ですから、そのような調号によって定められた調、すなわちkeyとは、階名を与えられた自然音(階名に変化記号が付かない音)の集合です。集合でしかありませんから、その中のどの音がトニックなのか? ということは関係ありません。調に属する音を、どの音から並べるか? によってスケールが定まるのです。階名のドから並べればメジャー・スケールですし、ラから並べればマイナー・スケール、他にも5通りの並べ方が可能ですが、そのような具体的なスケールとは無関係に、とにかく階名を与えうる7音の集まりがkeyなのであって、keyについて具体的なトニックを特定したり、長短を区別すると言うこと自体が、keyの定義に反することだと思います。ただ、keyの種類を区別するために、階名のドに相当する音名を使って、key CとかKey Dなんて言い方ならします。ただし、だからといってCやDはトニックではありません。単にkeyを特定するための手掛かり、記号でしかないわけです。

ですから、どういう意味でrelativeと言っているにしても、relative keyという形でくkeyについて言うのであれば、その一種としてrelative majorだのrelative minorだのと言うこと自体、そもそもおかしい! というのがオイラの立場です。長短の区別をしたいなら、最初からscaleと言えば良いだけの話。どうしてわざわざこういう紛らわしい言い方をしているのか、オイラには全く理解できません。それなりの理由があるならあるで構いませんが、そういった理由を解説している本やサイトを見かけたことがないんですよね。一般の人は説明なしに理解できているんでしょうか??

ともかく、それでもこういう言い回しがされているのですから、仕方ありません。ポイントとなる発想を確認しておきましょう。

オイラに言わせれば、relative scaleとは一つのkeyから取り出すことが出来るスケールのことで、特に断らなければ長短2種がある、と言うことになるでしょう。たとえば、Key Cにおけるrelative scalesは、Cメジャー・スケールとAマイナー・スケールの2種類、ということになります。

同様に、parallel keyについても、トニックを一にすると言うのですから、スケールの話です。くどいようですが、トニックを問題に出来るのは、keyではなくて、scaleですから。Key Cであれば、relative scalesとしてCメジャー・スケールとAマイナー・スケールを取り出せます。Cメジャー・スケールのトニックはCですし、Aマイナー・スケールのトニックはAです。Key Cは単なる音の集合ですから、トニックを問うこと自体が無意味です。ともかく、このようなスケールを前提としたとき、Cメジャー・スケールのparallel "scale"はCマイナー・スケール、Aマイナー・スケールのparallel "scale"はAメジャー・スケール、と言うことになります。

parallel scaleを定義するなら、「トニックを一にしたスケールであり、特に断りがなければ長短の2種類に限る」とでもなるでしょう。モードまで拡張すれば、トニックがCであれば、Cイオニアン、Cドリアン、Cフリジアン……と7種類取り出せることになりますが……

さて。上でも確認したように、既存の用語と思しきものに、relative keyの他にrelated keyがありました。relative keyについては、それこそ上で述べたように、keyの概念を堅持した上で混乱を避けるなら、むしろrelative scaleと言うべきものでしたが、related keyについてはどうでしょうか? relate語幹の形容詞と過去分詞では、概念にどういう違いが出てくるのか?

英語のウィキペディアで確認した限りでは、なんとrelated keyというエントリーは、ありません。その代わり、closely related keyというエントリーならありました。定義を引用しておきましょう。
 

In music, a closely related key is one sharing many common tones with the original key.

In elementary harmony, these are the family of keys that shares either all pitches or all but one pitch with the key it is being compared to. These keys are on either side of the original key on the circle of fifths and its relative majors or minors.

やはり、適宜英語を残しつつ訳してみます。

音楽において、closely related keyとは元のキーと照らして共通音が多いキーのことである。

和声の初歩におけるclosely related keysは、全てのpitch、あるいは一つを除いた全てのpitchを共有するキーの家族である。このようなキーは、五度圏における両隣や、その関係長音階・関係短音階である。
 
言い回しはヤヤコシイのですが、言っていることはそんなに難しくはありません。ただ、pitchという概念が出てきたので、先にこちらを片付けましょう。

英語における楽理用語としてはどういう慣習になっているのかはよく分かりませんが、英辞郎の語義で言えば「〔音響の〕絶対音程、〔音楽の相対的な〕音の高さ、〔音楽の〕標準音高」に当たるでしょう。ただ少なくとも日本語のカタカナで「ピッチが高い」等という場合、チューニングが微妙に高いことを言います。ですから、「ピッチ」で問題にされる音程差は、半音には満たないと思われます。1/4音もずれていれば、恐らく「ピッチが高い/低い」というレベルの話ではないと思われます。

キーにおける音を共有しているかどうかを問題にするなら、オイラに言わせればpitchよりはnoteの方が適切だと思います。

以前toneとnoteの違いで述べたこととも関わるのですが、改めて振り返っておきます。

最近はどうか分かりませんが、昔のオーディオでは、アンプやラジカセに「トーン・コントロール」と言うものが付いていました。これは、音質として高域や低域を増減するものですから、楽音というよりは聞こえ方に関するもので、楽理関係の文脈には不適切だと思います。もちろん、「全音」をwhole tone、「半音」をsemitoneないしhalf toneと言いますが、この場合問題としているのは楽音の音高ではなく、2音間のインターバルです。ですから、2音間のインターバルが全音3つ分の場合は、tritoneと言うわけです。toneを楽理の脈絡で言う場合は、楽音の音高ではなく、インターバルです。

このため、テンション・「ノート」とは言うのにコード・「トーン」という言い方をするのはおかしい! とオイラは思います。もちろん、「ルートと長3度をなすコード・『トーン』」なんて言い方なら可能ですが(コード・ノート同士のインターバルを「コード・トーン」と言うなら筋は通る)、一般にはコードを構成する楽音をコード・「トーン」と言われているわけですから、日本語でも英語でも、どちらにしてもおかしいと思います。ですから、個人的には、楽音(の音高)を問題にする場合は、全て「ノート」に統一しています。コードの構成音も、ですからオイラはコード・「ノート」と言います。

さて、closely related keyの話ですが、内容からして、「同じAでも440Hzよりも442Hzの方がピッチは高い」なんて話をしているはずがありません。あの脈絡に登場するpitchは、内容から察するに、明らかにnoteの話だと思われます。実際、pitchesに貼られているリンク先のpitchのエントリーには、冒頭にこう記されています。

Pitch represents the perceived fundamental frequency of a sound.

「基本的な周波数」(専門分野に適った定訳があるかもしれません)なんて話が出てくるんですから、初歩的な和声でピッチを問題にするはずがないでしょう。せいぜい、それこそA=440Hz、なんて形でしか、ピッチが問題になることはなさそうです。本格的な音響物理や純正律の話をするなら別ですけど、平均律を前提にしている限りは、かなりヤヤコシイ和声の話をする場合であっても、ピッチを問題にすることはまずないと思います。

というわけで、closely related keyの話に登場するpitchは全てnoteと読み替えます。その上で内容を確認すると、「和声の初歩におけるclosely related keysは、全てのpitchnote、あるいは一つを除いた全てのpitchnoteを共有するキーの家族である。」と言うのですから、とりあえずスケールの話ではなく、キーの話です。キーによって各階名に該当する音名が固定されるわけですから、キーで問題となる楽音は(オクターブの違いを無視すれば)7音だけです。ですから、キーに属する音は7音しかありません。その7音全てを共有しているか、「一つを除いた全て」つまり6音を共有しているキーを、closely related keysと言うことになります。

7音全てを共有しているキーは、結局同じキーと言うことになります。今日のキーは、スケールと混同されてもいますから、スケールの話が紛れて「7音全てを共有している」とされているだけでしょう。ですからむしろ、キーとスケールをはっきり区別するなら、7音全てを共有するキーを考慮に入れる必要はないでしょう。

そういう意味では、重要なのは7音のうち6音を共有しているキーとしてのclosely related keyです。これについては、「五度圏における両隣」とされていますので、中身は日本語で言う「属調」「下属調」に関わる話です。つまり、あるスケールのトニックと比較して、完全5度上のドミナント、完全5度下のサブドミナントが、それぞれトニックに据えられた、元のスケールと同種のスケールのことを言っていることになります。

ですが、くどいようですが、これではスケールの話になります。キーの話ではありません。

そこで、調号は飽くまでキーを示すものであって、スケールを示すものではないとするなら、キーを区別するために使われる、階名のドが相当する音名を基準として、トニック、ドミナント、サブドミナントといった用語の定義を変更することを考えます。トニックは基準となるキーにおいて、ドが相当する音と定義して、ドミナント、サブドミナントはそれぞれ上下に完全5度離れた音と考えるわけです。すると、Key Cをトニック・キーとすれば、ドミナント・キーはKey Gですし、サブドミナント・キーはKey Fとなります。各キーから取り出せる関係音階同士の関係も維持されます。つまり、Key Cがトニック・キーで、Key Gがドミナント・キーなら、Cメジャー・スケールをトニック・スケールと見なせば、Gメジャー・スケールはドミナント・スケールとなります。

整理します。
  • relative key: むしろrelative scaleと言うべき。同一キーに属する長短二つのスケールのこと。
  • parallel key: むしろparallel scaleと言うべき。同一音をトニックとする長短二つのスケールのこと。
  • closely related key: あるキーから見たドミナント・キーとサブドミナント・キーのこと。
closely related keyから取り出せるrelative scaleやparallel scaleは、キー同士の関係も引き継がれると考えれば良いでしょう。

以上の事柄を、階名で表現してみます。

元のキーの階名ドレミファソラシに対応する音名は任意としておきます。このキーを、ドをトニックとすればメジャー・スケールが得られますし、ラをトニックとすればマイナー・スケールが得られます。これら二つはお互いに、一方が他方のrelative scale、関係音階です。

tonic of maj.                 tonic of min.    
d   r   m f   s   l   t

元のキーにおけるドをトニックとしたマイナー・スケールは、parallel minor scaleと言うことになります。日本語に訳すとすれば(既存の日本語の用語と渡りをつけつつ、キーとスケールを区別するなら)、「同主短音階」でしょうね。

  tonic of maj.                 tonic of min.    
original key d   r   m f   s   l   t
                         
  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
parallel min. d   r mb   f   s lb   tb  

同主短音階を得るには、元のキーにおけるミ、ラ、シを半音下げる必要があるため、同主短音階を記譜する際の調号は、元のキーよりフラットが3つ増える(あるいはシャープが3つ減る)ことになります。ラとシが半音下がっているため、メロディック・メジャーと非常に似ていることになります。

元のキーにおけるラをトニックとしたメジャー・スケールは、parallel major scaleと言うことになります。日本語に訳すとすれば、「同主長音階」でしょうね。

  tonic of maj.                 tonic of min.    
original key d   r   m f   s   l   t
                         
  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
parallel maj. l   t   d# r   m   f#   s#

同主長音階を得るには、元のキーにおけるド、ファ、ソを半音上げる必要があるため、同主長音階を記譜する際の調号は、元のキーよりシャープが3つ増える(あ るいはフラットが3つ減る)ことになります。ファとソが半音上がっているため、メロディック・マイナーと非常に似ていることになります。

キーを区別するために、ドに相当する音名を用いますが、この音名をキーノート(keynote)と呼ぶことにします。辞書的にはkeynoteとtonicはほとんど同義語なのですが、tonicはスケールを前提とした「主音」を示す慣習的な用語なのに対して、keynoteは滅多に耳にしない上、keyという言葉を含んでもいますので、キーを区別するための音を言うにも適当な語だと思います。ただし、これは音楽の素人であるオイラが勝手に定義づけただけなので、一般には通用しないと思います(^◇^;)

  keynote                      
original key d   r   m f   s   l   t

closely related keyは、元のキーにおけるキーノートから見た、ドミナント、サブドミナントがキーノートとなったキーです。

  tonic keynote         subdominant keynote   dominant keynote        
original key d   r   m f   s   l   t
                         
subdominant key f   s   l tb   d   r   m
                         
dominant key s   l   t d   r   m   f#

サブドミナント・キーは、元のキーにおけるシを半音下げてファに位置づけることで、ドミナント・キーは元のキーにおけるファを半音上げてシに位置づけることで、それぞれ得られます。

もう少しキーとスケールの関わりについて考えたいのですが、かなり長くなったので、訳語について。

「同主音階」「同主長音階」「同主短音階」は、一般に『調』とされるところを「音階」と言い換えただけですから、特に説明しなくても一般に通用しうると思います。

問題はclosely related keyをどうするか、です。

いわゆる「親戚、血縁者」をrelativesと言うため、relative scaleを「近親音階」とでも言いたくなるのですが、ここまで確認したキー(調)とスケール(音階)の区別を保ちつつ、既存の用語に近い言い回しをするなら、relative scaleは「平行音階」とでも言うしかないでしょう。キー自体は同一なのですから、これらを血縁者になぞらえた英語は自然な言い回しだと思います。

他方、closely related keyは関係づけられているだけではなく、closely、緊密なのです。他方、それこそ「近親調」では、そもそも日本語でも立場によって範囲が異なるのは冒頭で確認した通りですし、英語との関わりではむしろ平行音階のことと誤解しそうです。ただ、中身がドミナント・キーやサブドミナント・キーであることを考えると、これらをまとめてclosely related keyと呼び表す必要も、そうそうない気がします。要はごまかしているのですが(^◇^;) こちらについては敢えて訳語は考えずにおくことにします。


今回はここまで。
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べぇす
性別:
男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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