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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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当初はドミナント・コード向けのスケールの話に戻るつもりでいたのですが、ドミナント・コード向けスケールの話で厄介なのは
  • スケールに属さない音(コードで捉えるとテンションに相当)がどこからやってくるのか?
と言う点です。ここを確認するには、
  • キー固有音と変化音
を区別し、
  • 変化音がいわゆる近親調からの借用として理解可能かどうか?
がポイントになるような気がします。

他方、長短両スケールに見られるハーモニックとメロディックの変種は、いわゆる近親調では説明が付きません。他方、これら変種は、本来のスケールから離脱し、逆なスケールに近づくように思われます。すなわち、ハーモニック・マイナー・スケールやメロディック・マイナー・スケールは、そもそもマイナー・スケールですが、長短が逆のメジャー・スケールに近づきます。そして、とうとう逆のスケールに辿り着くということが、同主音階への「転調」、あるいは同主音階からの「借用」と言えるかもしれません。

そこで、ドミナント・キーやサブドミナント・キーからの借用、変種の利用、同主音階からの借用、これら3つの現象は、最終的には同主音階への転調に繋がる漸近的な変化として捉えることが出来るかもしれません。

すると、ドミナント・コード向けのコードとして様々なテンション・ノートを盛り込むことが出来、そのようなテンション・ノートを盛り込んだコード・スケールとして、キー固有音には含まれない音を取り込むことが出来ること、その結果アウト感が出せること、こうしたことは、漸近的な同主音階への移行と関わりがあるかもしれません。

そこで、ドミナント・コード向けコード・スケールの話に戻る前に、改めて漸近的な同主音階への移行と、いわゆる近親調との関係を、整理し直しておこうと思います。

マイナー・スケールの変種から考えてみます。ナチュラル・マイナー・スケールには存在しないトニックへの導音を、ソを半音上げることで用意したものがハーモニック・マイナー・スケールです。更に、ファとソ#の間の広いインターバルを調整するために、ファを半音上げたものがメロディック・マイナー・スケールです。こうした変化は、元々は導音の不在という和声的な要請、さらにはインターバルの調整という旋律的な要請によるものであって、同主長音階への漸近は結果に過ぎず、目的ではないものと思われます。ですが、このような漸近を逆手にとって、最終的に同主長音階へ転じたり、転じたようで転じていない曖昧さを、いわゆるアウト感として演出することも可能ではないか? と思えます。ともかく、こうした漸近の様子を確認しておきましょう。

natural l   t d   r   m f   s  
harmonic l   t d   r   m f     s#
melodic l   t d   r   m   f#   s#
l_p. maj. l_d   t_r   d#_m r_f   m_s   f#_l   s#_t

元のキーにおけるラをトニックとした同主長音階に「転じた」と捉えれば、元のラは、新たにドと読み替えられることになりますが、同主長音階から「借用」はしても、元のキーに留まったままであれば、やはりラはラのままです。こうした関係を明示するために、上の表では「l_d」と記すことで、「ドと読み替えられ得るラ」であることを示しました。他の階名も同様です。ちなみに、スケール名に記した「l_p. maj.」は、「la parallel major scale」(造語)を略したもので、「ラ同主長音階」とでもなります。本来マイナー・スケールのトニックであるラがトニックとなる長音階、ということです。

ともかく、こうした漸近を確認すると、シャープの付く順序が ソ ファ ド となっていることが分かります。ですが、五度圏と照らした場合、むしろシャープが付く順序は ファ ド ソ となります。五度圏と照らした近親性と、スケール移行の漸近とは、対応しません。

ともかく、同主長音階への移行を、五度圏に沿って行う場合を比較しておきます。なお、この移行はキーにおける現象ですが、比較対照のために、元のキーをラから並べたマイナー・スケールの体裁にしておきます。

#0 l   t d   r   m f   s  
#1 l   t d   r   m   f# s  
#2 l   t   d# r   m   f# s  
#3 l_d   t_r   d#_m r_f   m_s   f#_l   s#_t

本来は、シャープが一つ増える度に、元のファを半音上げたものがシと読み替えられます。ですが、元のキーからどのように変化したか? を確認するため、敢えて階名を読み替えていません。

さて、こうした現象をどう捉えるべきなのか? 私見でしかありませんが、次のように思われます。

マイナー・スケールの変種については、一般には「上行の際にはハーモニックやメロディックといった変種が、下行の際にはナチュラルが使われる」とされていますが、実際には混用されているようです。ですから、元のスケールと変種との間には、むしろ溝らしい溝はないものと見なして良いかと思われます。

また、いわゆる近親調としての同主長音階ですが、これは文字通り音階(スケール)の種類が替わってしまう(マイナー・スケールからメジャー・スケールに切り替わる)訳ですから、若干溝が広いような気がします。他方、だからこそ転調のきっかけとなり得るでしょうし、元のスケールに留まった上で使われれば、さらに強烈なアウト感を出せることになりそうです。

整理します。
  • ソ#: ハーモニック・マイナー・スケールに特徴的な音で、導入に抵抗がない。
  • ファ#: メロディック・マイナー・スケールに特徴的な音であり、ドミナント・キーを示唆するが、比較的転調感は希薄。
  • ド#: ラ同主長音階への転調を示唆するので、使いどころに注意が必要。


同じ観点で、メジャー・スケールを見てみましょう。

natural d   r   m f   s   l   t
harmonic d   r   m f   s lb     t
melodic d   r   m f   s lb   tb  
d_p. min. d_l   r_t mb_d   f_r   s_m lb_f   tb_s  

フラットは ラ シ ミ の順で増えています。ですが、五度圏に沿えば シ ミ ラ の順で増えます。上で確認したような議論がそのまま当てはまるかと思いますので、結論だけ示します。
  • ラb: ハーモニック・メジャー・スケールに特徴的な音で、導入に抵抗がない。
  • シb: メロディック・メジャー・スケールに特徴的な音で、サブドミナント・キーを示唆するが、比較的転調感は希薄。
  • ミb: ド同主短音階への転調を示唆するので、使いどころに注意が必要。

では、ちょっと予告めきますが、以上を踏まえてドミナント・コード向けコード・スケールを考える準備をしておきましょう。

脈絡となるスケールの長短に合わせて、ドミナントから並べ替えます。インターバルも確認しまょう。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
maj._dom. s lb l tb t d   r   m f  
min._dom. m f f# s s# l   t d   r  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

ドミントをP1と考えた場合、スケールの変種も含めると、P4までは確実に埋まります。また、自然倍音列の第11倍音に相当する#11の追加も容易です(そういえば、どちらもトニックの半音上になるんですね、これ)。ですが、メジャー・スケールにおけるm6や、マイナー・スケールにおけるM6は、それぞれ転調を示唆しうる同主音階を想定しなければ取り出せません。また、どちらから見ても、M7に当たる音を取り出すのは、一筋縄ではいかなそうです。

それでも、こうして眺めた限りでは、
  • 各種スケールの変種の響きにしっかり馴染むことが出来れば、ことさらに特殊なスケールを意識しなくても、ドミナント・コード向けのコード・スケールに結果的に適ったプレイになる
と言えそうですね。もちろん、実際には「ここでドミナント・コードが指定されている」と意識するのは大変でしょうから、
  • 各種変種スケールのモード(並べ替え)に、上行、下行、どちらの場合でもしっかり馴染んでおく
ことで、コード・スケールを意識せずに済ませることは出来そうです。当然、ここから更に進んで、
  • 各種スケールの変種を踏まえ、スケール・ノートの順列組み合わせなどに基づき、練習素材を作る
ことも出来そうですよね。


次回は、ディミニッシュ・スケールに進む前に、これまでに確認したドミナント・コード向けコード・スケール各種を一覧して、特にオルタード・スケールとキーの関係を中心に、確認しようと思います。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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