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前回までで、「裏へのいざない」を参考にした上で、オルタード・スケールがどういうものなのか? について検討しました。ポイントは、
さて、そもそもここまでオルタード・スケールにこだわった理由は、篠田によるオルタード・スケールの説明がよく分からなかったからです。これまでの話を踏まえて、篠田の説明を改めて検討してみます。
- メジャー・スケールの脈絡で使われるドミナント・コード向けのコード・スケールである。
- 表のドミナント・コード上で、敢えて裏のドミナント・コードの響きを加えることを目的とする。
- ただし、テンションはハーモニック・マイナー5thビロウとの親和性が高い。
さて、そもそもここまでオルタード・スケールにこだわった理由は、篠田によるオルタード・スケールの説明がよく分からなかったからです。これまでの話を踏まえて、篠田の説明を改めて検討してみます。
では、改めて篠田が提示した譜例と説明を確認しておきましょう。
EX.1-48は(引用者註: 右の譜例のことです)、調性上のドミナントであるG7からメジャーのC(△7)ではなく、Cmに解決した進行になっています。この場合、G7のコード・ス ケールは、Cmへの色合いの傾斜を強めるという意味において、ここではオルタード・スケール(スパニッシュ・スケールなどとも解釈可)を使っています。(『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード
』p.34)
オルタード・スケールのテンション(第2、4、6音)はマイナー・スケールとの親和性が高いため、「Cmへの色合いの傾斜を強めるという意味において」妥当な選択とは言えます。ですが、篠田によるこの説明は、「解決されるコードに基づく」スケール選択なのです。「転調先に基づく」ではありません。解決されるコードがマイナー・コードなら、そこへ向かうドミナント・コード向けコード・スケールとして、オルタード・スケールを選択するのは「必然性みたいなもの」なのでしょうか?
たとえば、譜面を分析した結果、Cメジャー・スケールに基づくと判明した曲において、Em7へ向かうドミナント・コード向けコード・スケールを考えるとします。「解決されるコード」と言うからには、トニック・コードでなければならないでしょうが、Em7はCメジャー・スケールにおけるトニック代理たり得ますので、これは「解決されるコード」と位置づけ可能です。
さて、このEm7ですが、トニック代理として使われていれば、手前のドミナント・コードにおいても調性はCメジャー・スケールにおけるドミナント向けコード・スケールで十分でしょう。他方、もしこのEm7によってEマイナー・スケールに転調する場合は、転調先を予告すべく、手前のドミナント・コード向けコード・スケールに、Eマイナー・スケールと親和性の高いテンションを交える、などといった工夫をするのも手です。
ともかく、解決先のコードが「どのような位置づけなのか」、元の調性に留まった上での代理コードなのか、転調するきっかけとなるのか、などなどによって考え方は変わってくるのではないでしょうか? 「解決されるコード」という「必然性みたいなもの」でコード・スケールが確定するものなのでしょうか? 上記のように、その解決されるコード自体の位置づけ如何によって、コード・スケールは違ってくるように思えます。
もちろん、そういう色んな場合があるだろうから、その都度分析して対応すれば良いわけですが、その分析・判断の仕方について、篠田は説明しているハズなんですよね。それも、そういう判断の仕方、コード・スケールの選択の仕方に、「必然性みたいなもの」があると言っていたハズ。
ちなみに、この「必然性みたいなもの」として「解決されるコードに基づく」の説明に続けて、篠田は「意識的に調性外の音を使用する」場合を説明します。ここでは、要するにドミナント・コード向けコード・スケールには、テンション・ノートとして調性外の音を含むものがあるので、それを使えば調性外の音を使える、という話をします。確かにアウトしたフレーズをプレイしようとしても、この手の理論を知らないために、単なる「調子っ外れ」で終わってしまうってのはよくある話で(よくやってたなぁ、おいらもこんなこと。そのまま戻ってこれなくなったりして)、篠田の言うことは「安全にアウトする方法」としては、とてもよく分かるんです。この「調性外の音」を使う〈マニュアル〉も含めて、「必然性みたいなもの」と位置づけてしまったばっかりに、何を説明しているのかがよく分からない記述になってしまっているように思えます。
コード・スケールに関わる篠田の別な説明も見ておきましょう。『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード
』p.38-40にかけて、次のようなコード進行におけるコード・スケールを解説します。
あいにく、このパターンを繰り返すのかどうか? といった設定については細かい限定はないのですが、ひとまずオイラなりにこのコード進行を検討してみます。
セブンス・コードがC7とG7の二つあるので、それぞれⅤ7と仮定し、前後のコードの位置づけがどうなるかを考えてみます。
C7について。ルートのCがⅤだとすると、Ⅱは……5、6、7、1、2だから、C, D, E, F, G、Gですね。当然ⅠはF。すると、少なくともGm7-C7-FM7は、Fメジャー・スケールにおけるⅡ-Ⅴ-Ⅰと言えます。よって、C7はFメジャー・スケールの脈絡における表ドミナント・コードです。
G7について。ルートのGがⅤだとすると、手前のFm7のルートはⅣです。篠田はG7から冒頭のCM7に戻るのかどうかについて言及していませんが、戻ると考えると、Fm7-G7-CM7は、Ⅳ-Ⅴ-Ⅰとなります。ただ、Ⅰのコード・クォリティがメジャー、よってCメジャー・スケールの脈絡なのだとすると、本来ⅣはFM7でなければならないはず。ところが、ここではマイナーです。これについては、サブドミナント・マイナーってことになるんでしょう。Fm7の手前がFM7で、これこそ本来のCメジャー・スケールにおけるサブドミナントです。ただ、C7を確認したように、これはFメジャー・スケールにおけるトニック・コードでもあります。このため、Fm7を通じてCマイナー・スケールを暗示することで、飽くまでトニックがCであることを示し、Cメジャー・スケールへ進行しやすくした、と言えるんだろうと思います。
このパターンが繰り返しだとすると、以上から全体としてのトニック・コードはCM7、よって一時的にFメジャー・スケールに転調しつつ、最終的にはCメジャー・スケールに戻る、と言うことになりそうです。
ちなみに、サブドミナント・マイナーは同主調からの借用です。つまり、メジャー・スケールのサブドミナントであるファは、同主短調のレに相当するので、レ旋法(すなわちドリアン)から構成されるダイアトニック・コードのコード・クォリティは、マイナーとなります。ですから、このコードが借用されたサブドミナント・コードはマイナー・コードとなり、よってサブドミナント・マイナーと言うわけです。
本来のトニック・コードがCM7であることからすると、元々はCM7-FM7-G7-CM7というⅠ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰのパターンだったと考えられます。Ⅰ-ⅣのⅣに向かうドミナント・モーションをはめ込んだ結果、Fメジャー・スケールへの一時的転調が生じたってことになるんでしょう。ですから、C7はセカンダリー・ドミナントってことになります。
FM7はFメジャー・スケールのトニック・コードですが、Fm7へ進行することで、同主短調のFマイナー・スケールに転調したようにも受け取れます。ですが、このFm7に続くG7によって、むしろFはFマイナーのトニック・コードとしてではなく、Cメジャー・スケールのサブドミナント・マイナーの位置づけだったことがはっきりします。つまり、FM7→Fm7は、Fの同主調への転調ではなく、Fmaj.→Cmaj.の転調と言えるわけです。ただし、サブドミナント・マイナー自体は、メジャー・スケール上にマイナー・スケールから借用されたものなので、この借用をも転調と見なすなら、FM7→Fm7はFmaj.→Cmaj.ではなく、Fmaj.→Cmin.と見なすべきなのかもしれません。ですが、借用を転調から区別するのであれば、この例では、FM7→Fm7はやはりFmaj.→Cmaj.と言うべきでしょう。
ちなみに、「借用」と「(一時的)転調」の区別、分かりますか?? オイラは比較的最近まで区別の必要すら感じてなかったんですよ(^^ゞ
こうした分析を踏まえると、各コード向けコード・スケールは次のようになりそうです。
ですが、階名から考えれば、ずっと簡単です。各音が階名の何に当たるか? と、その音から始まる旋法・モードは一対一対応しています。ですから、調号があるならそれを見てキーを判別することで(長短は気にする必要なし、長短どちらであっても階名は一意のまま)、各音の階名、よってその音から始まるモードが、自ずと定まるのです。
コード・クォリティについては、M7がドとファだけ、7はミクソリディアンだけ、m7(b5)はシだけ。あとは全部m7です。
コード・ネームが付いている譜面なら、オタマジャクシをいちいち読まなくても、調号から確定できる上記コード・クォリティのリストと見比べることで、注意すべき点が分かります。階名とコード・クォリティが一致しない箇所に注意して、マイナーの変種(ソ#やファ#)の影響によるものかどうかを調べるわけです。マイナーの変種として説明が付くなら、その曲はマイナー・スケールの曲と判断して良いかと思います(以前、この方法で篠田が提示した譜例を分析しました)。
また、篠田の提示したコード譜を分析したように、調号のないコード譜も分析は可能です。ダイアトニック・コードの場合、コード・クォリティが「7」となるルートはソしかあり得ないことに注目。他方、マイナー・スケールのドミナントであるミは、メジャー・スケール上ならコード・クォリティが「m7」となります。ここからスケールの長短が分かりますし、とりあえず「7」のルートを「Ⅴ」と仮定して、前後のコードが説明出来るかどうかを調べます。ルートが半音で下行していたら、裏が使われているでしょうし──とまぁ、オイラはこんな具合に分析します。もっと効率のよいやり方があるのかもしれませんが、オイラに納得できている理屈との兼ね合いもあるので……
話を戻しましょう。
上のようにオイラはコード・スケールを確定したわけですが、コード進行の分析と階名との対応から判断しました。篠田の説明はこうなっています(p.39-40)。
これまでの話が理解できていれば、すんなり納得できる話をしていますし、結果もオイラの分析と合致します。
ところが、この後続けて、篠田はこんなとんでもないことを述べます。
「前述した」って、いつ??? むしろ、おかしくなければ何を使ってもいいものの、「必然性みたいなもの」があるって「前述」していたはずが、その「必然性みたいなもの」が結局何なのかがさっぱり分からないような書き方をしていたんじゃなかったか???
「これ以外にも多様なドミナント・スケールが使えるのは前述したとおり」なんて書くくらいなら、最初から「必然性みたいなもの」なんて言わず、水野のようにコードに添えられているテンションから外延が近いスケールを選ぶとか、逆に捉えて林のように欲しいサウンドに適うテンションを加えてスケールを構成(なんならオリジナルでも良い)とでも言えば良かったのでは??
というわけで、これまでの話を総合すると、
ただ、理屈として覚えて即座に使うには、理屈として融通が利きすぎてかえって不便な気がしますね(^^ゞ こうした理屈を作曲理論として捉えて、複雑なメロディを作るには有効だとは思います。他方、アドリブ・ソロでこうした理屈に適ったプレイをするのは、相当大変だと思います。耳が良ければ、いくらアウトしても確実に戻ってこれるんでしょうけどねぇ……。まぁ、だから人によっては「ソロは事前に作曲しておく」なんてやり方も出てくるんでしょうけど、それってもはやアドリブ、インプロヴィゼーションではなく、作曲されたラインをなぞることになってしまうって気がします(もちろん、クラシックなんかはその極致なんでしょう)。そういう意味でも、理論を実践で使えるかどうかは、人それぞれのセンス(勘の良さ)や努力によるものであって、「実践的な理論」というのは、端的な語義矛盾のような気がします。
今回はここまで。
オルタード・スケールのテンション(第2、4、6音)はマイナー・スケールとの親和性が高いため、「Cmへの色合いの傾斜を強めるという意味において」妥当な選択とは言えます。ですが、篠田によるこの説明は、「解決されるコードに基づく」スケール選択なのです。「転調先に基づく」ではありません。解決されるコードがマイナー・コードなら、そこへ向かうドミナント・コード向けコード・スケールとして、オルタード・スケールを選択するのは「必然性みたいなもの」なのでしょうか?
たとえば、譜面を分析した結果、Cメジャー・スケールに基づくと判明した曲において、Em7へ向かうドミナント・コード向けコード・スケールを考えるとします。「解決されるコード」と言うからには、トニック・コードでなければならないでしょうが、Em7はCメジャー・スケールにおけるトニック代理たり得ますので、これは「解決されるコード」と位置づけ可能です。
さて、このEm7ですが、トニック代理として使われていれば、手前のドミナント・コードにおいても調性はCメジャー・スケールにおけるドミナント向けコード・スケールで十分でしょう。他方、もしこのEm7によってEマイナー・スケールに転調する場合は、転調先を予告すべく、手前のドミナント・コード向けコード・スケールに、Eマイナー・スケールと親和性の高いテンションを交える、などといった工夫をするのも手です。
ともかく、解決先のコードが「どのような位置づけなのか」、元の調性に留まった上での代理コードなのか、転調するきっかけとなるのか、などなどによって考え方は変わってくるのではないでしょうか? 「解決されるコード」という「必然性みたいなもの」でコード・スケールが確定するものなのでしょうか? 上記のように、その解決されるコード自体の位置づけ如何によって、コード・スケールは違ってくるように思えます。
もちろん、そういう色んな場合があるだろうから、その都度分析して対応すれば良いわけですが、その分析・判断の仕方について、篠田は説明しているハズなんですよね。それも、そういう判断の仕方、コード・スケールの選択の仕方に、「必然性みたいなもの」があると言っていたハズ。
ちなみに、この「必然性みたいなもの」として「解決されるコードに基づく」の説明に続けて、篠田は「意識的に調性外の音を使用する」場合を説明します。ここでは、要するにドミナント・コード向けコード・スケールには、テンション・ノートとして調性外の音を含むものがあるので、それを使えば調性外の音を使える、という話をします。確かにアウトしたフレーズをプレイしようとしても、この手の理論を知らないために、単なる「調子っ外れ」で終わってしまうってのはよくある話で(よくやってたなぁ、おいらもこんなこと。そのまま戻ってこれなくなったりして)、篠田の言うことは「安全にアウトする方法」としては、とてもよく分かるんです。この「調性外の音」を使う〈マニュアル〉も含めて、「必然性みたいなもの」と位置づけてしまったばっかりに、何を説明しているのかがよく分からない記述になってしまっているように思えます。
コード・スケールに関わる篠田の別な説明も見ておきましょう。『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード
CM7 | Gm7 | C7 | FM7 | Fm7 | G7 |
あいにく、このパターンを繰り返すのかどうか? といった設定については細かい限定はないのですが、ひとまずオイラなりにこのコード進行を検討してみます。
セブンス・コードがC7とG7の二つあるので、それぞれⅤ7と仮定し、前後のコードの位置づけがどうなるかを考えてみます。
C7について。ルートのCがⅤだとすると、Ⅱは……5、6、7、1、2だから、C, D, E, F, G、Gですね。当然ⅠはF。すると、少なくともGm7-C7-FM7は、Fメジャー・スケールにおけるⅡ-Ⅴ-Ⅰと言えます。よって、C7はFメジャー・スケールの脈絡における表ドミナント・コードです。
G7について。ルートのGがⅤだとすると、手前のFm7のルートはⅣです。篠田はG7から冒頭のCM7に戻るのかどうかについて言及していませんが、戻ると考えると、Fm7-G7-CM7は、Ⅳ-Ⅴ-Ⅰとなります。ただ、Ⅰのコード・クォリティがメジャー、よってCメジャー・スケールの脈絡なのだとすると、本来ⅣはFM7でなければならないはず。ところが、ここではマイナーです。これについては、サブドミナント・マイナーってことになるんでしょう。Fm7の手前がFM7で、これこそ本来のCメジャー・スケールにおけるサブドミナントです。ただ、C7を確認したように、これはFメジャー・スケールにおけるトニック・コードでもあります。このため、Fm7を通じてCマイナー・スケールを暗示することで、飽くまでトニックがCであることを示し、Cメジャー・スケールへ進行しやすくした、と言えるんだろうと思います。
このパターンが繰り返しだとすると、以上から全体としてのトニック・コードはCM7、よって一時的にFメジャー・スケールに転調しつつ、最終的にはCメジャー・スケールに戻る、と言うことになりそうです。
ちなみに、サブドミナント・マイナーは同主調からの借用です。つまり、メジャー・スケールのサブドミナントであるファは、同主短調のレに相当するので、レ旋法(すなわちドリアン)から構成されるダイアトニック・コードのコード・クォリティは、マイナーとなります。ですから、このコードが借用されたサブドミナント・コードはマイナー・コードとなり、よってサブドミナント・マイナーと言うわけです。
P1 | m2 | M2 | m3 | M3 | P4 | #4/b5 | P5 | #5/m6 | M6/dim7 | m7 | M7 |
d | r | m | f | s | l | t | |||||
l | t | d | r | m | f | s | |||||
b9 | 9 | #9 | b11 | 11 | #11 | b13 | 13 | #13 |
本来のトニック・コードがCM7であることからすると、元々はCM7-FM7-G7-CM7というⅠ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰのパターンだったと考えられます。Ⅰ-ⅣのⅣに向かうドミナント・モーションをはめ込んだ結果、Fメジャー・スケールへの一時的転調が生じたってことになるんでしょう。ですから、C7はセカンダリー・ドミナントってことになります。
FM7はFメジャー・スケールのトニック・コードですが、Fm7へ進行することで、同主短調のFマイナー・スケールに転調したようにも受け取れます。ですが、このFm7に続くG7によって、むしろFはFマイナーのトニック・コードとしてではなく、Cメジャー・スケールのサブドミナント・マイナーの位置づけだったことがはっきりします。つまり、FM7→Fm7は、Fの同主調への転調ではなく、Fmaj.→Cmaj.の転調と言えるわけです。ただし、サブドミナント・マイナー自体は、メジャー・スケール上にマイナー・スケールから借用されたものなので、この借用をも転調と見なすなら、FM7→Fm7はFmaj.→Cmaj.ではなく、Fmaj.→Cmin.と見なすべきなのかもしれません。ですが、借用を転調から区別するのであれば、この例では、FM7→Fm7はやはりFmaj.→Cmaj.と言うべきでしょう。
ちなみに、「借用」と「(一時的)転調」の区別、分かりますか?? オイラは比較的最近まで区別の必要すら感じてなかったんですよ(^^ゞ
こうした分析を踏まえると、各コード向けコード・スケールは次のようになりそうです。
- CM7: Cイオニアン(メジャーのド旋法ですから当然ですね)
- Gm7: Gドリアン(Fメジャー・スケールのⅡ、レ旋法→ドリアン)
- C7: Cミクソリディアン(Fメジャー・スケールのⅤ、ソ旋法→ミクソリディアン)
- FM7: Fイオニアン(Fメジャー・スケールのド旋法)
- Fm7: Fドリアン(Cマイナー・スケールのレ旋法)
- G7: Gミクソリディアン(Cメジャー・スケールのソ旋法)
- ド旋法: イオニアン: M7
- レ旋法: ドリアン: m7
- ミ旋法: フリジアン: m7
- ファ旋法: リディアン: M7
- ソ旋法: ミクソリディアン: 7
- ラ旋法: エオリアン: m7
- シ旋法: ロクリアン: m7(b5)
ですが、階名から考えれば、ずっと簡単です。各音が階名の何に当たるか? と、その音から始まる旋法・モードは一対一対応しています。ですから、調号があるならそれを見てキーを判別することで(長短は気にする必要なし、長短どちらであっても階名は一意のまま)、各音の階名、よってその音から始まるモードが、自ずと定まるのです。
コード・クォリティについては、M7がドとファだけ、7はミクソリディアンだけ、m7(b5)はシだけ。あとは全部m7です。
コード・ネームが付いている譜面なら、オタマジャクシをいちいち読まなくても、調号から確定できる上記コード・クォリティのリストと見比べることで、注意すべき点が分かります。階名とコード・クォリティが一致しない箇所に注意して、マイナーの変種(ソ#やファ#)の影響によるものかどうかを調べるわけです。マイナーの変種として説明が付くなら、その曲はマイナー・スケールの曲と判断して良いかと思います(以前、この方法で篠田が提示した譜例を分析しました)。
また、篠田の提示したコード譜を分析したように、調号のないコード譜も分析は可能です。ダイアトニック・コードの場合、コード・クォリティが「7」となるルートはソしかあり得ないことに注目。他方、マイナー・スケールのドミナントであるミは、メジャー・スケール上ならコード・クォリティが「m7」となります。ここからスケールの長短が分かりますし、とりあえず「7」のルートを「Ⅴ」と仮定して、前後のコードが説明出来るかどうかを調べます。ルートが半音で下行していたら、裏が使われているでしょうし──とまぁ、オイラはこんな具合に分析します。もっと効率のよいやり方があるのかもしれませんが、オイラに納得できている理屈との兼ね合いもあるので……
話を戻しましょう。
上のようにオイラはコード・スケールを確定したわけですが、コード進行の分析と階名との対応から判断しました。篠田の説明はこうなっています(p.39-40)。
C△7はトニックでありアイオニアンとして問題ないとして、Gm7は新調(Fメジャー)の一時的Ⅱm7となるのでドリアン、C7は一番調性に基づくものとしてミクソリディアンを使っています。3小節目のF△7はCのダイアトニック上のⅣ△7であり、本来はリディアンとなるのですが、Gm7-C7-F△7といったFのダイアトニック上に成立する流れを優先させると、ここはアイオニアンという捉え方も出来るでしょう。(中略)Fm7はサブドミナント・マイナーの代表的なスケールであるドリアン、最後のG7は調性のドミナントの基本スケールであるミクソリディアンを使っています。
これまでの話が理解できていれば、すんなり納得できる話をしていますし、結果もオイラの分析と合致します。
ところが、この後続けて、篠田はこんなとんでもないことを述べます。
ちなみに、C7、G7の両ドミナント・コードには、これ以外にも多様なドミナント・スケールが使えるのは前述したとおりです。
「前述した」って、いつ??? むしろ、おかしくなければ何を使ってもいいものの、「必然性みたいなもの」があるって「前述」していたはずが、その「必然性みたいなもの」が結局何なのかがさっぱり分からないような書き方をしていたんじゃなかったか???
「これ以外にも多様なドミナント・スケールが使えるのは前述したとおり」なんて書くくらいなら、最初から「必然性みたいなもの」なんて言わず、水野のようにコードに添えられているテンションから外延が近いスケールを選ぶとか、逆に捉えて林のように欲しいサウンドに適うテンションを加えてスケールを構成(なんならオリジナルでも良い)とでも言えば良かったのでは??
というわけで、これまでの話を総合すると、
- メジャー・スケール上のドミナント・コード向けコード・スケールはミクソリディアンが基本(スケールの並べ替えなので)。
- マイナー・スケール上のドミナント・コード向けコード・スケールはハーモニック・マイナー5thビロウが基本(スケールの並べ替えなので)。
- ただし、コード・クォリティにテンションが記されている場合は、テンションに応じて基本となるスケールを変形する。
- あるいは、プレイしていて欲しくなるテンションがあれば、それを加えて基本となるスケールを変形する。
- また、そうやって得られるスケールの外延が、既存のスケールと類似している場合は、そちらを使ってもよい。
- メジャー・スケール上の表のドミナント・コードの箇所で、裏的な響きが欲しければ、オルタード・スケールが有効。
- メジャー・スケール上の裏のドミナント・コードの箇所で、表的な響きが欲しければ、リディアン・セブンス・スケールが有効。
- マイナー・スケール上のドミナント・コード向けコード・スケールとして、オルタード・スケールも有効な選択肢(外延の類似、特にテンションの親和性ゆえ)。
- オルタード・テンションが含まれていれば、オルタード・スケールはある意味万能。
ただ、理屈として覚えて即座に使うには、理屈として融通が利きすぎてかえって不便な気がしますね(^^ゞ こうした理屈を作曲理論として捉えて、複雑なメロディを作るには有効だとは思います。他方、アドリブ・ソロでこうした理屈に適ったプレイをするのは、相当大変だと思います。耳が良ければ、いくらアウトしても確実に戻ってこれるんでしょうけどねぇ……。まぁ、だから人によっては「ソロは事前に作曲しておく」なんてやり方も出てくるんでしょうけど、それってもはやアドリブ、インプロヴィゼーションではなく、作曲されたラインをなぞることになってしまうって気がします(もちろん、クラシックなんかはその極致なんでしょう)。そういう意味でも、理論を実践で使えるかどうかは、人それぞれのセンス(勘の良さ)や努力によるものであって、「実践的な理論」というのは、端的な語義矛盾のような気がします。
今回はここまで。
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COMMENT
HN:
べぇす
性別:
男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。
……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!
◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2
※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!
◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2
※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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