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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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楽理本によってドミナント・コードに対するコード・スケールの説明の仕方が違いす。この違いを踏まえて、ドミナント・コードに対するコード・スケールについて考えてみます。さしあたり参照するのはこれら3冊です。



前回から篠田の説明を確認しています。コード進行に登場するセブンス・コードに使えるコード・スケールを特定する作業をしています。前回確認したのは、「調性に基づく考え方」でコード・スケールを特定する事例でした。ただし、前回やったのは、むしろ水野や林の説明に基づいて、オイラなりにコード・スケールを特定した上で、篠田の例示と一致するかどうかの確認でであり、篠田自身の説明は確認していませんでした。

今回は、篠田自身の説明を確認した上で、先に進みましょう。

篠田『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード 』p.31にあるコード進行の例、

Dm7 G7 CM7 A7

に登場する、G7およびA7にそれぞれ当てはまるコード・スケールを、前回考えました。こちらで考えたものは、

G7: Gミクソリディアン
A7:  Aミクソリディアンb6

で、篠田が示したものと一致しました。ただし、こちらが考えた方法は基本的に水野の説明に従ってのものでしたので、篠田自身はどう説明するのかを見ておきましょう。

この進行では、Dm7ではDドリアン、G7ではGミクソリディアン、C△7ではアイオニアンといったスケールが使われます。(中略)

また、セコンダリー・ドミナント7thコードとなるA7も、調性と深く関わっているのは言うまでもありません。したがって調性そのものに基づいてこのコード・スケールを考えていけば、ミクソリディアンb6thスケールということになるでしょう。
 
というわけで、「このコードにはこのスケール」と言ってるだけで、説明になってはいません(^^ゞ まぁ、この本は『新・実践コード・ワーク』というシリーズの3冊目ですから、1冊目と2冊目で説明されていることは、読者も当然知っているというスタンスで書かれているのかも知れません。

とりあえず、先に進みましょう。

次は「代理関係に基づく」例です。ここでは2つの例が示されています。まずは一つめ。

Dm7 G7 Em7 A7

前回CM7だったところがEm7に置き換わっています。この場合のG7とA7でそれぞれ使えるコード・スケールは、前回と変わりません。というのは、Em7は、CM7と同じ調性に属する、CM7のダイアトニックな代理コードだからです。ノン・ダイアトニックな代理コートだとまた違った問題が出てくるのかも知れませんが、同じ調性に属しているのであれば、G7、A7に加えうるテンションを考える前提は同じになりますから、導かれる結果も同じです。

ただし、Em7で使えるスケールはEフリジアンです。もっとも、作曲するならともかく、アドリブ・ソロの場合は最初の3小節は「Cメジャー・スケールの一発」と考えて、逐一スケールの変化を意識することはないかなぁ??

蛇足ですが、同一調性における代理コードについて、オイラがずいぶん昔に読んだ本にあった説明は、要するに「コード・ノートが似ているから」といったもので、「そんなんで説明になるのか?」と疑問に思えたものです。というのは……

音名は何でもいいので階名で考えると、ド・ミ・ソのコードと、ド・ミ・ソ・シのコードでは、シの有無の違いはあってもトライアドは共通しているので、とても似てますね? ですが、後者を前者の代理コードというなんて話、オイラは聴いたことがないんですよ。

なら、ルートが同じだと代理とか言わないのか? と言うと、そんなことはない。たとえば、ド・ミ・ソ・ラはド・ミ・ソやド・ミ・ソ・シの代理コード扱いされます。

あと、「似ている」というのは、プラトンのイデア論にも登場する発想で、たとえば何か美しいものがあるとすれば、それは「美のイデアに似ているからだ」とした上で、美しさの程度(すごく美しい、まあまあ美しい、など)は、正真正銘本物の美である美のイデアと比べて、どのくらい似ているか? によるわけです(ただ、似ている/似ていないという言い方だと、イデアも別な何かに似ているのでは?? という話が出てきかねないと言うことで、イデアが個物に「臨在する」とか、個物がイデアに「関与する」なんて言い回しが登場します──蛇足はこの辺で)。コードの代理についても、どの程度〈本物に〉似ているかによって、代理としての〈権限〉に差が出てくるのかどうか?

どうも「代理」という言葉を使う基準がよく分からないのですが、ドミナント・コードに関しては、ドミナント機能を担保するⅣとⅦを含んでいて、ルートがⅤではないなら、ドミナント代理とかドミナントの代理コードと言うようです。だからこそbⅡ7もドミナント・コードに「数えられる」訳ですし、Ⅶがルートのハーフ・デイミニッシュやディミニッシュもそうです。

他方で、トニック・コードやサブドミナント・コードにおける代理というのは、どういう理屈で代理となるのか、どうもよく分からない。

この辺りについてそれなりに説明しているのは林で、トニック・コードについては、『標準 ポピュラーコード理論 改訂新版』p.46-47で、要するにメジャーのⅢやマイナーのbⅢとぶつかるⅣさえなければ、調性に適うどの音が入っていてもトニックになる、としています。同様に、サブドミナント・コードについてはp.48で、スケールにおけるサブドミナントであるⅣは、サブドミナント・コードには不可欠、このⅣとトライトーンをなして響きを濁らせるⅦはNG、よってⅦさえなければサブドミナントたり得る、と言うわけです。

まとめます。
  • トニック・コード: ⅣがNG、後はダイアトニックなら何でもよし
  • サブドミナント・コード: ⅦがNG、かつⅣが不可欠(あとは何でもあり)
ということですね。ついでに言えば
  • ドミナント・コード: Ⅳ及びⅦが必要、ルートないし分母がⅤだとなおよし(p42-46)
といったところです(もちろん細かい注意もあるが、ここでは割愛)。オイラが目にした中では、上の林の説明は本物/代理は区別しないものの(なのに林は「代理」との言い方をする)、コードを3種に分類する基準に関しては、非常にすっきりしています。

そんなわけで、Cメジャー・スケールにおけるEm7はⅢm7で、Ⅰを含みませんが、Ⅳがないのでトニック・コードには違いない、ということになります。

よって、話を戻しますが、今回の例では最初の3小節は前回同様Cメジャー・スケールに属しているので、各種ドミナント・コード向けコード・スケールは前回同様になるわけです。篠田の説明は素っ気なく(p.32)、

3小節目のコードをC△7からその代理コードであるEm7に変えたものです。これによって連続した「Ⅱm7─Ⅴ7型」進行になります。(中略)Em7のコード・スケールはフリジアンとなり、スケールの構成はCメジャー・スケールと同一となります。

と、G7やA7については何も触れていません。Em7がCM7の代理だから、G7やA7のコード・スケールを考える前提は前回同様だ、と言うところまでは言い切らないので、ここだけ読むとなんの説明をしているのか、一瞬戸惑います(^^ゞ G7やA7のコード・スケールの説明はどーした?? と。実際オイラはそう思って数日悩みました(分かる人に言わせれば、「そんなところで戸惑う方が馬鹿だ」ってなるんでしょうけど)。つまり、 G7や A7のコード・スケールを考える際に、前回同様Cメジャー・スケールの脈絡・調性で考えればいいのは、 Em7はCM7の代理で、最初の3小節がCメジャー・スケールであることが示されているから、 という話ですね。

ともかく、ここまで言っておいてなんですが、3小節目でDメジャー・スケールに転調している可能性ってないんですかね? 篠田が言うように連続したツー・ファイブですが、前半2小節はCメジャー・スケール、後半2小節はDメジャー・スケールと捉えることも出来るのでは?? Em7がⅡm7なら、EはⅡ、よって全音下のⅠはDです。もし転調していれば、Em7のコード・スケールはEドリアン、A7のコード・スケールはAミクソリディアンとなります。

すると、1小節目のDm7は、同主短調に転じつつ、ピボット・コードとしてCメジャー・スケールにおけるⅡに転じた??? ただ、この場合、そもそも2小節目から3小節目への進行はどうなっているのか? と言う問題は説明しきれないので、やはり無理な解釈ですね。


今回はここまで。
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HN:
べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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