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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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楽理本によってドミナント・コードに対するコード・スケールの説明の仕方が違いす。この違いを踏まえて、ドミナント・コードに対するコード・スケールについて考えてみます。さしあたり参照するのはこれら3冊です。



篠田はコード・スケールを選択する「必然性みたいなもの」を説明しているはずなのですが、「オルタード・スケール」 を選択する「必然性みたいなもの」は、結局よく分かりませんでした。

そこで、水野の説明を参照したところ、むろしドミナント・コードに何らかのオルタード・テンションがあるなら、「オルタード・スケールは使ってよい」、ただし、追加されたオルタード・テンションに応じて、より適切なスケールが別にある、という話のようでした。すると、オルタード・スケールを選ぶ理由があるとすれば、篠田が言うような「必然性みたいなもの」によるのではなく、「オルタード・テンションがあるんだからオルタード・スケールで処理しておけ」という、ある種オルタード・スケールの万能ぶりによるものと言えそうです。

では、オルタード・テンションのあるドミナント・コードのコード・ノートや、そのコードが使われる脈絡などによる〈何らかの必然性〉に適った、オルタード・スケール【以外】のコード・スケールはどうなるんでしょうか? 前回は、オルタード・テンションがb9の場合と#9の場合を確認しました。今回は続きです。

前回の論旨が分かりにくかったかもしれませんので、行っている作業の段取りを振り返っておきましょう。

機能和声を前提にしているので、ダイアトニック・スケールのモード(並べ替え)としては、メジャー・スケールのイオニアン、マイナー・スケールのエオリアンを前提とします。また、そこから構成されるコードを問題とするので、それぞれについてハーモニックの変種を考慮に入れます。それぞれのスケールは、音名は任意でよいので、階名で提示すると、次のようになります。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
maj. d   r   m f   s lb l   t
min. l   t d   r   m f   s s#
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

現在考えているのは、ドミナント・コードの場合ですから、それぞれをドミナント(第5音)から並べ替えた上で、ドミナント・コードⅤ7のコード・ノートと、それ以外のスケール・ノート(よってテンション・ノート)を確認してみます。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
maj. s lb l   t d   r
m f  
min. m f   s s# l   t d   r  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

テンションについて。b9はマイナーのファに当たるので、Ⅴ7(b9)はマイナーにおけるドミナント・コードと見なしえますが、メジャーにおけるラbの可能性もあるにはあります。他方、9はメジャーのラ以外可能性はないため、Ⅴ7(9)は明らかにメジャーと言えそうです。

同様に考えると、#9はマイナーのソ以外考えようがないのですが、水野によると、Ⅴ7(#9)はロックやファンクにおける「トニック・コード」として使われるとのことなので、今考えている「ドミナント・コード」ではないことになります。

11については見落としていたのですが、そもそもⅤ7に含まれるM3(メジャーのt、マイナーのs#で、トライトーンを構成する一端)とから見たアボイドですね。基本的にNGでしょう。

b13はマイナーのド、13はメジャーのミですから、それぞれのスケールに由来するテンションと言えます。

以上、脈絡となるスケールに起因する〈必然的な〉テンションを確認しましたので、以上のようなテンションが見られた場合は、メジャーのコード・スケールはミクソリディアン(場合によってはラbに合わせて変形)、マイナーのコード・スケールはハーモニック・マイナー5thビロウ(第5音からの並べ替え)か、ソがナチュラルするとフリジアン、ということになります。

ですから、これら以外のコード・スケールが好ましいのだとすれば、前後のコードやテンションから判断して、上記のようなメジャーやマイナーのスケールとは異なる脈絡において、ドミナント・コードが使われているから、という、ある種の〈必然〉が働いている、と考えられるでしょう。それが、もしかすると林が言うような「欲しいサウンドに合わせたから」というものなのかもしれませんが(作編曲者やプレイヤーの立場からすると、これ以上の必然はない!)、篠田が言うような「必然性みたいなもの」とは違います。繰り返しになりますが、篠田はこう述べていたのです(『新・実践コード・ワーク (3) スケールとモード 』p.30)。

実際、どのスケールでも使ってみておかしくなければ、それはそれでOK……と言えばそ れまでなのですが、それぞれのスケールが派生される必然性みたいなものを少しでも理解できれば、音使いに対する説得力も違ってくるし、スケールそのものの捉え方にも幅が持てるようになるはずです。

つまり、一方では
  • おかしくなければ何でもよし
つまり、林的に欲しいサウンドに適っていて変な聞こえ方もしないんだから、という立場も認めた上ではありますが、それでも
  • スケールが導かれる必然性「みたいなもの」がある
としているわけです。それに従うからこそ、「音使いに対する説得力も違ってくるし、スケールそのものの捉え方にも幅が持てるようになるはず」としているわけですから。

ですが、やはり繰り返しですが、水野によるオルタード・スケールの説明はこうなっています(『水野式音楽理論解体新書 著者:水野正敏 ポピュラー音楽を学ぶ上で必要な理論体系の新機軸 』p.195)。

各7thコード・スケールを解説する前に、7thコードに -9th,+9th,-13thのいずれかが付加されている場合に、共通して使えるオルタード・ドミント・スケールを解説します。原則として 「7th+9」がトニック・コードとして使用される場合は除外されますが、それ以外の7thで-9th,+9th,-13thが付加された場合は、殆どこ のスケールが使用できます。

飽くまで「使える」であって、使う必然性がどうしたなどとは述べていないのです。つまり、スケールから取り出せるテンションとコードのテンションに一致する部分があるので、スケールが含意する他のテンションの音が、それこそ林的に「欲しいサウンド」なのであれば、「使える」、ということなのでしょう。

つまり、前後のコードなどから脈絡となるスケールを調べ、とりあえずそれに従う(よって、コード・ノートに調性から補填したものは、スケールの並べ替えと一致する)のが筋ながら、欲しいサウンドにすべくオルタード・テンションを加えたコードを使ったり、それに応じたコード・スケールを使うのもあり、ということになるのでしょう。篠田も、だからこそ「必然性『みたいなもの』」と濁したつもりだったのでしょうが、上の引用のように、おかしくなければよしとする考えに一定の歯止めをかけるような形で「必然性みたいなもの」について述べている訳ですから、林や水野とは態度の向きが逆です。

では、水野の説明を続けて見ていきます。


b5、#11

上に示した表を再度提示した上で、b5や#11を確認します。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
maj. s lb l   t d   r
m f  
min. m f   s s# l   t d   r  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

b5と#11はエンハーモニックですから、使い分けについて確認しておきましょう。

前回林の記述に基づいて確認した限りではb5や#5もオルタード・テンションに数えられる訳ですが、オイラ個人としては、やはり飽くまでコード・ノートの変化音(オルタード)であって、テンションではないように思います。つまり、元々あったコード・ノートであるナチュラル5thが変化して#5なりb5になる場合は、よって元のナチュラル5thはコードに含まれません。対して、#11は飽くまでテンションですから、ナチュラル5th共々コードに含まれるわけです。b5は5thが変化したものなので、5thと同居しないのに対して、#11はテンションなので5thと同居する。この点は、水野も解説しています(p.198)。ですから、b5や#5は、オイラに言わせると飽くまでコード・ノートのオルタードであって、テンションではないように思えます。

ともかく、b5にしても、#11にしても、メジャーやマイナーのスケールには含まれていません。ただしこれは、林が倍音成分に含まれることを理由にナチュラル・テンションに数える音です。ここから考えると、それぞれの脈絡に応じて、長短各スケールに#11を追加して使って良さそうに思えるのですが、水野はその可能性には触れていません。

では、何らかのスケールが導かれる必然性のようなものはあるのか? 水野は、そういう演繹的な話はしません。ただ、外延の一致から、オルタード・スケール同様、使えるスケールとしてホール・トーン・スケールを掲げます。上の表に書き加えて比較してみると、こうなります。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
maj. s lb l   t d   r
m f  
min. m f   s s# l   t d   r  
Whole Tone



   
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

なるほど、b5/#11があります。この一致から、ホール・トーン・スケールが「使える」わけですね。

M2/9はメジャーのラと一致、#5/b13はマイナーのドと一致します。すると、Ⅴ7(#11)なりⅤ7(b5)なりが、メジャー、マイナーどちらの脈絡で登場するとしても、そこでホール・トーン・スケールを使えば、どちらから見ても微妙に外れることとなり、そのはずれ具合が、いわゆる「アウト感」として好ましいようなら、使ってよい、ということになりそうです(好ましくなければ、コード・ノート以外使えないことになります)。

ちなみに林は、ホールトーンが「使える」コードとして、他にもⅤ7(#5)、Ⅴ7(9, #11)も掲げます。上の表から分かるように、#5や9が含まれますので、当然でしょう。

ただ、林の説明で不可解なのは、このホール・トーン・スケールをメジャー・スケールの脈絡で使用可能なコード・スケールとして提示する点です。上で見たように、ホール・トーン・スケールはメジャーからもマイナーからも微妙に外れるからこそ、どちらで使ってもそれなりのアウト感が出そうなものなのです。


字数制限に引っかかったので、続きは別に投稿します。
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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