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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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趣味でベースは弾くものの、ギターは弾けないし、楽理にも疎いオイラが、ホールズワース的な発想を少しでも理解したくて始めた「Just for the Curious ノート」シリーズ。元ネタのDVDと本はこちらっ



今回は、extensionと言う言葉の意味についてネットで調べたことを取り上げます。

ノート(2)」でも触れましたときは、extensionが一般的な楽理用語かどうかに疑問を示しつつも、日本で言う「テンション」とだいたいは一致するのでは? との見通しを示しつつも、少なくとも日本で「テンション」と言う場合は、ルートから見て9th系以上を指すのに対して、"Just for the Curious"では6thや、「ノート(3)」でも触れたように、オルタードの5thをも含めてextensionとしているようです。日本では、7th系以下は「コード・ノート」ないし「コード・トーン」、9th系以上を「テンション・ノート」と言うようです。

ただ、日本での語法についても、何となくオイラはそうしていると言うだけで、何らかのテキストを参照して確認したわけではないんですよね。そこで、日本で言われている「テンション」について確認し、それに相当する英語表現とextensionの違いについて調べてみます。


日本のサイトや出版物から類推しうる「テンション」の語義

まず、ウィキペディアにある「テンション」。何気ない書き方ですが、下手するとドミナント・コードをもテンションと言いうるかのような書き方になっています。というのは、「聴いてる者に解決や安定を期待させるような音」とあるからです。つまり、解決先として安定感をもたらすトニック・コードへの進行を期待させるコードを「ドミナント・コード」と言うからには(そして、ドミナント・コードのこのような安定を期待させる音がトライトーンで、解決する進行をドミナント・モーションと言うんですよね?)、ドミナント・コードはテンション・コードってことにならない??? 少なくともトライトーンはテンション・ノートでしょう。ただ、「和声におけるテンション」という項目もあって、そちらでは「和音に9度以上の音を3度間隔でつけて更に拡張される場合、それをテンションコードと呼ぶ。また実際に付け加えられた音符をテンションノートと呼ぶ。」としているので、上で示したオイラの理解と一致しますね。なお、英語相当語句は確認できません。

続いて、カワイが運営している音楽用語サイト、意美音での検索結果を確認します。英語だとtensionとしていますね。extensionとはやっぱり別なんでしょうか? 「ジャズなどで、和音を構成する基本的な音の上に、1個以上の非和声音が積み重ねられるもの。」としています。

ただし、リンクになっている「和声」を見ると、和声を「同時に響く複数の音で和音を構成し、それらを連結していくこと。」と定義していることに注意。つまり、「非和声音」を文字通りに考えて、曲や、注目している曲の範囲において、連結された和音のどれにもあらざる音、と考えてはいけないわけですね。まぁ、一般には確かに「非和声音」で通用していますが、これは「和音を構成する基本的な音」ではないを指しているんだろうと思います。

ただ、「テンション・コード」も和音ですから、「基本的な音」かどうかの区別が問題になります。そこで、リンクになっている「和音」を確認すると、「違う高さの音が2つ以上同時に鳴るときの響きをいう。和音は協和音不協和音とに分けられ、調性音楽では3度の積み重ねによる三和音が基本となる。」となっています。三和音はトライアドですね。となると、「和音を構成する基本的な音」とは、トライアドを構成する各音で、ルート、3rd系, 5th系。よって、6th系以上はテンションと言うことになりそうです。ただ、日本のポピュラーでは基本的なコードとしては三度堆積の4声を使うので、「和音を構成する基本的な音」はむしろルート、3rd系、5th系、7th系となり、よって9th系以上がテンションだ、と言いたくなるかもしれません。あるいは、ルート、3rd系、5th系、7th系が基本的な音なら、それら以外、すなわち2nd系、4th系、6th系(及びこれらの転回音程)をテンションの外延とする考えもありそうです。

一応、オイラの正直な「感覚・慣習」で言っておくと、ルートから上行で数えて7th系以下でコードが作られているときは、三度堆積によるかどうかとは関係なく、よって度数も関係なく、コード・ノートだと思います。ルートから上行で数えて9th系以上はテンション・ノートだと思います。もちろん、アレンジによってはベース・パートが奏でるベース音(クラシック系の人のように、「バス」と言った方が「楽器のベースが実際にプレイする音」から区別できていいのかな?)がルートで、トップ・ノートがルートから2オクターブ以上離れることもあり得るんだとは思うんですけどね。

ちなみに、上でわざわざ「ルートから上行で数えて」と限定したのは、分数コードの分母をテンションとは呼ばないような気がするからです。少なくとも、分母をテンションと呼ぶ人を見かけたことがありません。

ただし、テンション・コードを転回することで、テンションが分母になることならあり得るのです。この事例を次に見てみましょう。


ブラジル音楽におけるコード表記とテンション

こういう本があります。



あ、「冨川」さんは翻訳した人、著者はアントニオ・アドルフォって人です。

この本に、ブラジルの音楽出版業界では「7/4コードは7susと記します。」(p.27)とあります。「7/4コード」というのが正確には何なのかは分かりませんが(日本でもこんな書き方はしないのでは??)、ドミナント・セブンス・コードのルートから上行で数えた4thを、分母にしたものではないか? というのがオイラの「解釈」です(訳した人も、日本の慣習にない表記については脚注でも付けてくれればいいんですけどね)。そういうコード7susと表記するというのですから、例えばC7susと言えば、C E G Bbの他に、分母としてCより低いFを付与することになります。もちろん、これはオイラの解釈ですが。日本では、これをC7/Fと書くでしょうし、「sus」だと「sus4だかsus2だか分からない」ってことになるので、余り好ましい書き方だとは思えないんですけど、実は"Just for the Curious"に収められている"Proto Cosmos"のギターのトランスクリプションに、F#m7susと言う表記が出てきて、「これは何だ??」と随分悩んだんですよね(susを含むコードは、そのコードのルートから上行で数えて3rd系に当たるはずの音が本来は含まれるはずなのに、手前の音から繋留されることで、4thないし2ndとなったものを指すので、susだけだと4thだか2ndだかはっきりしないにせよ、ともかく3rd系は含まれていないハズなんですよね。ところが、m7susだと、mとあるだけでm3が含まれることになるので、繋留音と3rd系が共存するとはどういうことだ?? となるわけです)。ホールズワースとは全く別の関心から『ブラジリアン・ミュージック・ワークショップ』を読んで上の記述を見かけたので、かなり驚いたものです。

ともかく、ここでポイントになるのは、「sus」で示されているであろう4thは、テンション表記だと11thに相当すると言うことです。このため、ルートより低い位置にヴォイシングされているだけで、中身はテンションだ、という言い方があり得るかもしれないわけです。

ブラジル音楽の世界で、ルートより低いヴォイシングの音を「テンション」と呼ぶかどうかまでは分かりませんが、4th(テンション表記なら11th)を「sus」として、ルートより低くヴォイシングすることがあることだけは、確認できました。


海外のネットで扱われるextension

extensionについてネットで調べたのですが、言及しているサイトはあるものの、説明がはっきりしているところは結構少ないですね。そんな中、guitarists.net はLessonsのコンテンツがあり、それなりに説明していました。こちらを確認してみます。

guitarists.net というコミュニティには、「理論のエキスパートDux」によるレッスン・コンテンツがあり、Lesson 5: Chord Extensionというページがあります。この中身を見ます。一応、次のように定義を与えています。

What are Extensions? These are 7th, 9th, 11th, 13th...etc.; or additional Notes that can be added to all Chords to help spice them up.

訳しておきましょう。

Extensionとはなにか? 7th, 9th, 11th, 13th...などなどのことである。あるいは、あらゆるコードにスパイスを効かせるために加えうる、付加音のことである。

定義・内包としては「スパイスを効かせる付加音」となるが、外延は7th系以上の三度堆積に適う音、と言うことになりそうです。具体例も挙げられているのですが、コード関係で日本の慣習とは異なる表記が見られるので、適宜注釈を入れて確認していきます。

まず、メジャー・ダイアトニック・コードについて。クラシックではトライアドを、ポピュラーでは4声を、基本的なコードと見なします。また、ナンバー・システムを使う場合(スケール・ノートをローマ数字で表記する場合)、大文字のみを使います。少なくともオイラが日本で接した各種情報では、こんな感じでした。

対して、guitarits.net では、例えばCメジャー・スケールから取り出されるダイアトニック・コードを次のように表記します。

I = C
ii = Dm
iii = Em
IV = F
V = G7
vi = Am
vii = Bm7b5

まず、スケール・ノート、あるいはダイアトニック・コードを番号で表すことを、おいらは「ナンバー・システム」と呼んでいたのですが(出典失念、何かの本で読んだ気がします)、Duxは"Nashville Numbering System"と呼んでいます(いずれ調べてみよう)。また、大文字表記はI, IV, Vだけ。つまり、トニック・コード、サブドミナント・コード、ドミナント・コードだけを大文字で表記し、他は小文字なのです。恐らく機能和声に関わることなんでしょうが、だとすると、サブドミナント・コードをIIではなくIVとしている点は、恐らくクラシック的なんでしょうね。

以前水野正敏の本で、サブドミナント・コードとしてIIを扱い、IVをむしろその代理であるかのように書かれているのを見て驚いたものです。



今手元にないので(どこにしまったかなぁ、部屋にはあると思うんですが)正確な記述は確認できませんが、サブドミナントの「サブ」を「補助的」との意味で捉えて、コードとしてはIIを位置づけています。

他方、オイラが知っている知識では、この「サブ」は「下」を意味しています。トニック、ドミナント、サブドミナントという用語は、本来コードの機能名ではなく、スケール・ノートの名前で、ドミナントがトニックから上行で数えて5番目なのに対して、サブドミナントは下行で数えて5番目です。これを転回してトニックから上行で数えればIVですから、IVをサブドミナントと呼ぶわけです。ちなみに、属音と訳されるドミナントは、「支配的」と言う意味だという説明は本やネットでもよく見かけるのですが、ではなぜそのような言葉が選ばれたのか、支配的とはどういうことなのかについては、まともな説明を見かけたことがありません。これについては、オイラなりに仮説を立ててはいますが、詳しい話はいつか別な機会に。

Duxによる表記の特徴を更に確認しましょう。コードが、トライアドと4声、まぜこぜなんですね。基本的にはトライアド、一部特殊なものは4声となっています。

まず、ドミナント・コードのVを4声としているのは、4声にしなければトライトーンをコード・ノートに取り込めず、ドミナント機能を十全には発揮しないと考えているのでしょう。

ただ、viiを4声にしている理由は分かりません。5thがフラットしていることを確認するだけならm7を加えておく必要なんてありませんからね。

ともかく、Duxが依拠する理論的な背景は、日本でそれなりに通用している理論の背景とは、異なっている可能性は、ここからだけでも嗅ぎ取れるかと思います。

これを踏まえて、Duxが示すextensionの例を見てみます。

'I' Chord: Major: M6, M6/7, M7, M9, M11, M13, Sus2 & Sus4
'ii' Chord: Minor: m6, m7, m9, m11, m13
'iii' Chord: Minor: m7, mb9, m11, mb13
'IV' Chord: Major: M6, M6.7, M7, M9, M#11, M13, Major b5
'V' Chord: Dom7, 6, 6/7, 9th, 11th, 13th, 7thsus4
'vi' Chord: Minor: m7, m9, m11, mb13
'vii' Chord: Half Dim: m7b5, b9, 11, b13

M6/7とか6/7って、なんでしょうね??? オイラは見たことがないんですが、上で7susを確認した流儀で考えれば、7thを分母に転回するんでしょうか???

注意すべきはviiのコード。m7b5、オイラだったらm7(b5)と書くんですが、これがextensionの例として挙げられていることです。これは、基本的なコードだったのでは??

ただ、この点を除けば、コード・クォリティが各ナンバーの基本的なコードと異なっていれば、extensionだと言ってしまっているようです。



というわけで、一応調べては見たのですが、extensionとテンションの関係は、どちらも定義がイマイチ曖昧でよく分からないままです。

それでも、海外の用例では、スパイスを効かせる付加音だったら、度数やルートから見た上行オクターブの範囲内かどうかとは関わらずどれもextensionと言えそうではあります。


書くのに手間取った上、長文になった割には、まともな内容にはならなかったなぁ。。。

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男性
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音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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