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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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随分間が空きましたが、更新再開です。ラップトップは無事修理から戻ってきました。他方、厳密には仕事ではないのですが、それでも仕事と言えば仕事と言えそうな話で当分バタバタしそうな気配でして(^◇^;) 定期的に更新していけるかどうかはちょいとはっきりしません(T.T) それでも、オイラ自身には続けていく意志はあります。

現在読んでいるのはこの本です。



ここしばらく更新が滞っている間、しばらくぶりに読み返していた本があります。



数年前に買って読んだときは、「です・ます調」の文体の見てくれに反して内容が高度で、マトモに理解出来なかったのですが、今読み返すとそれなりに理解出来るだけではなく、変な話、階名で指定できる音階や旋法は、プラトン的な意味でのイデアとしての音階そのもの、旋法そのものと言えそうだ、と言う気がしてきております。

その上で、今扱っている和声に関わる話として非常に重要なのではないか? と思しき記述もあるのです。メジャー・スケールやマイナー・スケールから取り出される、トライアドのダイアトニック・コードの下にローマ数字や機能を示すT、S、Dと言った記号を記した譜例があるのですが、これについてこんな説明をしているのです。

 ついでながら、各三和音の下に記したローマ数字を見てください。これは、長音階と短音階の別を越えて音階の何番目の音を根音とした和音であるかを示そうとする和音記号です。なお、Ⅰはとくに〈主和音〉(たとえば英語ではtonic)、Ⅳは〈下属和音〉(subdominant)、Ⅴは〈属和音〉(dominant)といいます。そしてさらにいえばローマ数字の和音記号で足りるとする〈音度理論 Stufentheorie〉の立場に加えて、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴではなくて、その機能的意味こそが大切であると考えて、Ⅰの代わりにT(前述したtonicの頭文字)、Ⅳの代わりにS、Ⅴの代わりにDという〈機能記号 Funktions-bezeichung〉を用いる〈機能理論 Funktions-theorie〉の立場もあるのですが、本書では今後、その両方を適宜使いわけていくことにしたいと思います。(p.124)

少なくともポピュラーでは(あるいは現在読んでいる『和声学入門』でも)、「音度理論」と「機能理論」を区別した上で統合するような説明って、為されないと思います。それこそクラシック的にはごちゃ混ぜにした上で「和声学」とか「和声論」と言うんでしょうし、ポピュラーでもやはりごちゃ混ぜにして「コード理論」と言うだけです。ですが、上の記述から察するに、音度理論と機能理論(恐らくラモー由来の機能和声論と同義と思われるが、ラモーはフランス人じゃなかったっけ? 上の横文字、ドイツ語だよなぁ?)は異なる理論的立場であって、それを今日的には(それこそ音楽理論の歴史を問題にするのでもない限り、作編曲や演奏といった〈実用〉の為であれば)統合して扱う、と言うことになるんだと思います。

ポピュラー的な「代理コード」という考え方(クラシックにも似たような考えってあるのかな?)は、機能和声的な考えを踏まえなければ不可能と思われます。つまり、あるコードが別なコードの代理として使えるのは、「機能」が同じだからだ、と言う形で機能に訴えることになると思われます。

他方、元々別な考え方なのであれば「ローマ数字の和音記号で足りるとする〈音度理論 Stufentheorie〉」という言い回しから察するに、音度理論には代理コードのような考え方自体が恐らくはないものと思われます。ポピュラーではナッシュヴィル・ナンバリング・システムが使われるので、音度がマイナーとなる場合はローマ数字にフラットを併記します。このような表記の違いは、ポピュラーには純粋な音度理論は引き継がれていないことを示すのかもしれませんから、根がポピュラーのオイラには音度理論の内実は想像できません。また、今日両者が区別されていないのは、少なくとも〈実用〉上区別の必要がないと言うより、むしろ区別できないほど統合されることで、〈実用〉に耐える理論となっているのかもしれません。

それでも、これらを漠然と区別せずに捉えるよりは、区別しておく方が、やはりよいと思います。少なくともある説明が、コードに対する考え方として、機能的か、音度的か、どちらの発想がより濃く反映されているか? を確認しておくのは、それなりに意味があるのではないか? それこそ漠然とした予感のようなものでしかありませんが、そんな気がします。

とはいっても、オイラの知識はまだこんなヤヤコシイ話をするには不足です。ともかく、『和声学入門』の続きを見ていきましょう。

ざっとおさらいしておきます。
  • 「四声」といっても、トライアドの1音重複であって、「七の和音」ではない
  • 現時点では「ベース音は、その和音の根音を用い、大きく離れたところへ進んでよい。」とされており、転回形や分数コードはまだ想定されていない。
  • 連結の規則は以下の通り
  1. お互いの和音に共通音があったら同じ位置で結ぶ。
  2. その他の音はなるべく近くへ、歌いやすいように流れるように進める。
  3. 共通音の無い(Ⅳ-Ⅴ)場合は、ベース音と上の賛成が反対の方向へ進む。
  4. 三音の重複や省略はしないようにする。
  5. 平行八度、五度ができないようにする。

p.16

●ⅠからⅤへの連結

C maj.を前提としたトライアドですから、ⅠはC、ⅤはGです。コード・ノートはそれぞれ

C: C E G
G: G B D
 
ですから、コモン・ノートはGのみ。よって、このGを「同じ位置」で繋ぐことになります。

提示されている譜例はこういうものです。

1_5.jpgへ音部のバスはどれもルートですね。

平行8度、平行5度が禁則なので、連結されるコード同士は同じ〈形〉であってはならないことになります。


●ⅤからⅠへの連結

コモン・ノートや注意事項は上と同じですね。こちらは譜例を示すだけにしておきます。

5_1.jpg




これまで見てきたコードは、トライアドを四声にすべく重複させた音が全てルートでした。次の譜例では5thが重複されたコードを連結しています。

3d504503.jpg今回示されているのはⅣ→Ⅰ、Ⅰ→Ⅴ、Ⅴ→Ⅰの3種です。やはりC maj.が前提となっているので、Ⅳ→Ⅰのコモン・ノートはC、Ⅰ→ⅤとⅤ→ⅠはGです。

パッと見た感じ、Ⅴ→Ⅰの譜例はかなり奇妙です。コモン・ノートであるはずのGが繋がれていませんから、禁則に抵触しています。また、ⅠのコードにはGが欠落しており、四声のうちCが3音を占めています。5thが省略されているだけですからCには違いないんですが……

この譜例の後に、こんな記述があります。

 共通音がなくなったときは、なるべく近くへ歌いやすいように進めてゆきます。もちろん、平行8度、5度が出来ないように注意します。

どうやら、Ⅴ→Ⅰの譜例はコモン・ノートがない場合の連結を示すもののようです。ただ、Ⅰからどうしてコモン・ノートたり得るGを省略したのか? 考えてみましょう。

今回の譜例では、各コードは5thが重複されていますので、ⅤではDが重複されます。バスにルートを据えた場合、そこでGが既に使われることとなりますが、ⅠのバスはCにせざるを得ない為、この段階でコモン・ノートの連結は諦めざるを得なかった、と言うことなのでしょうか?

それでも、ⅠにGが含まれないのはなぜなのか? ここは依然謎のままですね。まぁ、Ⅴのヴォイシングを所与として考えると、声部進行として「なるべく近くへ」繋げた結果、ⅠにGを盛り込めなくなった、ということなんでしょうね。上の声部は、Dは上行してEへ、Bも上行してCへ繋げています。どちらも2度間隔なので順次上行ということになり、なめらかな連結です。ト音部における最低音であるDは、順次下行でCに連結されています。このDを4度上行させてGに繋ぐという方法もあるとは思うのですが、ソプラノとアルトが上行しているので、バランスを取るためにバスとテノールを下行させたかったのかもしれません。また、やはりバス以外は「なるべく近くへ」繋げるべき、との規則が優先されて、4度上行でGに繋げるよりも、2度下行でCに繋いだ方が好ましい、と言う判断なのかもしれません。


今回はここまで。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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