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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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ポピュラーで言う「コード進行」、あるいは横文字で「コード・プログレッション」に相当する概念を、クラシックでは「和音の連結」と言うようです。この「和音の連結」の方法を研究するのが、クラシックにおける「和声学」、ということなるようです。

大学を出ると、「学」と付く言葉を見ると、「そういうもんだ」と提示された話を鵜呑みにしたくはなくなるものです。って、おいらだけ?? たとえば、経済「学」には色んな「学説」があり、中には「定説」と目されるものもありますが、それでも所詮「説」です。不可謬の真理だとは見なしません。

同じように考えると、実際に存在する(よって人間によって作編曲される)和声(コード進行)から帰納されうる和声理論は、飽くまで「学説」(むしろ「楽説」?)であって、不可謬の真理と見なすべきではないでしょう。

それでも経済「学」を学ぶ人なら、様々な学説を比較し、学説と現実の経済現象を照らし、場合によっては独自の「学説」を考案するかもしれません。

和声学も同様に考えれば、「人からなんと言われようが、オレはこのようなコード進行が美しいと思う」と強く確信すれば、周囲からの批判に逆らって、そのような和声に従って作編曲したり、楽説を提唱することもあるかもしれません。

他方、上で述べたような「確信」も、共感する人があまりに少なければ、単なる独りよがりと見なされるだけです。実際、過去にオイラのオリジナル曲で使われたコード進行について、「変なコード」と言われたことがあります(^◇^;)

ましてや、現在読んでいるこちらの本は、小学5、6年以上向けの入門書。批判的な吟味はまず置き、「とりあえずこれまでのところ、こういう和声が〈良い〉とされている」という事柄が示されているだけです。



他方で、恐らく今日標準的な和声の約束事、「定説」も、それなりの歴史を経て構築された反面、そのような歴史を追うことによって、もしかすると今日の定説が、歴史的にはむしろ奇異なものかもしれません。そういう意味では、
  • さしあたり定説を押える
  • 歴史と照らして定説を相対化する
  • 定説も相対化した上で、ポピュラーの標準がどういうものなのかを位置づける
という段取りで、今後の作業を進めた上で、ポピュラーにおけるモードとクラシック(むしろ現代音楽)の12音技法を並べて理解出来るようになると、かなり見通しが良くなるかもしれません。そこまで辿り着くのにどのくらいかかるか分かったものじゃありませんが(^◇^;) やるだけやってみます。

p.14 和音の連結

そういうわけですから、「なぜそうなのか?」については十分な説明がないまま、あるコードから別なコードを繋ぐ〈規則〉が提示されます。さしあたりの作業仮説、定説です。

とりあえず、今の段階ではトライアドの連結に関する規則で、つながる二つのトライアドのコード・ノートにコモン・ノートがあるか、ないかで規則が別れます。とりあえず、そのまま引用してしまいます。

A、お互いの和音に共通音があるとき
1. 共通音を結ぶ。
2. その他の音は、出来るだけ近くへ。
3. 音の流れ(進み方)に、平行八度や平行五度が出来ないようにする。
 

というわけで、連結の良し悪しを判定させる練習問題が示されます。こういう譜例です。

cp1.jpgローマ数字から判断するに、C maj.を前提にしているのは明らかですね。ですから、ポピュラー的にはC→Fの進行です。違いは、左側はFが基本形なのに対して、右側はFが転回形となっている点にあります。

素直に規則に照らしてみます。各コードのコード・ノートを比較してみます。
  • C: C E G
  • F: F A B
すると、上の規則1.に従うなら、共通音であるCは結ばれている必要があります。また、左側のコードは単純に各声部が4度間隔になっていますが、EとF、GとAのように、2度間隔で繋ぎうる音が含まれています。ですから、規則2.に照らすと、これら2度間隔の音を繋ぐべきでしょう。また、CとGはP5、FとBもP5ですから、左側の連結は平行5度に当たり、規則3.に反します。このため、左側の連結はNG、右側が〈正しい〉ということになります。

続いて、コモン・ノートがない場合。
 
B、お互いの和音に共通音が無いとき。
1. なるべく近くへ流れるように。(平行八度や平行五度が出来ないように)
2. ベース音(いちばん下の音)と上の音の流れを、反対の方向に進める。
3. 同じ方向へ進んでも、平行八度、五度が出来なければかまいません。

こちらの用語を参照すると、規則2.は「バスと他の声部は反進行となることが望ましい」、他方規則3.は「平行8度や5度でなければ、バスと他の声部の並進行は許容される」と言い換えることが出来そうです。他方、規則の順序を考えると、規則2.がまずは優先され、バスと他の声部を反進行出来ない場合は、規則3により、平行8度、平行5度にならない限りは、バスと他の声部の並進行も許容される、と言うことになるでしょう。規則2.を満たすバスと他声部のアレンジが可能であるにもかかわらず、規則3.に訴えるのは論外、と言うことなんだろうと思います。

その上で、今度は練習問題ではなく、例が示されます。3種類ありますが、全てC maj.におけるF→Gの進行です。

cp2.jpg譜例の下に記したアラビア数字は、コード進行を区別するためにオイラが付与したもので、元の譜例には付いていません。

1は悪い例とされています。トライアドですから、FにしてもGにしても、ルートと5thがあり、この5度はどちらもP5です。このため、禁則の並進行に当たり、NGとなります。

2は良い例とされています。バスがFからGへ順次上行しているのに対して、上声部はCからBへ、AからGへと、それぞれ順次下行しています。これは規則2.の反進行に適っています。

3も良い例とされています。こちらは全ての声部が下行しており、並進行に当たります。ですが、Fのバスとトップ・ノートがP5なのに対して、Gのバスとトップ・ノートはM6ですから、平行5度には当たらず、許容されます。


それにしても、ポピュラーでは5度上行や4度下行は「強進行」として、好ましいというか、定番のコード進行として扱うのですが、その際のヴォイシングまで気にしたことって、少なくともオイラはありません。キーボードやギターの方は気にしているのかもしれませんが、オイラはベース弾きですので、コードの具体的なヴォイシングが、既存の曲ではどうなっているのかについて、あまり気に掛けたことがないんですよね。

あと、水野はこんなことを言っています。



面白いのがダイアトニック・コードを弾くと、そのままドレミファソラシという音階に聴こえることで、これを利用してメロディの各音それぞれに対応したダイアトニック・コードを配列しても支障なく聴こえます。この手法はダイアトニック・コードの順次進行というもので、プログレッションにて解説します。(p.127)

オイラは「順次進行」とは、各声部の「ライン」について言えるもので、ヴォイシングされたコードの連結にかんする概念だとは理解していないのですが、水野はこのように述べていますので、ポピュラーでは慣習的に「コードの順次進行」といった言い回しが通用しているのだと思います。

あと、ダイアトニック・コードがそのまま音階に聞えるからには、全てのコードが同じ〈形〉、つまり、全て基本形とか、全て第一転回形とか、そのように統一されたヴォイシングになっている場合を、水野は想定しているんだと思います。仮に基本形に統一された場合を考えると、シをルートとするダイアトニック・コードのルートと5thはb5となるものの、他のルートと5thは全てP5となり、今回見た規則に照らすと平行5度の禁則に当たります。ところが、水野はそのような連結をこそ、まさに「順次進行」の例として示しているのでは?

こうした点と、以前確認した平行8度・5度に関する説明にある「近代・現代の音楽では、連続は頻繁に行われる。」を合わせて考えると、やはり、今日的には平行8度・5度をとりわけ禁則として忌避する必要はないのかもしれません。


今回はここまで。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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