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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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図書館からこの本を借りて読んでいました。



内容自体は大いに役立ちそうだったものの、こういっちゃあアレですが、誤字脱字のレベルではなく、根本的な日本語のセンスというか(^◇^;) そういう点ですんなり入っていけない部分があるんですよね、これ。

幸い、もう一人加わって改訂された本があるようなので、この際買ってみました。



元々は「青山梓」って人の著書として1985年に出されていたのが、「渡邉鉄雄」って人による「補作」が加わって改訂されたもののようで、2002年に出されたものですから、かなり新しいですね。相当読みやすくなっているものと期待したものの……

やっぱり変な言い回しが残ってます(^◇^;)

たとえば、教師向けの序言にこんな言い回しが出てきます(p.5)。

和声を取り扱う一つの方法として、コード・ネーム式にやる考え方もありますが、私は、どちらにも特色があって面白いと思いますし、どちらでやって戴いても差し支えないのですが、本書では、古くからやってきた方法を取りました。

まぁ、意味は分かりますし、教師に向けている文言でもありますからいいようなものですが、一応本自体は小学5、6年以上向け、子供向けなんですし、せっかく改訂したんですから、もう少し推敲しても良さそうなものだと思うのは、オイラだけですかね??

まぁ、こういう言い回しが登場するってことを踏まえて、読み進めていくことにします。

以前古い版で最初の数ページだけ確認済みですが、改訂版との異同の問題もありますので、ざっと振り返っておきます。
 

 

p.8 和音

古い版と2ページズレてますが、内容は同じです。ただ、今改めて読んで気になる点があるので、指摘しておきます。

『和声学入門』は、2声からなる二和音を認めています。その上で、二部合唱について次のように説明しています。

二声の合唱というのは、二つの違った音を重ねて、合唱するもので、二部合唱といいます。これは三和音のどの音か一つを省いた、二和音で出来ております。

やはり以前述べましたが、ポピュラーでは、三声以上重ならなければコードとは呼ばないかと思います。クラシックでも、二声は和音ではなく、音程(当然ポピュラーにおける「インターバル」)だとする立場もあります(たとえば『音楽キーワード事典 』p.122)。



では、『和声学入門』は特殊な立場を示しているのか? そうでもありません。二和音を、飽くまで三和音の省略と捉えるからです。トライアドから一音省略した二和音が成す音程としては、以下の組み合わせが考えられます。
  • ルートと3rd→3度
  • 3rdと5th→3度
  • ルートと5th→5度
決して半音でぶつけるとか、2度音程(転回すれば7度音程)の二和音を想定する訳ではないんですよね。

ルートが省略されている場合も、飽くまで省略されているだけなので、変な言い方ですが、聞こえなかったり歌わなかったり演奏しなかったりするだけの話で、本当はルートがあると考えるのでもなければ、「省略されている」とも言わないでしょう。

すると、二和音を認めている『和声学入門』も、見かけとしてそういうものがあるとしているだけであって、飽くまでコードは三声以上という考え方を潜ませているものと考えられます。

ですから、『和声学入門』の立場が特殊なわけではない、という点は、確認しておいた方がよいと思います。


p.9 三和音

以前古い版で確認したときは、ローマ数字の大文字/小文字でコードの長短が区別される記号が示されていたのですが、ローマ数字は全て大文字に改められています。また、ディミニッシュやオーギュメントを示す記号も紹介されません。

つまり、少なくとも記号表記に関してはコード・クォリティは考えず、単にルートをローマ数字の大文字で示すだけ、となります。それでも、一応トライアド4種(長短増減)を紹介はしています。

以下、本文で扱われるコードは、特に断らない限りは全てC maj.から取り出されるダイアトニック・コードとなります。


p.10 主要三和音

内容に変化は見られません。


では、続きを新しい版で確認していきます。


p.11 長三和音の重複(T、S、D、の音の重複)

メジャー・トライアドのコード・ノートのうち、一つを重ねて4声とする際、どの音を重ねるのがよいのか? について、理由は説明抜きで、以下のようにすべし、とします。
  • ルートを重ねるのが一番良い
  • 5thを重ねるのも悪くはない
  • 3rdはそもそも重ねない
ただし、この重ね方はメジャー・トライアドにしか当てはまらない、とします。


p.12 音の省略

トライアドの長短にかかわらず、省略するときは必ず5th、だそうです(ディミニッシュやオーギュメントの特徴は5thに現れるので、これらのコードの場合5thは省略できないようです。詳しくは別途どこかで触れられるんだろうなぁ?)。やはり理由は説明抜き。

なお、p.8で二部合唱のコードがトライアドからの一音省略であることを確認する際、あり得る二和音の組み合わせとしてルートと5thも考えましたが、この規則に照らすと、これはありえないことになります。省略するのが必ず5thなのであれば、あり得る二和音はルートと3rdの組み合わせだけ、と言うことになりますね。


以上、重複と省略については理由が説明抜きなのですが、これってポピュラーの楽理でも常識なんですかね? 少なくともベース弾きの立場から言えば、フレージングと楽器の制約から、結果的に従っていただけで、そう「しなければならない」類の規則だという意識がなかったんですよね。

まず、省略について。たとえば、ベースの立場でトライアドから1音省略する場合、5thを省略するのは、
  • ルートがベースと一致する場合、ベース・パートなんだからルートを省略できる訳がない
  • 3rdはコード・クォリティを決定づける要素なので、省略できない
  • よって、省略するなら残った5th
という消去法によるものなんですよね。あと、ベースでトライアドを押えるのは結構大変なストレッチになるので、5thを省略します。どうしてもトライアドを押えるなら、フォームは以下のようになります。ルート(P1)は小指、3rdは薬指ないし中指、5thは人差し指で押えるのですが、とにかく小指が辛いです。

    P5       P5
          m2  
  M2          
P1       P1    
major triad   minor triad

一応、自然倍音列の話を持ち出して、ルートを基音とした場合、倍音に5thが含まれるので、ルートさえ弾いていれば5thは含意されてしまう、という話はよく耳にするんですけど、ここからコードから音を省略する規則に結びつけた説明ってのは、オイラは見たことがありません。

そういえば、(ベースではなく)ギターのコード・フォームについては、ルートや5thがしばしば省略される(特にテンション・コードでは)って話なら聞きます。ただ、和声学や楽理の話としてではなく、ギターにおける慣習的なコード・フォームの話として聞かれるものです。おいらはベースしか弾けないのでギター向けの〈一般的な〉教本をまともに読んだことはないのですが、どうも巷の「コード・ブック」は、コード・ネームとフォームを対応づけて図解しているだけで、そもそもコード成立の前提(スケールや三度堆積の話)や、ケーデンスに適ったヴォイシングとフォームの関係などについてまで説明している様子がないんですよね(以前バンドにいたギターさんの様子を見た限りでは)。

続いて重複について。3rdがNGって話、少なくともオイラは聞いたことがありません。他方、ルートと5thについては、パワー・コードと呼ばれるものがまさにこれで、ルートのオクターブ上と5thを重ねるのは、ポピュラーでは定番の用法です。ギターは特にディストーションをかける都合コードがつぶれて濁りやすいからか、細かいことを考えずに何でもパワー・コードを使うってこともありそうですし。

ベースによるフレージングで言うと、スラップ奏法の基本はルートとオクターブですし、ラテン・ベースではモントゥーノ、というのかな? ルート(オクターブ)と5thでフレージングするのが定石です(2拍子で2小節かけて5th→オクターブ→5th→ルートってフレージング)。3rdって、そういえばあまり使わないのかな??

そういう意味では、結果的にこのような規則に適ったことを、ベースのフレージングでは行っていた、とは言えそうですが、それが和声学の規則と関係しているという説明を、楽理本の類で読んだことは一切無いんですよね。他方、ポピュラーでもケーデンスなどの形で和声学(むしろ「コード理論」)はやる訳だし、クラシックとポピュラーの関連づけとか、類似と相違の洗い出しってのは、しっかり行われるべきだと思うんだけどねぇ。

まぁいいや。


p.13 重複と省略の注意

既に見たように、
  • メジャー・トライアドの場合、重複はルートがベスト、5thは次善策、3rdがNG
  • 長短トライアドから省略するなら、5th
という話を踏まえて、「Ⅶの和音のように、導音(音階の第7音シの音)が根音になっているときは」「重ねない方が良い」と言う話が出てきます。ここの理屈がよく分からないんですよね。

ここまで『和声学入門』の譜例は全てC maj.を前提に記されていたので、トニックの半音下は当然Bと言うことになります。Ⅶのコードは、よってB D FからなるBdimってことになるわけですが、仮にここでルートのBを重ねると、B D F Bとでもなります。その上で、ルートを重ねるのがNGなのは、

導音は主音(ドの音)に進むものですから、導音が2個あると、2個とも主音へ進みたくなり、平行八度が出来るからです。
五音が導音になっているときも、五音を重ねてはいけないのも、同じ理由からです。

という説明なのですが……

まず、オイラはここで初めて「平行八度」という言葉を見たのですが、小学5、6年以上向けの「いちばんやさしい」を謳う『和声学入門』が、なんの説明もなく「平行八度はNG」なんて話をするのも、どーなんだろうね?? オイラが小学生の時こんな言葉を聞いた覚えもないし、ポピュラーの楽理本でも目にした覚えが全くないんですよね。

と言う訳で、この「平行八度」を探ってみます。

調べてみたところ、「平行8度」は「連続8度」とも言うようで、「連続5度」とともに禁則扱いになっていますね。ただ、「近代・現代の音楽では、連続は頻繁に行われる。」そうだし、ラインをオクターブ重ねて強調する場合は同一声部と見なされ、連続には当たらないとされるようなので、今日的にはそんなに気にすることはなさげです。

その上で、重複については、これまでのところメジャー・トライアドの場合しか説明されていない(p.11を踏まえて)にもかかわらず、減三和音であるC maj.におけるBdimを例に、「これは例外」みたいな説明をされても、正直「なんのこっちゃ??」としか言えないんですよね。他のコード・クォリティにおける重複に触れたときに説明すればよいことなのに、なぜここで取り上げるのか? 端的に謎です。

そこで、この問題が解決しないまま、省略について見てみます。『和声学入門』にはこうあります。

省略の時は、必ず五音を省略しますが、五音が導音のときは省略しないほうがよい。

で、こんな譜例があります。

omitbadex.jpgEm→Am/Eの譜例です。Emの5thはBで、C maj.における導音です。このBを省略してはいけない、という話ですね。ただ、この譜例で示されている話は、重複の際に出てきた「平行8度」でもなければ、それと同列の「平行5度」でもないんですよね。

どうもこうした話の進め方から察するに、
  • コード・ノートに導音が含まれている場合、それは重複も省略もしてはいけない
ということが言いたいのであって、平行8度かどうかはどーでもいいんじゃないか?? って気がするんですよね。

導音が重複されると、元の導音も重複された導音も、どちらも解決が必要になるので、どちらもトニックへ声部進行する。これは解決進行として強力過ぎて、露骨に響くからNG、ということなのではないか??

他方、導音が省略されると、そもそも解決進行が失われてしまうからNG、ということなのではないか??

つまり、重複によって平行8度が生まれるかどうかが問題なのではなくて、導音は必要ながら強すぎるのも困る、という話なのでは??

この辺、それこそ理屈としてはどうなんでしょうね??


今回はここまで。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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