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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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しばらくの間考えてみたのですが、やはりディミニッシュ・スケールをドミナント・コード向けコード・スケールとして説明するのはかなり大変そうです。少なくともまだ自分なりの結論が出ていません。

そこで、やはり随想というか、考えながら考えていることを書く流儀で進めていきたいと思います。

まず、篠田の本には、ディミニッシュ・スケールが登場しませんでした。



林の本には登場します。



ただ、林の説明は「ドミナント・コード向けコード・スケール」としてではなく、飽くまでディミニッシュ・コードが指定されている箇所で使えるテンションを想定することで導くことが出来るスケールとしての位置づけで、コード進行における機能や代理との関わりは述べられていません(p.114)。

そんな中、それなりにディミニッシュ・スケールを説明しているのは水野だけなのですが、この水野の説明がオイラにはよく分からないんですよね。

今回は、「水野の説明のどこが分からないのか?」について書いてみます



水野はディミニッシュ・スケールを「コード・プログレッションで使われるdimコードに使用する」(p.201)とし、Cディミニッシュ・スケールの譜例を示します。水野が掲げる譜例には説明のために色々線が引かれたりもしているのですが、オイラの環境では再現できないので、手を加えて次のような譜例に書き換えて提示しておきます。

Cdim_Scale.jpgクリックすれば大きな画像で確認出来ます。要は、CdimとDdimの二つのコードを組み合わせるとCディミニッシュ・スケールが得られることを示す譜例です。コード・ネームは水野が使ったもので、オイラだったら4声であることを示すためにCdim7、Ddim7と書くところですが、中身は一緒です。

水野はこの譜例に続けて、ディミニッシュ・「スケール」ではなく、ディミニッシュ・「コード」の解説をします。ここで考えたいのは「スケール」なのですが、とりあえず見ておきましょう。

 ディミニッシュ・コードはその半音下の7thコードの代理が多く、構成和音を見ると7thコードのルートのみ半音上げると、半音上のdimコードになります(p.202)

と言うわけで、一応譜例が掲げられているのですが、この譜例は省きます。言ってることは分かりますよね? ある7thコードのコード・ノートを、ルートを半音上げるだけで、残りのコード・ノートはそのまま残すと、dimコードになります。このため、dimコードは、ルートが半音下の7thコードの代理に使われる、と言っています。

さて、なぜこんな解説がディミニッシュ・スケールを説明する脈略で登場したのか? まずこの点が分からないので、オイラは読者として「何の説明をしようとしているんだ??」と面食らいます。ともかく、この後に続けて一応ディミニッシュ・スケールの説明が為されるのですが、上記の譜例から読み取れる二つのディミニッシュ・コードを組み合わせたスケールであることを示し、ここからコンディミと区別せよと注意を促した上で、「△7を使っているのがディミニッシュ・スケールと覚えましょう。」(p.202)と述べます。

更に水野は、コンディミ・スケールとの対比でこんな説明を行います。

 また、ディミニッシュ・スケールを「コード・プログレッションで使われるdimで使用」わざわざ断らなくても、トニック・コードでdimを使っている曲は非常に希ですし、コンディミを使用したdimコードも希です。それゆえ、dimコードを見たらディミニッシュ・スケールと考えれば良いと思います。(p.203)

裏を返せば、コンディミ・スケールは、トニック・コードとしてのdimコードが使われている場面でもなければ使うことはない、と言っているわけですが、これまで確認してきたように、コンディミこそ、7thコードがコード進行で使われる脈絡において、使いうるスケールだったはずです。もちろん、かなり色んなテンションを引き合いに出す必要はありましたが、これらは脈絡となる長短各スケールの変種や自然倍音列から取り出せるわけですから、コード進行で登場するdim7コード向けコード・スケールとしてコンディミを想定するのは問題ないはずです。

ともかく、ディミニッシュ・スケールこそがコード進行で登場するdimコード向けコード・スケールだというのであれば、水野が説明していない、7thコードとの関わりから考えていかなければなりません。この作業が、なかなか混乱してしまうのです。

さて。どう考えたものでしょう??

まず、コンディミ・スケールを考えたとき、7thコードのルートとdim7コードのルートは一致しているものとして考えました。ですが、水野がわざわざルートを半音ズラした上での代理の話をしたことが、やはり気になります。そこで、ディミニッシュ・コードと7thコードの関係を再度確認します。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
dim7                
7th                
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

変な書き方ですが、2つのコードの関係は見て取れると思います。

このような、ルートが半音ズレているだけなので、dim7コードは7th コードの代理となることが根拠となって、「dim7コード向けコード・スケールもトニックが半音ズレた7thコード向けコード・スケールが使える」という話が 続くなら、コードの説明をした意図も掴めるのですが、上記のように、そんな説明は一切登場しません。しかも、既に引用したように「△7を使っているのが ディミニッシュ・スケールと覚えましょう。」と述べられています。仮に、説明がないだけで、7thコード向けコード・スケールがdim7コード向けコー ド・スケールとして流用できるのだとしても、dim7コードのルートと7thコードのルートは半音ズレています。dim7コードのルートがトニックとなる ディミニッシュ・スケールにおけるM7は、すると7thコードのルートと一致することになります。だとすれば、この辺りについてそれなりの説明があっても良さそうなものなのですが……

ともかく、この辺りから考えてみます。また、音に名前が付いていないのも不便な一方、平均律を前提としたポピュラーにおいては、任意の音名で構わないはずですので、やはり階名を使いましょう。すると、長短各スケールで分けて考える必要がありますが、とりあえずメジャー・スケールで考えてみます。上の表を階名で書き換えるとこうなります。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
dim7   s#     t     r     f  
7th s       t     r     f  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

さて、ディミニッシュ・スケールは、トニックより上のスケール・ノートが、全半の繰り返しで連なりますので、上の表にスケール・ノートも書き加えてみます。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
dim7   s#     t     r     f  
dim_scale s s#   l# t   d# r   m f  
7th s       t     r     f  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

7thコードのルートより半音上の音をルートとするdim7コード向けコード・スケールとしてのディミニッシュ・スケールを考えるのですから、トニックはソ#です。全半の繰り返しでスケール・ノートが連なるわけですから、ソ#から見たM7であるソも必要となります。

ですが、このスケールのトニックをソと考えると、むしろ中身はコンディミ・スケールなんですよね。。。

すると、水野の言いたかったことは、こう言うことなのでしょうか?
  • コード進行で登場する7thコードの代理としてdim7コードを使う場合、ルートを半音上げる必要がある
  • このdim7コード向けコード・スケールのトニックは、よって7thコードのルートより半音上となる
  • ディミニッシュ・スケールのトニックから見たM7は、7thコードのルートと一致し、スケール自体はコンディミ・スケールの並べ替えである
ただ、そういう話であれば、それこそコンディミ・スケールとの関連もあるので、水野自身がそういう説明をしておかしくないんですよね。ところが、そういう説明が一切ない上、コンディミ・スケールのトニックは7thコードのルートと一致させて考えて来たことからしても、結局水野は何を説明したかったのかがさっぱり見当が付かないんですよね。

もちろん、ディミニッシュ・スケールをコンディミ・スケールの並べ替えで済ませられるならそれはそれで良いのですが、もし水野が
  • 7thコードのルートとトニックを一致させたディミニッシュ・スケール
を説明したかったのだとすれば、どうでしょうか? そこで、そういうスケールを想定してみます。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
dim_scale s   l tb   d d#   r# m   f#
7th s       t     r     f  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

7thコードのルートを除くコード・ノートが、スケール・ノートには含まれないことから、このようなスケールがコード進行において使われるとはやはり考えにくいですね。

それでも、スケールの変種を想定すると重なる音もありますので、強引にでもこのような使われ方をするスケールを考え出せないか? 色々見当してみましたが(その方法が、長短スケールをキーに取り込んで一元管理する、というものだったわけです)、思ったほど巧くいかなかったんですよね(^◇^;)

そんなわけで、オイラとしては、
  • 7thコードの代理としてのdim7コード向けコード・スケールとしてのディミニッシュ・スケールは、コンディミ・スケールを第2音から並べたもの
と捉えるだけで済ませたいのが本音です。ただ、ホントにこれで済ませてしまって良いのか? 確信が持てません。他方、オイラには他に考えようがないので、ディミニッシュ・スケールについては、とりあえずこれで終わりにしておきます。

なお、この場合、dim7コードのルートは、メジャー・スケールにおいてはソ#(=ラb)、マイナー・スケールにおいてはミ#(=ファ)となります。前者はハーモニック・メジャーから、後者はスケール固有音から説明可能ですから、キーには適っていると言えそうです。


今回はここまで。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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