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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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当初はある意味徒手空拳で、ドミナント・コード向けのコード・スケールを確認してきました。ですが、一端寄り道の体裁でいわゆる近親調について確認したことから、いわゆる近親調に由来する変化音を一通り一瞥する形になりました。その成果を踏まえ、これまで確認してきたコード・スケールを改めて捉え返しておきます。作業手順は次のようになります。
  1. 長短各スケールについて、いわゆる近親調に由来する変化音を取り込んだものを一覧する。
  2. 長短各スケールをドミナントから並べ替える。
  3. 各コード・スケールをドミナントから並べ替えた長短各スケールと比較する。
なお、ホントはスケールで考えるのでなく、キーで考えたいのですが、これは「ディミニッシュ・スケール」について考える時まで取っておきたいと思います。




ここで検討するスケールは、これまで参照してきた3冊の中でも、特に林による分類に従っています。3冊を列挙しておきます。



林は、長短各スケールにおけるコード進行に登場するドミナント・コード向けコード・スケールを確認するという手法を用いており、オイラはこれを階名で処理するに過ぎません。

まず、メジャー・スケールから。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
maj._dom. s (lb) l (tb) t d   r   m f  
Lyd. 7th s   l   t   d# r   m f  
Com.Dim. s lb   tb t   d# r   m f  
Alt. s lb   tb t(db)   rb   mb   f  
W.T. s   l   t   rb   mb   f  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  
    H.maj. N.maj. M.maj.   N.maj. 自然倍音   d_P. min. N.maj.    

1行目のmaj._dom.は「メジャー・スケールをドミナントから並べたもの」の意味で、外延としてはミクソリディアンと一致しますが、括弧でくくっているとはいえ、ラbとシbも、一応記しています。ラbはハーモニック・メジャー・スケールに、シbはメロディック・メジャー・スケールに、それぞれ由来する変化音です。

2行目はリディアン7thスケールです。ドの代わりにド#が使われており、コード・ノートのシの半音上、よってアヴォイド・ノートとなるドが半音上がることによって、アヴォイド・ノートがなくなったものと言えます。ド#は、一応トニックのソから見た自然倍音の一つ、第11倍音に由来する変化音と見なしておきます。レbとしないのは、レが存在するからです。なお、このトニックから見た#11を自然倍音の一つとして捉えない場合は、「スケールの並べ替え」という発想から「キーの並べ替え」へと拡張する必要があるかもしれません。これについてはまた別の機会に。

3行目はコンディミ・スケールです。そもそもは、このテンションを説明するためにスケールの変化音がどこから出てくるのか? と言う話をしたんでしたね。詳しくは過去の記事をご覧頂きたいのですが、メジャー・スケールの変種、及び自然倍音に由来する変化音でテンションの説明は付きます。改めて表を見ると、メロディック・メジャーの並べ替えに、シのアヴォイドとなるドを、自然倍音由来のド#に置き換えたものと見なせば良いでしょう。

1行飛ばして5行目はホール・トーン・スケールです。「ホール・トーン」とは、隣り合ったスケール・ノート同士のインターバルが全音であることを表しています。日本語にしてしまえば「全音」ですが、全音階(ダイアトニック・スケール)の「全音」とは全く意味が異なります(「全-音階」ですし、こちらはテトラコードに関するまともな議論が必要になりそうで、オイラもまだ手を出していませんが、この辺を説明抜きで扱うことで、概念や用語がホントにごちゃごちゃしているポピュラー系音楽理論の現状は、ホントどうにかならないか? と思います)。一般にホール・トーン・スケールはノンダイアトニック・スケール(非全音階)とされていますが、では半音階(クロマチック・スケール)なのかというと、そうではありません(^◇^;) ともかく、ノンダイアトニックですので、本来は階名を与える意味がないというか、不可能なのだと思いますが、〈適当に〉付けておきました。五線譜に書くときは、このため「どの音に臨時記号を付ければよいか?」で色々苦労することになるかと思うのでが、1行上のオルタード・スケールと比較すると、「メジャー・スケールの変種に由来する変化音が使われていない」点に大きな特徴があることから、これまでに確認したスケールとは性質が違うと言えそうです。では、それは何なのか?

と言うわけで、4行目のオルタード・スケールです。以前やはり散々考えたわけですが、要するに裏ドミナント・スケールと言えるbⅡミクソリディアンの音を表の脈絡に取り込んだもの、と言えたわけです。これを、改めてキーの問題として考えればどうなるのか? これについて考えてみます。

裏ドミナントとは、表のドミナントであるⅤ、メジャー・スケールだとソとなりますが、これとトライトーンを成すbⅡのことで、メジャー・スケールの脈絡だとレbとなります。メジャー・スケールをソから並べたミクソリディアン全ての音の裏を考えると、レbミクソリディアンとなります。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
s
l
t d
r
m f
rb
mb
f sb
lb
tb db(t)
 
b9 9 #9 b11 11 #11
b13 13 #13

裏のスケール・ノートは、ファ以外全てにフラットが付きます。キーで考えましょう。フラットはシから完全4度間隔で付きます。つまり、

シ ミ ラ レ ソ ド ファ

の順に付くわけですから、最後のファを除く6音にフラットが付いていることになります。

さて、キーの話を思い出してください。変化記号が「3つ増える」と、同主音階のキーが得られます。フラット系の場合は、メジャー・スケールのトニックであるドをトニックとするマイナー・スケールが得られるわけです。

裏のミクソリディアンとは、そういう意味では、ド同主短音階、更にド同主短音階を、ソから並べたもの、と言うことになります。

ところが、オルタード・スケールは、まさにソから始まるスケールですので、ソだけが半音上がったことになります。これらの関係を表にまとめます。

b0 d   r   m f   s   l   t
b3 mb   f   s lb   tb   d   r
b6 sb   lb   tb db   rb   mb   f
Alt.   s lb   tb db   rb   mb   f

まず、表のミクソリディアンが取り出される元となるメジャー・スケールのドを、ラと読み替えたド同主短音階が得られます。今回は対比のために、これを新たなド(元のキーに位置づけるとミb)から並べます。このスケールのド同主短音階を得るべく、更にフラットを3つ増やすと、ド(ミb)がラとなります。新たなドは、元のキーソbなのです。これが半音上がったものが、オルタード・スケールです。

「同主短音階の同主短音階」を考えることに何か意味があるのかどうかは分かりませんが(^◇^;) オルタード・スケールに無理矢理何らかの近親関係を見いだそうとすれば、こう言うことになろうかと思います。スケール・ノートのファとソ以外は全てフラットが付くことからしても、パッと見た限りでは、むしろ元のキーとは無縁と言えそうです。しかし……「同主短音階の同主短音階」、何か意味がありそうな気がするし、「同主長音階の同主長音階」というのもありそうな気がしますね。今度考えてみよう!

ともかく、強烈なアウト感が出て効果的な反面、外れっぱなしとなるリスクもある、使いづらいスケールと言えそうです。どのくらいハズレ続けているとハズレに聞こえて、どのくらいで戻ってくれば「アウトだった」と言えるのか? これも気になりますね。やはり今度考えてみよう!

おっと、書き忘れていましたね。ホール・トーン・スケールの特徴。ラbやシbといったメジャー・スケールの変種に由来する変化音は含まない一方で、ド同主音階や自然倍音に由来する(キーで考えればやや縁遠い)音を取り込みつつ、ファでスケールに戻ると言う意味で、守調的ともアウト感があるとも言えない、オルタード・スケールのような裏の取り込みをしているとも言えない、曖昧なものだ、ということです。それだけに、ある種勢いで使っていても、「ヤバイ、アウトしているうちに戻ってこれないっ」と言うときでも、続けていれば比較的早く戻ってこれると言う意味で、そこそこ低リスクで使える、と言えそうです。


今度はマイナー・スケールです。同じ流儀で考えます。

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
min._dom. m f (f#) s (s#) l   t d   r  
H.min.5th↓ m f     s# l   t d   r  
Mix.b6th m   f#   s# l   t d   r  
Spanish1 m f   s s# l tb
d   r  
Spanish2 m f   s s# l   t d   r  
Alt. m f   s s(s#)   tb   d   r  
Lyd.7th m   f#   s#   l# t   d# r  
    b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  
    N.min. M.min. N.min. H.min. N.min. 自然倍音   N.min. l_P. maj.    

1行目はマイナー・スケールをドミナントのミから並べたもので、変種由来の変化音を書き加えたものです。

2行目はハーモニック・マイナー5thビロウ、3行目はメロディック・マイナーの5thビロウに当たるミクソリディアンb6thです。これらは問題ありませんね。

これまで触れてこなかったスパニッシュ・スケールを2種類書き込んでみました。数字はオイラが勝手に付けただけです。数字で区別したのは、シbが付くか、シが付くかを区別するためです。シbが使われると半音が4音続きます。少なくともベースにとっては1の半音がⅣ音続くスケールの方がフィンガリングは断然楽ですね。ミを薬指でプレイすれば、ファが小指、全音上のソは人差し指で、以下4音各指でフィンガリング、ドは再び人差し指、薬指でレですから、ストレッチもスライドも必要ありません。1の場合、シbが何に由来するのかが問題となり得ますが、やはり自然倍音が根拠となり得ます。

オルタード・スケールは、上で確認し直したように、メジャー・スケールから見た裏ドミナントとなるミクソリディアンから音を借用している訳ですから、マイナー・スケールにおいて用いるのはお門違い、文脈が違うようにも思えるのですが、シb以外は変種由来の音で説明が付くと言う意味では、なるほどマイナー・スケールと相性が良さそうです。

リディアン7thスケールは、ド同主長音階に訴えなければ取り出せない音が含まれますが、これもいわゆる近親調ですので、無理なく使えるでしょう。


こうして見ていくと、やはりオイラには、個々のコード・スケールを覚えて自覚的に「オルタード・スケールを使う」などと考えるよりは、キーに適った音とそうではない音を聴感で区別して、その時々のアドリブで欲しいと思った音を使えるようになった方が手っ取り早い気がしてきます。


ともかく、次回からはディミニッシュ・スケールを確認します。オイラ自身まだチラとしか考えていませんが、どうも「長短各スケールの脈絡」というこれまでの考え方では説明が付かないような気がします。ここから、「長短各スケールの脈絡」をキーで包含するという発想が必要になるかもしれません。
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べぇす
性別:
男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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