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楽理一般がメイン、一応。とはいえ書いているヤツは素人ですので、誤解・勘違い・間違いも多いかと思います。色々教えてください!
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楽理本によってドミナント・コードに対するコード・スケールの説明の仕方が違いす。この違いを踏まえて、ドミナント・コードに対するコード・スケールについて考えてみます。さしあたり参照するのはこれら3冊です。



前回は上記3冊の説明を概観した上で、水野の説明を検討しました。今回は、林を確認します。

林は、まずドミナント・セブンス・コードに成立するテンションがどういうものなのかを確認します。まずはメジャー・スケールで確認します。

オイラは表の中などでは、ドレミファソラシをそれぞれdrmfsltで表記します。階名を英語表記した際の頭文字です。
 
P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
s lb l   t d   r   m f  
  b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

b9はラbですから、ハーモニック・メジャーを想定すれば可能なテンションです。

ラ、ド、ミはそれぞれ9, 11, 13に当たります。

続いてマイナー・スケール。確実にドミント・セブンス・コードを取り出すために、ハーモニック・マイナーで考えます。

P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5m6 M6/dim7 m7 M7
m f     s# l   t d   r  
  b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

ファはb9、ドはb13です。ラは11です。

こうして見ると、11は長短どちらからも取り出せますし、b9はハーモニック・メジャーの可能性もあるので、確実に長短を区別できるのは、13か、b13かの違いにあるように思えます。

では、林はどういう説明をするでしょうか? 11が長短共通なせいか、11については一切説明せず、9、13がそれぞれ単独で使われる場合、同時に使われる場合に分けて説明します。

9について。上で見たように、b9、9ともに、長短たり得るため、識別するには Ⅱ のコードを確認するしかない旨説明します。メジャーのⅡはレですから、Ⅱm7となるのに対して、マイナーの Ⅱ はシなので Ⅱ m7(b5)となります。この違いから、長短を区別できるとするわけです。

13について。上で見たように、b13がマイナーの特徴としつつ、#5のエンハーモニックであることに注意を促し、9が併用されるならそちらにも注目の上、テンションがどのように解決するかで#5か、b13かを見極めるべきとします。この点については本筋から離れるので割愛します。

問題は、9と13が併用される場合。次のような記述を見せます(『標準 ポピュラーコード理論 改訂新版 』p.116)。

まずV7のb13th(bⅢ音)とb9th(bⅥ音)の場合は、明らかに同主短調の響きです。しかしこの場合でもメジャー・キーで使用可能です。

これについては理由の説明がありません。「 b9th(bⅥ音) 」はラbですからハーモニック・メジャーから取り出せます。しかし、「 b13th(bⅢ音) 」はミbであり、明らかにマイナーを示しそうなものです。どうしてメジャー・スケールで使えるんでしょう??

  P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
  bⅥ bⅦ   bⅢ  
maj. s lb l   t d   r   m f  
min. m f     s# l   t d   r  
    b9 9 #9 mb11 11 #11   b13 13 #13  

ともかく、こうしたテンションの確認を踏まえて、ドミナント・コードに対応するコード・スケールを、メジャー・スケールに登場する場合とマイナー・スケールに登場する場合に分けて説明します。なお、こんな注意がなされています (『標準 ポピュラーコード理論 改訂新版 』p.119)。

コードと同時にスケールを演奏し、響きを感じ取り、目的とするサウンドに応じて選択して下さい。場合によってはこれらを参考に新しいスケール・アイディアを考えて下さい。

感覚で欲しい音があれば使っていい、ということのようです。上で見たように、ドミナント・コードが登場する脈絡がメジャー・スケールか、マイナー・スケールかによって、整合的なテンションは限られるはずですが、「目的とするサウンドに応じて」別なテンションを選び、コード・スケールを作って構わない、ということなんでしょう。

メジャーについて、Cメジャー・スケールを例に以下のものが提示されます。
  1. G7→Gミクソリディアン: すべてメジャー・スケールの音を使っているので、「守調的」、ドがアボイト。
  2. Dm7/G, F/G, G7sus4→Gミクソリディアン: ドミナントのGをルートとして考えれば、これらのコードはすべてD11の一部を略したコードと見なせる。アボイドはトライトーンの一端とぶつかるB。Fがアボイドではないのはなぜ??
  3. G7→Gリディアン・セブンス・スケール: Gから見た#11であるC#が、Cに取って代わるのでアボイドなし。C#で欲しい響きになるなら、ということか?
  4. G7→Gコンディミ: 長短の中間の響きに合う。アボイドなし。
  5. G7(5th omit)→Gオルタード・スケール: 本来マイナー・スケール向けだが、響きが合うと思えたならメジャーで使ってもよい。
  6. G7(b5), G7(#5)→Gホール・トーン: アボイドなし。
では、ドミナントの代理コードの場合はどうなるのか? 非常に簡単な記述で済まされています (『標準 ポピュラーコード理論 改訂新版 』p.120)。  

Dの代理和音の内、VIIm7(b5)はロクリアン・スケール(Locrian scale)、bIIはリディアン・セブンス・スケールですが、先のV7のオルタード・スケールと開始音が違うだけで同形なので関連して覚えて下さい。
 
VIIm7(b5)がシをルートとして成立することから(メジャー・スケールを前提にしています)、シ旋法のロクリアンが出てくるのは分かりますが、bIIがリディアン・セブンス・スケールになる理由については全く説明がされていません。

bIIは、いわゆるVの裏で、ドミナントの代理とされています。bIIをルートとしてセブンス・コードを作ると、V7に含まれるものと同じトライトーンを含むことから、ドミナント機能を代理すると説明されます。

P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
V   VI   VII I   II   III IV  
bII       VI     bVI     VII  
  b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

こうして対比して見ると、bⅡのコード・スケールも、Ⅴから増4度ないし減5度のbⅡが裏として取り出されるなら、Ⅴをトニックとするコード・スケールすべてが、bⅡでも成立しておかしくはなさそうな気がするのですが(ルートがbⅡの段階で、とっくにノン・ダイアトニックですし)、なぜリディアン・セブンス・スケールだけが取り上げられるのか? 説明はありません。


続いて、マイナー・スケールを前提とした場合。Cマイナー・スケールを例とします。
  1. G7→Gオルタード・スケール: 本来マイナー向け
  2. G7→ハーモニックないしメロディック・マイナーの5thビロウ(開始音を第5音にしたもの。スケール並べ替えの発想からすれば当然ですね)
  3. G7→スパニッシュ・エイト・ノーツ・スケール
  4. Gm7→フリジアン(ナチュラル・マイナーの5thビロウ)
具体的なコード・スケールの中身には触れていませんが、次回篠田の本を扱う際にきっちり確認します。

ここで重要なのは、マイナー系だと、ほとんどが第5音からの並べ替えになっている、ということです。

ここではむしろ、マイナーにおけるドミナント代理について確認します。ソ#をルートとするコードはディミニッシュ・セブンスとなるのですが、このコード・スケールはどうなるのでしょう?

P1 m2 M2 m3 M3 P4 #4/b5 P5 #5/m6 M6/dim7 m7 M7
s# l   t d   r   m f    
  b9 9 #9 b11 11 #11   b13 13 #13  

ダイアトニック・スケールやダイアトニック・コードの流儀からすると、上のようなスケールがまさにコード・スケールとなりそうなものなのですが、別にディミニッシュ・スケールというものがあって、むしろそちらがコード・スケールなのだそうです。その上で、林はこんな説明をします (『標準 ポピュラーコード理論 改訂新版 』p.122)。 

ⅦdimはⅤ7(b9)の根音省略ですからⅤ音のオルタード・スケールやスパニッシュ・エイト・ノーツ・スケールをⅦ音から並べ替えるように考えた方が実用的です。

元のスケールを並べ替えるという考え方は分かりやすいのですが、肝心な「元のスケール」の出自について説明がなく、せいぜい「コードと合わせて弾いてみて欲しい響きを探せ」ですからねぇ。「何なら新しいスケールを作っても」とまで言いながら、出自不明なスケールを提示しておくというのも、よく分からない理屈です。単に林の好みだというのでしょうか?

ただ、ディミニッシュ系のコード・スケールの前提として、トニックがⅦとなることが明示されているのは収穫です。ホールズワースがディミニッシュ・ドミナント・スケールのトニックをドミナントにしている点については、ますます不可解、とは言えそうです。


次回は、今回触れなかった各種コード・スケールの具体的な中身を、篠田の本を通して確認します。
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べぇす
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男性
趣味:
音楽(素人レベル)
自己紹介:
一応趣味でベースを弾く。

……けど、だれだっていいじゃん、オイラなんか!


◎音楽関係のプロフィール
・ベース歴: 15年以上
・譜面の読み書き: 不自由
・初見演奏: 無理
・利用譜面エディタ: Allegro 2007→Finale 2010
・利用DTMソフト: Music Creator 2

※楽理関係を扱ったことを書いていますが、上記のように音楽については素人です。書かれている内容を鵜呑みにされないよう、ご注意ください。
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